PROFILE この記事の登場人物

佐々木 大輔 三鷹支店 コンサルタントセールス課(大東建託)
2023年入社。アパート建設や駐車場利用など土地活用を通じて、オーナーさまのさまざまな悩みを解決する提案を行っている。

湯澤 紗世子 三鷹支店 コンサルタントセールス課(大東建託)
2023年入社。2025年7月に宅地建物取引士を取得し、現在は法人向け不動産営業にも注力している。前職では美容業界・看護師を経験。
2025年6月、大東建託で全国の営業社員の服装を「オフィスカジュアル」に変更しました。これまでのスーツスタイル一辺倒から、働きやすさと個性を尊重した新しいスタイルへの大転換です。
しかし、営業職にとってオフィスカジュアルは諸刃の剣。自由度が高まる一方で、お客さまとの信頼関係を築くための「適切な装い」を自分で判断する必要があります。今回は、トップクラスの営業成績を誇る三鷹支店でコンサルタントセールスを担当する佐々木大輔さんと湯澤紗世子さんに、実践的なTPOコーディネート術と、オフィスカジュアル導入による職場の変化について聞きました。
大東建託は2025年6月24日から、全国の営業社員約3,000名を対象にオフィスカジュアルを導入。2018年にジャケット・スラックススタイル、2020年に本社社員向けオフィスカジュアルを段階的に導入してきたものの、営業社員については顧客訪問時のスーツ着用義務などにより見送っていました。今回、オフィスカジュアル導入の社会的傾向を受け、社員の自主性を尊重し働きやすさを向上させる目的で適用範囲を拡大。トップスはワイシャツ、ブラウス、カットソー、ポロシャツ、ニット、Tシャツ、ボトムスはパンツ、スカートの着用が可能となり、TPOに合わせた柔軟な服装選択ができるようになりました。
関連記事はこちら
スーツからの大転換。営業社員のお二人が実践する選び方のコツ
さっそくお二人のスタイルを見ていきましょう。かつてのスーツスタイルからどのようにファッションを変化させ、TPOを意識した装いを実現しているのでしょうか。実際のビフォーアフターと、アイテム選びのコツについて詳しく伺いました。
まずは、オフィスカジュアル導入前のスタイルをチェック。以前はスーツでの営業が基本だったという佐々木さんと湯澤さん。その姿はこちら!
シーン01| 基本スタイル(オフィスカジュアル導入前)

ワイシャツにジャケットを合わせた従来のスタイルは、やはり「きちんと見え」の王道ですね。どんなシーンでもお客さまに信頼感を持っていただけるスタイルです。ただ、夏の暑い時期も長袖のワイシャツで訪問することが多く、服装に対してストレスを感じることもあったそう。
湯澤「日焼け防止のために、暑くてもあえて長袖を着ていました。オフィスカジュアルが導入されて、暑い日でも快適に過ごせるようになりましたね」
そして、オフィスカジュアル導入後の姿はこちら。
シーン02| 基本スタイル(オフィスカジュアル導入後)

佐々木「オフィスカジュアル導入後の基本スタイルは、スーツのスラックスに、トップスをカットソー、ポロシャツを合わせる形です。こうすることで、上がカジュアルでも全体的にきちんと感が出るので気に入っています。清潔感があるか、だらしなく見えないか、という点を一番に考えていますね」
湯澤「年代を問わず、誰にでも受け入れてもらえるような服装を心がけています。第一印象で、奇抜な人だと思われないか、どの年代の方にも受け入れてもらえそうかという点を特に意識しています」
次に、この基本スタイルを基準として、TPOに合わせたコーディネートのバリエーションを紹介してもらいました。
シーン03| 土地オーナーさま訪問時の「きちんとスタイル」
営業の成否を分けるのは、お客さまとの最初の出会い。特に高齢の土地オーナーさまと接する機会が多い大東建託の営業社員にとって、第一印象は非常に重要です。信頼感を損なわず、親しみやすさも両立させる「きちんとスタイル」について、具体的なコーディネート例とともにご紹介します。
佐々木さんのきちんとスタイル
紺のポロシャツ(ユニクロ)/グレーのスラックス(ユニクロ)
佐々木「ボトムスはスーツのスラックスで固定。トップスはカットソーやポロシャツなどその日によって変えることで、バリエーションを持たせています」
湯澤さんのきちんとスタイル
エレガントなブラウス(洋服の青山)/スラックス(洋服の青山)
湯澤「地主さまと会うときは、カジュアルすぎず、かといってワイシャツほど堅苦しくないブラウスを選びます。綿よりもレーヨンなど、少し光沢のあるテロッとした素材のものが好きで、上品に見えるのがポイントです。少し肌寒いときやよりきちんと見せたいときは、この上に紺色のジャケットを羽織ります」
シーン04| オフィスワーク時の「リラックススタイル」
お客さまへの訪問がない日は、より動きやすさを重視したスタイルをすることも。しかし、急な来客や外出にも対応できるよう、TPOを意識した服装は欠かせません。営業社員のオン・オフの切り替えを支える、快適かつきちんとした内勤スタイルについて、お二人の実際の服装を参考に見ていきましょう。
佐々木さんのリラックススタイル
白T(ユニクロ)/スラックス(ユニクロ)
佐々木「白いTシャツは、ものによっては部屋着っぽく見えてしまうので、ユニクロの店員さんに『仕事でも使える、一番きちんとして見えるTシャツをください』と聞いて選んでもらいました。内勤の日でも、お客さまのところに行くことになったら、このTシャツの上にジャケットを羽織ってすぐに出かけられるようにしています」
湯澤さんのリラックススタイル
グレーのサマーニット(ユニクロ)/紺のスラックス(洋服の青山)
湯澤「これが私の中で一番カジュアルなスタイルですね。動きやすくて、オフィスワークに最適です」
オフィスカジュアルで気をつけているポイント
お二人がそれぞれ気にしているポイントがこちらです。
ブランド選び

佐々木「『ユニクロ』を愛用しています。キレイめな服が多く、スーツもユニクロの『感動ジャケット・感動パンツ』のセットアップを使用。履き心地が良く、リーズナブルなので汚れを気にせず買い替えられるのが良いですね」
湯澤「私も『ユニクロ』です。他には『洋服の青山』もよく利用しています」
アイテムの選び方

佐々木「土地オーナーさまは70〜80代の方が多いので、奇抜な色や柄は避け、白や紺、グレーといったベーシックな色を選んでいます。最も重視しているのはサイズ感。ジャストサイズを選ぶようにしています」

湯澤「ジャケットを羽織らない夏場は、首元が開きすぎていないアイテムを採用。色はホワイト、グレー、ベージュが中心で、シワになりにくく光沢感のあるブラウス生地を好んで着用しています」
着こなしのポイント

佐々木「ポロシャツの裾はパンツの中に入れ、ボタンを上まで閉めるなど細部まで丁寧に整えています。毎朝パンツのセンタープレスを確認し、アイロンは必ずかけます」

湯澤「ブラウスの丈によってパンツにインしたり出したりと、服のデザインに合わせて着こなしを変えています。白い服の際はインナーが透けないようキャミソールを着用するなど気を配っています」
小物
佐々木「営業中はチラシが入った大きなファイルを持ち歩くことが多く、カバンは基本的に持ち歩いていません」
湯澤「私は荷物が多いため、A4サイズが入るベーシックな黒いバッグを愛用。商談時にはよりカチッとしたレザー素材のバッグを選ぶなど、場面に応じて使い分けています」
大東建託では、営業社員へのオフィスカジュアル導入にあたり、ガイドラインを策定。ワイシャツ、ブラウス、カットソー、ポロシャツ、ニットなどのトップス、パンツ・スカートのボトムス、適切なシューズや小物の着用例を写真付きで示しています。同時にNGアイテムやカラー基準も明示し、「自由」と「柔軟」を混同しないよう適切なビジネスカジュアルの徹底を求めています。
これだけは絶対NG! 避けるべきアイテムとその理由
自由度が高いオフィスカジュアルだからこそ、避けるべきアイテムを理解しておくことが重要です。お客さまに不信感を与えたり、だらしない印象を与えたりする服装は、信頼性を大きく損ないます。ここでは、多くの営業社員が陥りがちな落とし穴と、清潔感を保つためのコツについて、お二人の経験談から学びます。

避けているアイテムや服装のポイントはありますか?
湯澤「柄物や原色のような、パッと見て派手だと感じるものは避けています。素材でいうと、光沢の強すぎるものは選ばないですね。訪問営業ではインターホン越しにお客さまの目に留まることが多いので、派手な服装は不信感につながってしまうことがあります。アクセサリーもほとんどつけません。大東建託の規定ではシンプルなものはOKですが、私たちの仕事は汗をかくことが多いので、衛生面を考えてつけないようにしています」
佐々木「湯澤さんが言うように、第一印象がとても大切なので、奇抜さや不潔さを感じさせる服装は避けています。色や柄はもちろん、服のシワや汚れにも気をつけています。お客さまがインターホン越しに私たちの姿を見て、出てきてくださるかどうかが、その日の仕事の成果を左右するからです。最近は詐欺まがいの訪問も多いので、安心感を持ってもらうためにも第一印象は本当に大事だと感じています」
現場で気づいた「見落としがちなポイント」は?
佐々木「やはり一番気になるのは『靴』ですね。私たちの仕事はよく歩くので仕方ない部分もありますが、ひどく汚れていたり、靴底が剥がれていたりすると目についてしまいます。畑を持つ地主さまを訪問した際には、土で汚れたことも。私は毎日欠かさず靴磨きをするように心がけていますよ」
湯澤「綿のTシャツやポロシャツは、洗濯を繰り返すと生地がヨレヨレになりやすいのが難点です。特に襟元がだらしない印象になったり、黒や紺といった濃い色が色あせたりすると、ラフさを通り越して貧相に見えてしまうことがあります」
日々の服選びを楽しめるようになったのも大きなメリット
日々の服選びが楽しくなったり、職場の雰囲気が柔らかくなったりするなど、ポジティブな変化を感じているというお二人。働き方改革の一環としてオフィスカジュアルがもたらしたものについて、率直な感想を伺いました。
オフィスカジュアル導入前後での違いについて、率直な感想をお聞かせください。
佐々木「実は以前、他支店の社員がポロシャツで営業しているのを見て、羨ましいなと感じていたんです。そのため、導入が決まったときは率直にうれしかったですね。三鷹支店では支店長が率先してカジュアルな服装を取り入れてくださったので、すごくやりやすくなりました。みんながポロシャツやTシャツを着るようになって、支店が柔らかい雰囲気に変わったような気がします」
湯澤「私も支店長がポロシャツ姿で出勤されているのを見たのが印象に残っています。こんなにラフなスタイルでもいいんだ、と意外に思いました。男性社員は、Tシャツやポロシャツを取り入れるのが早かったですね。みなさん週末ごとに新しい服を買うようで、月曜日になるたびにカジュアルな服装の社員が増えていったのが面白かったです(笑)」

オフィスカジュアル導入によって感じているメリット・デメリットは?
湯澤「メリットは、とにかく楽になったこと。暑い夏でも風通しの良い生地を選べるので、快適に過ごせるようになりました。また、選べる服のレパートリーが増えたので『今日はこの色にしよう』と、日々の服選びを楽しめるようになったのも大きなメリットです。
デメリットは、同じ服を着る頻度を気にしてしまうようになったことでしょうか。『また同じ服を着ているな』と思われないか、少し考えてしまいます。あと、素材によっては手洗いや洗濯ネットに入れるなど、洗濯の手間が増えたと感じることもありますね」
佐々木「私の場合、ほぼデメリットを感じることはありません。洗濯に関しても、ワイシャツの代わりにカットソーやポロシャツになったことで、むしろ楽になりました。
これまでは毎日同じような服装でメリハリがありませんでしたが、オフィスカジュアルになってから服選びが楽しくなりました。『このお客さまに会うから、今日はこれで行こう』というように、日々の業務に楽しみが増えましたし、オシャレが好きなので、毎日自分のテンションが上がっているのを感じます」

オフィスカジュアルをはじめとした「大東建託の働き方改革」についてどう感じていますか?
佐々木「大東建託に硬いイメージを持つ方もいるかもしれません。しかし、オフィスカジュアルのような新しい取り組みを導入することで、若い世代も親しみやすくなったと感じます。フレックス制度や有給休暇の取得を奨励されることも多くなり、短時間で集中して働くことを意識するようになりました。社員のことを考えてくれていると感じますし、働き方改革に積極的に取り組んでいる会社だと実感しています」
湯澤「今の時代、終身雇用が当たり前ではなくなり、働く側が職場を選ぶ時代になっています。人材の定着には、働きやすさの改革が不可欠です。入社してまだ2年たっていませんが、この1年で本当に会社が変化し、働きやすくなったと実感しています。佐々木さんが言ったように、フレックス制度や有給休暇の取得がさらに強化されました。それに加えて、オフィスカジュアル導入によって、見た目からも風通しの良い雰囲気づくりに力を入れているのはすごいと思います」
印象を決めるのは服よりも“身だしなみ力”
お二人の話で共通していたのは「清潔感」を重視していること。ファッションの選び方はもちろんですが、それ以上に日々のメンテナンスやシワになりにくさ、着こなしなど、基本的な身だしなみが大切なのかもしれません。
営業という職業柄、第一印象が仕事の成果に直結するからこそ、お二人が実践している細やかな配慮は、営業以外の方にも参考になるのではないでしょうか。





































「夏場はワイシャツの袖をまくって営業していましたが、正直ストレスでしたね。今はほとんどワイシャツを着ることがなくなり、快適に過ごせています」