【西村博之の「氷河期戦線異状アリ!」】(09) 人間ドックの高額負担より、“本当に意味のある検査”をピンポイントで選ぶ
中年になると、以前より人間ドックでの数値を気にする人が多くなると思います。周りに病死する人も出てきたりして、「気づいたときには手遅れだった」という話を聞く度に不安になる。だから「もっと精密な検査を受けたほうがいい?」と悩むのが、中年真っ只中の氷河期世代だったりします。
とはいえ、実際にまともな人間ドックを受けるとなると10万円以上かかります。オプションで追加検査をつければ更に高額です。費用負担から「今は特に不調を感じないからな」と中々踏み出せない人が多くなり、結果的に会社や自治体による総合的な集団健康診断を受けて終わり…って人が大半でしょう。
ただ、そういった集団健康診断は、あまり意味があるとは思えなかったりします。というのも、集団の健康診断は多人数を短時間でさばく為の仕組みで、個人のリスクや体調に合わせた精密なチェックには向いていないからです。わかりやすいところで言うと、胃の検査。集団健康診断では胃カメラではなくバリウム検診が一般的ですが、バリウム検診だと、それなりにがんが大きくならないと発見されにくいです。
仮に異常が見つかっても、結局は胃カメラで再検査になることがほとんど。それなら最初から胃カメラにすれば、口腔内から食道、胃、十二指腸まで観察できるし、怪しい部分があればその場で組織を採取して詳しく調べることもできます。つまり、バリウム検診ではなく、胃カメラ一択というわけです。なので、余裕がある人なら人間ドックを受けたほうがいいわけですが、ただ正直に言えば“絶対に受けないと危険”というわけでもないと、個人的には思ったりします。
これは完全に個人的な考えで偏見も混じっていますが、人間ドックの検査項目の中で本当に意味があるのは、血液検査、胸部X線検査、腹部超音波検査、そして胃カメラくらいじゃないかと思います。胃カメラは前述の通りですが、健康診断でも血液検査と胸部X線検査は実施されることが多いですし、胃カメラや腹部超音波検査だけなら個別に受けられます。
また、氷河期世代の中年世代には自治体からの補助が出るパターンがほとんど。東京23区の多くで、氷河期世代は胃カメラが無料~2000円程度の負担で受けられます。逆に人間ドックの場合、東京都でも8000円程度の補助が出る程度です。ただ、健診を受けることは健康を維持する上で大事なのですが、人間ドックも健康診断も受診したからといって健康になるわけではありません。
どちらも健康状態を知る為の行為にすぎないですし、受診の目的は“日常的に健康でいられる”ことです。暴飲暴食をするくせに、やたらと健康診断だけは真面目に受ける人もいますが、それは“早めに病気が見つかればラッキー”くらいの話。健康を維持したいなら、根本的には生活習慣を見直さないと無駄で、どんな健診も意味がないと思いますよ。 (聞き手・構成/編集プロダクション『ミドルマン』 杉原光徳)
西村博之(にしむら・ひろゆき) 英語圏最大のインターネット掲示板『4chan』管理人・『2ちゃんねる』創設者・『東京プラス株式会社』代表取締役・『未来検索ブラジル』取締役。1976年、神奈川県生まれ。中央大学文学部教育学科卒。『僕が2ちゃんねるを捨てた理由』(扶桑社新書)・『論破力』(朝日新書)・『自分は自分、バカはバカ』(SBクリエイティブ)等著書多数。
2025年6月17日号掲載
とはいえ、実際にまともな人間ドックを受けるとなると10万円以上かかります。オプションで追加検査をつければ更に高額です。費用負担から「今は特に不調を感じないからな」と中々踏み出せない人が多くなり、結果的に会社や自治体による総合的な集団健康診断を受けて終わり…って人が大半でしょう。
ただ、そういった集団健康診断は、あまり意味があるとは思えなかったりします。というのも、集団の健康診断は多人数を短時間でさばく為の仕組みで、個人のリスクや体調に合わせた精密なチェックには向いていないからです。わかりやすいところで言うと、胃の検査。集団健康診断では胃カメラではなくバリウム検診が一般的ですが、バリウム検診だと、それなりにがんが大きくならないと発見されにくいです。
仮に異常が見つかっても、結局は胃カメラで再検査になることがほとんど。それなら最初から胃カメラにすれば、口腔内から食道、胃、十二指腸まで観察できるし、怪しい部分があればその場で組織を採取して詳しく調べることもできます。つまり、バリウム検診ではなく、胃カメラ一択というわけです。なので、余裕がある人なら人間ドックを受けたほうがいいわけですが、ただ正直に言えば“絶対に受けないと危険”というわけでもないと、個人的には思ったりします。
これは完全に個人的な考えで偏見も混じっていますが、人間ドックの検査項目の中で本当に意味があるのは、血液検査、胸部X線検査、腹部超音波検査、そして胃カメラくらいじゃないかと思います。胃カメラは前述の通りですが、健康診断でも血液検査と胸部X線検査は実施されることが多いですし、胃カメラや腹部超音波検査だけなら個別に受けられます。
また、氷河期世代の中年世代には自治体からの補助が出るパターンがほとんど。東京23区の多くで、氷河期世代は胃カメラが無料~2000円程度の負担で受けられます。逆に人間ドックの場合、東京都でも8000円程度の補助が出る程度です。ただ、健診を受けることは健康を維持する上で大事なのですが、人間ドックも健康診断も受診したからといって健康になるわけではありません。
どちらも健康状態を知る為の行為にすぎないですし、受診の目的は“日常的に健康でいられる”ことです。暴飲暴食をするくせに、やたらと健康診断だけは真面目に受ける人もいますが、それは“早めに病気が見つかればラッキー”くらいの話。健康を維持したいなら、根本的には生活習慣を見直さないと無駄で、どんな健診も意味がないと思いますよ。 (聞き手・構成/編集プロダクション『ミドルマン』 杉原光徳)
西村博之(にしむら・ひろゆき) 英語圏最大のインターネット掲示板『4chan』管理人・『2ちゃんねる』創設者・『東京プラス株式会社』代表取締役・『未来検索ブラジル』取締役。1976年、神奈川県生まれ。中央大学文学部教育学科卒。『僕が2ちゃんねるを捨てた理由』(扶桑社新書)・『論破力』(朝日新書)・『自分は自分、バカはバカ』(SBクリエイティブ)等著書多数。