14歳以下で妊娠する少女が急増、カトリック信仰の厚い国が陥る社会的緊急事態
少女から突然母親に
15歳のジュードさんは、若い母親という自分の新しい立場に苦闘している。ジュードさんに初めて性について教えたのは、はるか年上のパートナーだという。 ジュードさんは14歳の時、学校を中退した。当時、妊娠8カ月で、そのとき21歳だった恋人の家に転がり込み、今も恋人の家族と同居している。 米国際開発局(USAID)の資金提供により実施された調査によると、この7歳という年齢差は、幼い母親とそのパートナーとの平均的な年齢差だという。 非営利団体であるフィリピン家族計画協会(FPOP)は現在、ジュードさんに家族計画の手段を支援するとともに、学業を継続できるよう利用可能な資源を提供している。同団体は、ジュードさんの事例は、若年カップルの間の同意、不均衡な力関係、意思決定に関する重大な懸念を浮き彫りにしていると主張する。 またフィリピンの非政府組織(NGO)リカアンの事務局長を務めるジュニス・メルガル医師は、16歳未満の少女の妊娠は年長の女性に比べ3倍も危険性が高いと説明する。 メルガル医師は、幼い少女たちは身体的にも精神的にも赤ん坊を身ごもる準備ができておらず、妊娠しても医療ケアを求めようとしないとし、「特に(思春期の妊娠に対する)悪いイメージが強いと、彼女たちは医療ケアを受けることを躊躇(ちゅうちょ)してしまう」と付け加えた。 リカアンをはじめとするNGOは、性やリプロダクティブ・ヘルスに関するサービスを特に必要としているコミュニティーを訪れ、それらのサービスの格差を埋める活動を行っている。 ボランティアたちは、若者たちにジェンダーや人間関係について説明したり、保護者に子どもたちと性について話す方法を解説したパンフレットを手渡したり、さらに若者の男性たちにコンドームなど、安全な性行為のためのキットを配布している。 クララさんもこれらの避妊具があれば、人生は変わっていたかもしれない。今も学校に通い続け、子ども時代を取り戻せていたかもしれない。 クララさんは、今も学校に通いたい気持ちはあるが、仮に通える状況になったとしても、恥ずかしくて通えないかもしれないと本音を漏らす。 クララさんは病院での出産を望んでいるが、今のところ、自分の母親からしか支援を受けられていないという。 クララさんは今も、いつか学校を卒業したいと考えている。そして生まれてくる子どもは自分よりも良い機会に恵まれてほしいと願っている。「それが唯一の願い」とクララさんは言う。
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