必要なのは生産性向上による実質賃金の引上げ
本来行われるべきは、単なる所得の再分配ではなく、日本人の実質可処分所得を全体として引上げることだ。
そのためには、実質賃金が上昇しなければならない。そして、そのためには 、 賃上げを生産性の引上げによって実現する必要がある。
しかしこの点に関して、今回の総裁選では、どの候補からも具体的な提案はなされなかった。これは、誠に残念なことだ。この点に関して、新内閣が今後どのような施策を提示できるかが、もっとも 重要なポイントだ。
石破茂内閣は、実質賃金の引き上げを政策目標として掲げた。新内閣は、この旗を降ろさず、是非掲げ続けてほしい。
そして、まずは、実質賃金がなぜ傾向的な上昇に転じないかを分析すべきだ。
日本の実質賃金が持続的に上昇しないのは、名目賃金の引上げが、生産性の向上ではなく、賃上げ分を売上価格に転嫁することによって行われているからだ。そして、政府が転嫁による賃上げを望ましいことだとして奨励してきたからだ。この方向を見直し、生産性向上を伴わない賃上げは望ましくないという方向に転換することが、実質賃金の引上げのための第1歩だ。