閉幕間近の大阪・関西万博、入場券収入は黒字見込みでも必要な収益拡大、カギを握るのは「ミャクミャク」か?
猛暑が水を差す
「会期後半は夏休みシーズンが勝負。(2005年の)愛・地球博では夏季に来場者が減少する傾向もみられた」。協会の石毛博行事務総長はこう述べていたが、今回も似た過程をたどった。 月別で1日の平均来場者は6月の約12.7万人に対し、7月は11.5万人とまさかの減少に転じたのだ。その理由について、協会は異常な猛暑があったとみている。 万博会場は甲子園球場約40個分の広さがあり、来場者は徒歩で移動する必要がある。直射日光をしのげる場所は少なく、貴重な日陰を作り出す大屋根リングの下では、数に限りがあるベンチからあぶれた人たちが、柱に背中をつけてぐったりと座り込む様子がみられた。会場には連日、救急車のサイレンが響いた。 協会は、パラソルや給水スポットの増設、ミストファンのフル稼働などの暑熱対策を取るとともに、夏休み期間中の連日のミニ花火大会など来場者を増やす施策を次々と打った。これらが実ったのか、盆休みが始まった8月9日に来場者数が約1カ月ぶりに14万人台を記録。現在に至るまで、入場予約が困難になる盛況ぶりとなっている。 一方、協会が収支に直結する入場券販売枚数とともに掲げてきた数字として、「期間中の一般来場者2820万人」がある。協会は開幕前からさまざまな場面でこの数字をアピールしてきたが、最近は特に、「目標ではなく、あくまでも想定」と主張している。
達成には1日平均15万人超の来場が必要だが、会期終盤に入るまで、この水準を超えた日はほぼなかった。序盤の不入りが響き、協会が1日の最大来場者とする22.7万人が閉幕まで毎日続いても、最終的な総定数には届かないことも判明。日本総合研究所は、最終的に2500万人前後となるとみている。 協会幹部は「できるだけ多くに来てほしいが、安全・安心に楽しめることや、交通機関との関係で問題が起きないことを重視し、適切な人数のレベルを考えながら運営している」と話す。