一般に高校で垂直抗力を教える場合、物体が床か何か(机など)の上で静止状態でいる場合を説明します。
昔も今も「物体には重力が働いているから下向きに動こうとするが床からの垂直抗力が上手く働くから静止したままである。垂直抗力とはそういう不思議な力で、物体に糸が付いていて上に引っ張られると糸の引く張力と垂直抗力の合力が重力とつりあうようにうまく大きさが定まるのです。」
などと言って、「不思議な力と」説明している先生が多く見受けられます。
それで、とりあえずつりあいの式を立ててその大きさを求められるので長い間教科書も変更される事はありませんでした。
不思議な力の原因を追求するのは高校生たちにとってタブーだったのです。なんとなく納得させられておしまいだったのです。
しかし、私は垂直抗力には原因があって、垂直抗力とは物体と床の変形による弾性力であるとはっきり言った方が良いと思うのです。
なぜなら、高校生たちの勉強が進んで行って静止状態ではない時の問題を解くときに垂直抗力を正しくイメージできないと問題が解けないからです。
例としては、物体同士が衝突するときなど、重力などの力は作用していないので私の言ったような「変形による垂直抗力」でしか説明できないからです。つりあう力でその大きさを求める事しか出来ない生徒だと次のような問題が解けません。
① なめらかな床の上に斜面を持つ台(固定されていないとします)があって、その上に小さな物体を置くと斜面に沿って動き出します。その時小さな物体は台を押しますし台もまた物体を押し返します。それによって台が床の上を移動する場合。
② ①と同様に、なめらかな床の上に斜面を持つ台が固定されずにあったとして、上からボールなどを落とすと台が横に動く問題。
特に②は実体験ではわかるのに知識として高校物理で教えられていないので混乱してしまうのです。
ちなみに①の場合、固定されている場合も固定されていない場合も垂直抗力はあくまでも「垂直」に作用しますが大きさが違うので物体の動きは異なります。
垂直抗力の説明方法について有名進学校の先生方の集まりで改善を提案しましたが聞き入れてもらえませんでした。垂直抗力の原因についてはわたしの説明が正しい事は認めてもらえたのですが、そういう説明が出来る先生が今日現在少ない事。つまり先生たちの能力が無いからだとはっきり言われました。
教科書に事実を書いてないから先生たちが理解できないし、うまく説明できないのではないかと言いましたが教科書は長年の間に完成されたもので教育上(高校生の発達段階も含めて考えて)完璧だそうです。
そのおじいちゃん先生たちがいる限り高校物理はこれ以上進歩しません。ですから、上のような問題を出すような難関大学に進学したい場合はお金を出して塾に行くしかないのです。
正直申しまして、垂直抗力の説明はそれほど難しい事ではないと思いますからさっさと変更するのが人類のためになると思いますが、私ひとりの力ではこれ以上は無理なので生徒さん達の方で先生に質問しまくって変更の必要性を感じさせてください。