北米

2024.08.14 12:00

米国で広がる「学校でのスマホ使用」禁止、カリフォルニア州でも

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米カリフォルニア州のギャビン・ニューサム知事は8月13日、9月に始まる新年度から教室での携帯電話の使用を制限するよう、州内の学区に書簡で要請した。携帯電話が子どもたちの精神衛生に与える影響が懸念される中、他州でも学校でのスマートフォン使用を制限する動きが広がっている。

ニューサムは書簡の中で、携帯電話の使用を制限することで生徒が学校で集中できるよう、カリフォルニア州の学区は「今すぐ行動」すべきだと指摘。携帯電話の使用が減れば、「より集中できるようになって成績が向上し、交流が増える」ことにつながるかもしれないと述べた。

ニューサムの事務所は声明で、ニューサムは2019年に携帯電話の学校での使用に関していくつかの制限を承認し、さらなる制限について州議会と「現在取り組んでいる」と述べた。

こうした動きは全米各地に広がっている。フロリダ州議会は昨年、学校のWi-Fi経由でのSNS利用を禁止する項目を含む法案を可決。授業中の携帯電話の使用を禁止した最初の州となった。

インディアナ州議会は4月に携帯電話やタブレット、ノートパソコン、ゲーム機といったワイヤレス機器の授業中の使用を禁止する法案を可決した。ミネソタ州議会も同月、同様の法案を可決し、州内の学区に2025年9月までに携帯電話の使用制限を導入することを義務づけた。

オハイオ州ではマイク・デワイン知事が5月に携帯電話の使用に関する方針を定めることを学区に義務づける法案に署名した。学区は来年7月までに対応しなければならない。

バージニア州のグレン・ヤングキン州知事は先月、学区に対して「親の監督なしに」子どもたちが携帯電話を使用する時間を制限する「携帯電話のない教育」のための方針を策定するよう行政命令を出している。

サウスカロライナ州教育部門のトップ、デビッド・オシールドは13日、同州で提案されている規制の施行日についての最終的な採決は延期され、9月のどこかで取られるとAP通信に語った。同州議会の委員会は先月、2025年9月までに学校での携帯電話の使用を禁止しなければ州から予算が配分されなくなるという項目を同州の予算に追加することを承認した。オシールドによると、この項目の実施は教師や保護者、学校側からの意向を汲んで延期されたという。
次ページ > 携帯電話の使用が増えるにつれて、SNSが青少年に悪影響を及ぼしている研究で明らかに

翻訳=溝口慈子

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北米

2024.06.18 13:30

SNSにタバコと同じ「警告文」を、米公衆衛生トップが提言

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米国の公衆衛生政策を指揮するヴィヴェク・マーシー医務総監は、SNSにタバコと同様の「警告文」をつけるべきだと訴えた。

マーシー総監は、米国時間6月17日のニューヨークタイムズ紙への寄稿で、「ソーシャルメディアは青少年の精神衛生に重大な悪影響を及ぼす可能性がある」という警告ラベルを各プラットフォームに貼ることを義務付けるべきだと主張した。

このラベルは、タバコ製品に義務付けられているものと同様のものになるという。マーシー総監は、SNSにタバコ製品と同様の警告ラベルを貼ることで「人々の意識を高め、行動を変えることができる」という研究結果や、警告ラベルによって親が子どものSNS利用を監視したり制限したりするようになる可能性があるとする調査結果があることを指摘した。

マーシー総監はまた、SNSプラットフォームの無限スクロールや自動再生などの「依存性を高める機能」を禁止する法律の制定や、プラットフォームが子供からセンシティブなデータを収集することを禁止し、自社製品の健康への影響に関するデータをすべて開示することを義務付けることなどを提案した。さらに、学校や保護者、小児科医に対して、学校での携帯電話の使用を禁止するか、特定の時間帯での使用を禁止し、子供たちやその保護者に対してSNSのリスクについて話すよう呼びかけた。

2019年の研究では、10代の若者が1日に3時間以上ソーシャルメディアを使用した場合、うつ病や不安などのメンタルヘルス上の問題のリスクが高まることが示された。また、2022年の10代を対象とした調査では、回答者の約半数が「SNSの利用によって、少なくとも時々『孤独で孤立している』と感じることがある」と回答し、46%が「自分の体についてより悪い気分になることがある」と回答していた。

SNS企業の経営陣は1月に、議会で自社の製品が若いユーザーに与える影響について証言した。メタのマーク・ザッカーバーグCEOとスナップのエヴァン・シュピーゲルCEOは、ソーシャルメディア上で被害に遭った子供たちの親たちに謝罪した。しかし、ザッカーバーグは「これまでの科学的研究では、SNSの利用と若者のメンタルヘルスの悪化との因果関係は示されていない」と主張した。

forbes.com 原文

編集=上田裕資

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AI

2024.07.28 14:00

デジタル時代の子どもたちを守るAI、その実例と展望

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我々の生活のすべての側面にテクノロジーが浸透するデジタル時代。我々のなかで最も脆弱な存在、つまり子どもたちの保護は、新しい次元にシフトし、新たな課題に直面している。

こうしたなかで人工知能(AI)は、希望の星として浮上している。AIは、単に進歩のためのツールではなく、複雑なオンライン世界における保護者として、活躍を始めつつあるのだ。

子どもたちにとってもっと安全な環境を作るために、AIがどのように活用されているのか、実際の応用例と、将来への展望を紹介しよう。

AIはデジタルな遊び場の守護者

インターネットは、学習や人とのつながりに役立つあらゆるリソースとチャンスを提供する一方で、若いユーザーにとってのリスクもはらんでいる。AIテクノロジーは、そうしたリスクに対して、用心深い守護者として介入する。人間のモデレーターだけでは不可能な規模とスピードで、オンラインコンテンツを監視・分析するのだ。

AIは、有害なコンテンツをフィルタリングし、性犯罪の脅威を検知し、教育リソースを提供することで、デジタルな遊び場の守護者として機能し、子どもたちにとって安全で成長できる空間であり続けることを保証する。

有害コンテンツの検知とフィルタリング

児童保護におけるAIの最もわかりやすく、かつインパクトのある応用例の一つが、有害なオンラインコンテンツの検知とフィルタリングだ。

グーグルやメタのような企業は、洗練されたAIアルゴリズムを採用しており、毎日何百万もの投稿・画像・動画をスキャンして、子どもにとって有害になる可能性のあるコンテンツにフラグを付けて削除している。これらのシステムは、膨大なデータセットに基づいて不適切な素材を認識するよう訓練されており、子どもたちが行き来するデジタル空間で性的搾取や虐待がないことを保証している。

ネットいじめにAIで対抗

ネットいじめはオンライン社会に蔓延する問題であり、数え切れないほどの子供や青少年に影響を与えている。AI技術は、積極的な解決策を提供し、テキストメッセージ、電子メール、SNSでのやりとりの中でいじめ行為を特定する。

インスタグラムのようなプラットフォームは、攻撃になりそうなコメントを投稿前に検知し、ユーザーに再考を促すAIツールを導入している。このようなAIの応用は、ネットいじめを未然に防ぐだけでなく、若いインターネットユーザーのあいだで優しさと反省の文化の育成を促進する。

児童の性的虐待と闘うAI

児童搾取との極めて重要な闘いにおいて、AIはかけがえのない味方となっている。米国NPOのThornや、全米行方不明・被搾取児童センタ(NCMEC)などの団体は、AIを活用して児童の人身売買や性的搾取の被害者を特定し、救出している。

Thornが提供するAIツールのSaferは、テクノロジー企業が児童性的虐待のコンテンツ(CSAM)を特定し、プラットフォームから削除するのを支援する。これらのAIシステムは、画像や動画を大規模に分析することで、被害者の迅速な特定を支援し、被害者の救出と、加害者の逮捕につなげている。

安全なネット利用習慣を育む教育に役立つAI

子どもたちを守るAIの役割は教育にも及んでおり、安全なネット利用習慣を育むためのガイドの役割を果たしている。

グーグルが開発した、AIを利用したゲームのInterland(インターランド)は、子どもたちに対して、魅力的でインタラクティブな方法で安全にインターネットを利用する方法を教えている。子どもたちはゲームプレイを通じて、フィッシング詐欺の見分け方、個人情報の安全性、責任あるインターネットの利用方法などを学び、オンラインで自分を守るための知識を身につける。
次ページ > 保護者による監視を支援するAI

翻訳=藤原聡美/ガリレオ

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健康

2024.06.09 08:00

ネットの使いすぎが「10代の脳」に大きく影響、ギャンブル依存に近い症状に 研究結果

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過剰なインターネットの使用が10代の若者の脳を変化させているとの研究結果が6月4日に発表された。インターネット中毒になっている若者の脳は、能動的思考に関係する部分に変化を起こしていることがスキャンで示されているという。

英ユニバーシティ・カレッジ・ロンドン(UCL)の研究者らによると、こうした脳の変化はさらなる依存行動そして知的能力や身体の整合性、メンタルヘルス、発達に関連する変化につながることがわかった。

UCLグレート・オーモンド・ストリート小児保健研究所の修士課程の学生で、この研究の筆頭著者であるマックス・チャンは「思春期は身体や認知機能、性格が大きく変化する重要な発達段階だ」と指摘する。

「そのため、この時期の脳は強迫観念によるインターネット使用や、マウスあるいはキーボードを使用したい、メディアを視聴したいという欲求を促すインターネット中毒に対して特に脆弱だ」と説明する。

研究者らは、インターネット中毒と診断された10〜19歳の237人の脳を機能的磁気共鳴画像法(fMRI)でスキャンして調べた12の研究を分析した。インターネット中毒とは、インターネットを使いたいという衝動を抑えることができず、それが心身の状態や社会生活、勉強、仕事に悪影響を及ぼしている状態と定義される。

fMRIによる脳スキャンでは、安静時に活性化する脳の部位の活動の増加と減少の両方が見られ、能動的思考に関係する部位である実行制御ネットワークでは、脳の領域間の相互作用を示す機能的結合が全体的に減少していることが示された。

研究者らによると、こうした状態は薬物使用やギャンブル依存症で生じるものと似ているという。

研究結果は科学誌『PLOSメンタルヘルス』で発表され、インターネットの過剰使用が思春期の行動に及ぼす影響は大きいと指摘している。

機能的結合の減少によって影響を受けるものには強調運動、短期記憶、衝動抑制、注意力の持続、意思決定、意欲、報酬に対する反応、情報処理などがある。
次ページ > 思春期の脳の変化は、インターネット中毒の影響を特に受けやすくする

翻訳=溝口慈子

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