愛する者を蘇らせる苦悩と葛藤を描いたあの名作の続編はなぜこうなった?原作者は怒りの撤退!クレジットから自分の名前を外させた、ある意味伝説のB級ホラー「ペット・セメタリー2」【ホラー映画を毎日観るナレーター】(973日目)
「ペット・セメタリー2」(1992)
メアリー•ランバート監督
◆あらすじ
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俳優である母親の撮影を見学しに行ったジェフは、目の前で彼女が事故死するのを目の当たりにしてしまう。父親とともにメイン州の田舎町へと引っ越した傷心のジェフは、友人ドリューの死んだ愛犬が蘇ったことで、近所のペット墓地に死者を復活させる秘密の場所があることを知る。しかし、復活した犬が凶暴化し、ドリューの養父を咬み殺してしまう。仕方なく、養父もまた復活させることにしたのだが…。(Filmarksより引用)
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•予告
•この映画を一言で表すなら?
『不慮の事故で母を失った少年は死者を蘇らせる墓地の存在を知り、苦悩の末に母を蘇らせてしまい…』
という、“ホラーの帝王”スティーヴン・キング氏の代表作の一つでもある「ペット・セマタリー」の映画版「ペット・セメタリー」(’89)の続編にあたる作品です。
家族愛や生死をテーマにした切ない内容の前作(リメイク版も含む)とは内容が大きくかけ離れており、評判もよろしくありません。あまりの酷さに原作者であるキング氏はいつも通りブチギレます笑。
その辺りは詳しくは次の項目で解説致します!
ちなみに主人公のジェフ役には「ターミネーター2」(’91)のジョン・コナー役で知られるエドワード•ファーロング氏が起用されたこともあってか、興行収入は1700万ドル超えとそれなりに良かったみたいです。
•具体的にはこんな作品&良かったところと気になったところ
兎にも角にも前作とはあまりにもテイストがかけ離れているので、色々と困惑しちゃいました。
前作(リメイク版も含む)は“死者が蘇る墓地”で死んでしまった我が子を蘇らせてしまった父親の苦悩や葛藤、そして蘇らせられた死者たちの辛さなどが描かれており、非常に繊細かつ胸に来る切ないホラーでした。
いわゆる家族愛や生死をテーマにすることが多いキング氏の一番得意なところかもしれません。
そして、続編にあたる今作は不慮の事故で俳優の母を失った主人公のジェフが父親と共にワドロウという母の故郷に移り住むところから始まります。
そこでジェフは同級生から中々ハードなイジメを受けますが、ドリューというぽっちゃり少年と仲良くなります。
ドリューくんは母親とその再婚相手である警察官のガスと暮らしているんですけども、このガスがとにかく粗暴で、ドリューにも暴力を振るうクズ男なんですよ。警察官云々の前に人間の風上にも置けません。
そしてある日の晩、ドリューが可愛がっていた飼い犬のゾーイが騒いだことで夜の営みが邪魔されたガスは逆上し、何の躊躇いもなくゾーイを射殺。ジェフはドリューと一緒に何やら曰く付きのペット墓地にゾーイを埋葬します。
そして皆様の予想通りゾーイは超凶暴な性格となり蘇生。その後、ジェフの目の前でドリューに暴力を振るったガスを食い殺してしまいます。
ですが「あの墓地に埋めたらゾーイも生き返ったし、とりあえずガスも埋めてみる?」みたいな軽いノリでガスを埋めたら、生前よりも遥かに凶暴な性格となり復活。そして凶行に及んでいく…。
みたいな感じで展開していきます。
なんか全体的にノリが軽いんですよね笑。
「死んじゃったし蘇らせるか」みたいな感じで蘇らせることにほとんど葛藤もありませんし、蘇った側もただの殺戮マシーンのように描かれているため、双方何らドラマ性が感じられません。
それをどうにかしようとしたのか、後半では優しく素直だったジェフが急に闇落ちして母親を蘇らせるんですけども、炎に包まれてドロドロに溶けていく母親を見て、「やっぱあれお母さんじゃないや」と簡単に切り捨てるなど、情緒不安定と言いますか、「お前が蘇らせたんだろ!責任もてよ!」とツッコみたくなりました笑。
主人公のジェフにも感情移入できませんし、ガスがなぜ元からあんなに攻撃的なのかも分からないままです。
何をメインに描きたかったのかも不明でしたし、過激なイジメの描写やウサギを絞め殺すシーン、咀嚼したものを口から出す等など、全体通してシンプルに品がなく不快でした。
愛する母親を蘇らせようとする少年の葛藤を描いた前作に近いテイストの切ないホラーにするでもなく、かといってエンタメ方向に舵を切って蘇った者が大暴れするスプラッターホラーにするでもなく、どっちつかずで中途半端な印象の作品でした。
演出やBGMのチョイスも尽くこれじゃない感MAXでした。
個人的にはラストシーンで町を出ることにしたジェフと父親が車に乗って去っていくのを上空からの長回しカットで流してそのままエンディングに入るんですけども、その間ずっと画面右側に作中で死んだキャラの顔が一人一人浮かぶという演出が鳥肌が立つぐらい寒かったです。
おバカなテイストのB級ホラー映画なら「バカだなぁ」と笑ってスルーすると思うんですけど、今作のように命とか死をテーマにした作品でそれをやっちゃうと一気に冷めますね笑。
この後の項目で詳しく説明しますが、原作者のスティーヴン・キング氏が試写会で今作を見た瞬間にクレジットから自分の名前を外させたのも分かる気がします。
•監督はこんな人&視聴可能なサブスクは?
今作で監督を務めたメアリー•ランバート氏は前作「ペット・セメタリー」(’89)からの続投で、前作では脚本を担当した原作者のキング氏が全権を握っていたらしく、同氏はキング氏の作品に対する情熱や小説の世界観とテーマを忠実に守り通したとのことです。
しかし今作ではキング氏の目が行き届かなかったのか、脚本もリチャード•オートン氏というこの作品以外に何の経歴も出てこない方を起用しており、先程色々述べたように前作とはあまりにもかけ離れたテイストのホラー映画に仕上がっていました。
試写会で今作を見たキング氏はその出来に落胆&激昂し、クレジットから自分の名前を外させたそうで、公開後も案の定批評家からボロクソのけちょんけちょんに言われてしまいました。
一体全体なぜこんなにもテイストが変わってしまったのでしょうか。ここまで変わると監督や脚本家のせいだけではないような気もするんですけど、本当のところはどうなんですかね。
そして!
今作は現在U-NEXTでのみ配信中です。
スティーヴン・キング氏の原作が基になっている映画や「ペット・セメタリー」がお好きな方は二次創作を見る感覚でご覧になってみてはいかがでしょうか。
•がっつりストーリー紹介
俳優である母ルネの撮影現場を見学しに来ていた13歳のジェフ。しかし彼の目の前でルネは不慮の事故により死んでしまった。
悲しむ間もなく、ルネの故郷である田舎町ワドロウで葬儀が行われ、彼女は埋葬された。そしてジェフは獣医をやっている父•チェイスと共にこの町に移り住むことにした。
新居に荷物を運びいれるが、ジェフの意向で撮影で使用した母の衣装等も全て処分せずに運び入れる。新しく来た家政婦が少しでも触れようものなら怒りを露わにするなど、最愛の母親を失った悲しみは当然だが癒えることはない。
ある日、チェイスが前任者から譲り受けた動物病院に大型犬のゾーイを連れた少年ドリューが養父のガスと共に来院。
ガスが可愛がっているウサギに鼻を引っ掻かれたとのことで大したことはなかったが、警察官のガスは粗暴な性格で、「元々俺はルネのことを狙ってたんだよ」等とジェフやチェイス前で発言するなど品がない。
翌日、ジェフは病院内に住み着いていた子猫の一匹にタイガーと名付け、学校につれていくが、先日亡くなった俳優の息子ということもあり、さっそくクライドたち不良グループの標的にされてしまう。
タイガーを奪われたジェフは町外れのペットセメタリー(ペット墓地)まで追いかけてクライドをぶん殴るも、当然返り討ち。しかしタイガーはペットセメタリーで見つけることができ、とりあえず一安心。
その晩、またもガスのウサギにちょっかいをかけたゾーイがついにガスに射殺されてしまう。
悲しみに暮れるドリューを心配したジェフは一緒にペットセメタリーまで埋葬しに行く。ドリュー曰く、ここに埋めると蘇るとのことだがそんなものは迷信だろう。
しかしその後、本当にゾーイが帰ってきた。
明らかに撃たれた跡があるため、チェイスに見てもらうと心音は聞こえないし、傷はいつまで経っても全然治らない。
不審に思ったチェイスはゾーイを病院で預かり、血液を採取。知り合いがいる検査機関に調べてもらうことにした。
そしてハロウィンの夜、ペットセメタリーにてまたクライドたちに絡まれてしまうジェフとドリュー。
しかしそこへゾーイの件でイライラMAXのガスが乱入。蜘蛛の子を散らすかのようにクライドたちは逃げていくが、そんなことは構わずにガスはドリューに八つ当たり。
ガスが拳を振り上げた瞬間、物陰からゾーイが飛び出し、彼の喉笛を食い千切ってしまう。
ピクリとも動かなくなったガス。明らかに死んでいる。動揺したジェフとドリューはゾーイの時と同じようにペットセメタリーに埋葬してみることに。
それから数時間後、ガスは帰ってきた。これまでよりも凶暴になった彼にドリューも母も怯えっぱなしだ。
そんな折、ゾーイは檻を食い破り、子猫たちを食い殺して脱走してしまう。
ガスはあんなに可愛がっていたウサギを生きたまま絞殺し、夕食のメインディッシュにしてしまう。ジェフも招待された気まずいディナーでは咀嚼したものを吐き出すなど常軌を逸した行動を連発。
その数日後、クライドがジェフを人気の無いところに連れ込み、いよいよ殺す勢いで襲う。しかしそこへガスが颯爽と現れてジェフを逃がすと、何の躊躇いもなくクライドを殺害。
そしてそれを目撃してしまったドリューを執拗に追いかけ回し、ついには母親諸共殺してしまう。
ずっと母親に会いたかったジェフはドリューの死を悲しむこともなく、ついに母•ルネを蘇らせてしまう。
しかし、蘇った母親は攻撃的な性格でまるで別人のようだった。そこへガスや彼によって蘇ったクライドが襲撃してくる。父•チェイスと協力し、どうにか撃退するがジェフはどうしても母のことを諦めきれない。
家が炎で包まれる中、もう生者ではない母の皮膚はドロドロに溶け始めている。
あれは母さんじゃない。
ジェフは怪我を負った父•チェイスを連れて避難する。
炎に包まれた母•ルネは「愛してるわ、ジェフ」と呟くのだった。
騒動を経て母の死を乗り越えたジェフは父と共に新たな場所で暮らしていくことを決めたようだ。
というところで物語は幕を閉じます。
•自分なりのまとめ
「ペット・セメタリー」とはまったくの別物として見たらそれなりに楽しめるB級ホラーだと思います。
でも名作の看板を背負っている正式な続編ですから、そういうわけにもいきませんよね。これは中々に“あれ”でした笑。
スプラッター描写なんかはかなりクオリティが高いのでそっちに振り切ったほうが良かったのかもですね。ファンは怒ると思いますが…。
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コメント
10ペットが甦る映画なら「フランケンウイニー」が好きだなー。
フランケンウィニー良いですよね!
ナイトメア・ビフォア・クリスマスのVHSに収録されていた短編のやつを見て大好きになりました✨
「フランケンウイニー」アニメ版も悪くない出来でしたw
長編のアニメ版も良いですよね!
ティム・バートン監督のキャラクター造形がめちゃくちゃ好きです😁