「魚を与えるのではなく釣り方を教えよ」という老子の言葉は、人材育成の本質そのものだと思うんですよね。短期的な成果は大事で、様々な問題を解決できるハイレイヤーのマーケターの年収も上がっています。でも、1人に出来ることは限られている。「俺と同じとまで言わないでも、似た感じで魚が釣れるようになって欲しい」と思うから育成するわけで。ところが、時間はかかるし、自分の思う通りに成長してくれるとは限らないし、何より自分は出来るのに教えている相手が同じように出来なくてイライラする…これは、マーケターに限らず、エンジニアでも、セールスでも、どの職種でも起きていますね。
ちなみに、以前行った調査によると、「人材不足」に直面しているけど、同じくらい「育成に苦戦」していることが分かっています。つまり、魚を与えてくれる人は少ないし、釣り方を教えてくれる人も不足しているのです。なのに、育成(研修)にお金と時間を割く会社はめちゃくちゃ少ない。どうしてでしょうか?
理由は2つあると思っています。1つ目は「魚の釣り方を教えている余裕がない」。以前から育成に関する調査を何度か行っているのですが、「会社規模」が小さく「業績」が悪い会社ほど、育成は何も行っていないと回答しています。つまり、余裕が無い。もっと言えば、育成は「余裕がある会社が行うものだ」と見られているわけです。
2つ目は「魚の釣り方なんて教わっても仕方が無い」「魚の釣り方を教える研修で身に付くわけが無い」という本音。つまり、研修無意味論です。研修を受けている側は「忙しいのに!」と思っているし、研修を受けさせている側も「私は機会を設けました!」とアリバイを作っている。むしろ研修が嫌いになってしまっているわけです。
だから、突き詰めて言えば「研修を受けて魚の釣り方を覚えたところで、給料上がります?偉くなれます?やれる仕事の範囲が増えます?」という現場からの声に応えられないと、ぶっちゃけやる意味は無いよね、と思っています。
ただ、一方で本気で「スキルも能力も成長して貰わないと困る!」と思っている管理職・経営層がおられて、現場にも熱量が伝わっている例も知っています。そんな時、現場のモチベーションが「将来のため」「キャリアのため」だと、意外と長く続かないことが分かっています。それよりむしろ、「同僚と一緒に進めているから」「あの部署が団結してやっているのが悔しくて」みたいな、内面の動機より外面の動機形成が有効に働く場面を現職で何度も「成功事例」として拝見しています。
広告運用や新しいツールの導入のように直ぐに変化は現れないかもしれないけど、「スキルも能力も成長して貰わないと困る!」と思っているなら絶対に実践しなければならないのが人材育成なわけです。こりゃ難しい。大変です。