【のらえもんの「マンションバカ一代」】(12) リセールは立地7、物件2…でも一番大事なのは業者選び!?
一流大衆誌の暴走で12回も続いたこの連載も、ついに最終回です。私的に語りたいことは、あんな夢こんな夢いっぱいあるんですけど、最終回のテーマは“賢いリセール(※再販売)”とさせてもらいます。
「東京のマンションに住みたい人向けの連載で、売り方を教えられても…」と考える読者もいるでしょう。しかし、マンション購入後には望むと望まざるとに関わらず売却リスクは発生するもの。その理由は栄転や、双子ちゃんが生まれた等おめでたいものから、離婚・破産・死別等おめでたくないものまで様々。だから、リセールのことまで意識したマンションライフを送るべきなのです。
では、高く売れるマンションにはどんな特徴があるか? 私の独断で売却価格の決定要件を数値化すると、立地が70%、マンション選びが20%、そして部屋の状態が10%といった具合です。結局、不動産は“街”で決まるものなので、その街が成長しているか、衰退しているかが重要です。その為、本連載では、まず“人口が増え続けている街”のマンションを狙いましょうと勧めてきました。
近年、特に目立ったのは、再開発という一発逆転ホームランで人口が急増するエリアでした。その典型例が神奈川の武蔵小杉です。かつては京浜工業地帯の一角を担った工場地域だったのに、今やタワマンとモールが林立する憧れの街に変貌しました。
しかしながら、“再開発=勝ち確”といかないのが最近の現実です。例えば、千葉の津田沼駅南口。地元タワマン住人がワクワクしながら待っていた再開発が、駅前商業施設『モリシア津田沼』閉店後に計画が中断されてます。原因は建設コストの高騰です。再開発は長丁場ゆえに、経済環境にも左右されやすいのです。
続いて、20%の要素を占める“マンション選び”について。戸建てにおける“立派な家”といえば、門構えがしっかりして、手入れの行き届いた植栽を備えた豪邸が思い浮かびます。個人でこれらを手に入れるのは無理ゲーですが、区分所有者として共有するなら実現可能、これがマンションの強みです。大規模マンションなら、シンボリックな外観、ホテルライクなエントランス等、生活の“便利さ”と“見栄え”が両立する。当然、これは次の買い手にも刺さります。
一方、小規模マンションではどうしても限界があります。門構えやエントランスはシンプルで、植栽は申し訳程度。豪華さや重厚感に欠けるので、次の買い手のテンションは上がりにくい。こうした建物のスケール感や外観は購入後に変えられないので、購入時にこだわるべきと考えます。
最後に部屋について。中古マンションを売る時、室内の印象が価格に与える影響はそれほど大きくありません。多少、壁に傷があっても30万円程度のコストをかければ、クロスを張り替えることが可能なので。一方で、悩ましいのが床の張り替えです。工賃が高い上に、床暖房(※特に温水式)の場合はシステムごと交換が必要になるケースもあります。
だからこそ、マンション購入直後からラグを敷いたり、椅子脚にフェルトを貼る等して、ダメージコントロールを心がけるべきです。あとは、ペットを飼っている家の場合、匂いを残さないように気をつければ、部屋の状態の悪さでリセール価値が下がることはなくなるでしょう。
実際にマンションを売る時には不動産仲介会社に依頼するわけですが、大きく2つの契約方法があります。1社に売却をお任せする“専任媒介契約”と、複数社に並行して買い手を探してもらう“一般媒介契約”です。どちらがいいとか悪いとか単純に決められるものではありませんが、人気エリアのマンションなら一般媒介、それ以外は専任媒介でいいと私は考えています。
人気エリアの物件は売りに出したら即反響があるものなので、複数の業者に声をかけて競争させることで、より早く、より高く売れる可能性があります。他方、専任であれば、仲介会社は「買い手を見つけたら確実に手数料が入る」とわかっている為、広告宣伝に予算が割けます。
『SUUMO』等に有料掲載したり、営業部隊が本腰を入れて動いてくれるので、不人気エリアの物件でも早く売れる可能性が出てきます。婚活市場と一緒で、20代イケメンで年収1000万円ならオープンマーケットで勝負できるけど、40代のしょぼくれたおじさんは優秀な仲人(※専任媒介の信頼できる担当者)の手を借りるべきです。
ただし、専任契約では注意すべきことがあります。それは“囲い込み”。仲介会社が自社で買い手を見つけて売買手数料を“両手取引”したいが為に、他社から「物件の購入希望者がいるのですが…」と問い合わせがあっても、何かと理由をつけて断るのです。より高く、より早く売るチャンスが囲い込みによって潰されることがあるのです。
もう一つ注意すべきなのは、「この物件なら相場の2割増しでも売れますよ!」と甘言を弄する仲介会社です。そういう会社は“査定額だけ高く見せて”専任を貰い、その後は市場の反応がない価格で長らく放置。業界用語で言うところの“値こなし”をしてから、売り主が中々売れず不安になってきたタイミングで値下げを提案、ようやく取引成立というパターンです。時間を無駄にした上に、相場よりも安く手放すことになるリスクもあるのです。
という感じで、本連載では好き勝手に語らせてもらいましたが、それでもまだマンション購入を躊躇している人に伝えておきたいことがあります。よくSNS上では“賃貸vs持ち家”バトルが繰り広げられますが、日本もインフレ傾向が顕著になってきた以上、私は“持ち家一択”になってくると考えています。
住宅ローン金利は上がるでしょうが、それでも政策的に低利に抑え込まれますし、住宅ローン控除等の税制優遇が無くなることはまずありません。更に、インフレが進むほど借金の実質的な負担は軽くなっていきます。その一方で、家賃には値上げ圧力が高まる。だから買ったほうが確実に得だなと。信じるも信じないもあなた次第ですが、湾岸タワマンの妖精は、そんな現実的な理由からも東京マンションライフをオススメします! (聞き手・構成/フリーライター 栗林篤) =おわり
のらえもん マンションアナリスト・『スムログ』発起人・住み替え支援サービス『すみかえもん』プロデューサー。自身のブログやSNSでマンション購入に役立つ情報を13年以上に亘り発信。著書に『本当に役立つマンション購入術』・『絶対に満足するマンション購入術』(廣済堂新書)。