戦評…投打でかみ合った花咲徳栄が浦和麗明を9―3で下した。花咲徳栄は四回までに先発全員の9安打で7得点と序盤に主導権を握った。投げては5試合連続で先発登板した黒川が6回1/3を3失点と試合をつくった。2番手左腕の古賀は1人の走者も許さず試合を締めた。浦和麗明は11安打と打線は活発ながらも、2失策や走塁死などで流れをつかめなかった。

■強力打線誇示し盤石

　花咲徳栄が強力打線を誇示して関東への切符をつかんだ。四回までに5本の長打を含む先発全員安打を記録。犠打と機動力を絡めて序盤からそつのない攻撃を展開した。岩井監督は「まずは関東が一つの目標。盤石に取りに行けた」と誇った。

　一回から隙のない攻撃を見せた。1番岩井、2番鈴木が連打で出ると、3番笹崎が犠打で好機を拡大。4番佐伯が低い打球を放ち、遊ゴロの間に先制した。佐伯は「安打でなくても全員がつなげる。目の前の1点を取り切れた」とうなずいた。

　主導権を握ると、打線の勢いが加速した。二回に市村の二塁打で2点を追加。三回は奥野、本田の連続適時打で3得点を挙げた。6点リードの六回は1死一、三塁で奥野がスクイズを成功。積極的なサインプレーは勝利への執念を感じさせた。

　投打で充実感を漂わせ決勝は浦和学院と争う。目標とする来春の選抜大会出場へ向けて、大事な一戦。主将の本田は「負けは許されず、埼玉の優勝校として関東に挑む。自分たちの野球を貫き、勝ちにこだわりたい」と力強く話した。

■意地の反撃も失点響く　浦和麗明

　浦和麗明は終盤に意地の反撃を見せたが、序盤の大量失点が重くのしかかった。四回までに7四死球と投手陣が精彩を欠き、相手に主導権を譲った。佐藤監督は「強豪との差は感じたが、粘りを見られたことが救い」と悔しさとともに成長の実感も口にした。

　1―8の七回1死から内野安打と四球で一、二塁の好機をつくると、小山、前田、青木の3連打で2点を返した。1死満塁、併殺打ならその時点でコールド成立という場面で打席に立った主将の前田は「どんな形でも1点を」と低めの変化球をバットの先で拾い、中前に適時打を放った。

　創部8年目の浦和麗明は今大会で初の4強と新たな歴史を刻んだ。前田は「この結果には満足していない。きょう負けたこの思いは忘れない」とさらなる高みを目指す。