【西村博之の「氷河期戦線異状アリ!」】(11) 報われない氷河期世代には、上手な“静かな退職”こそ理に適った選択肢
昭和の時代、“24時間、戦えますか。”という、今聞いたらコンプライアンス度外視のテレビCMがあったのを、氷河期世代なら覚えていると思います。そこから36年。令和になり、出世を目指してゴリゴリ働くのではなく、最低限の業務だけをこなす“静かな退職”という言葉が話題になっています。
会社勤めをしつつ、やる気を出さず最低限の働き方をするという、公務員とかでよくある働き方を目指す人達の働き方らしいのですが、『マイナビ』の調査によれば、会社員の4割超は自らがこれに該当すると回答。特に20代と50代に多いらしいです。
若い世代の給料アップが話題になる一方、頑張っても報われない氷河期世代にとっては、静かな退職はそれなりに理に適った選択でもあります。そもそも給料が上がらないような氷河期世代が、今更転職や起業をしてもリスクが大きい。だったら定年まで逃げ切るという発想は全然ありだと思うのです。
世界的に見ても、管理職でもない人が静かな退職モードなのは普通のことです。どこの国でも飲食店やスーパーマーケットの店員とかは、大体適当にやっています。もちろんアメリカは“雇用は自由”なので、突然クビになることもありますが、ヨーロッパは日本と同様に労働法が強くて、いきなり解雇できない国が多い。だから皆、基本的に頑張らなかったりするのですね。
日本も同じで、成果が出なくてもきちんと仕事をしていれば解雇は原則できません。中小企業の中にはそういうことをしてくる会社もありますが、その場合は労働基準監督署に駆け込めばいいだけです。ただ、静かな退職を実行するのには難しい面もあります。というのも、まともな会社ほどやる気がないことが簡単にバレるからです。
会議で発言しなかったり、定時で帰ったり、はたまた日々の成長意欲が見えなかったり――。そんな人は、リストラを進めている会社であれば真っ先に対象者リスト入りです。だからといって簡単に解雇されるわけではないのですが、周囲から“いつ切られてもおかしくない人”と見られながら仕事を続けるのは針のむしろだし、それなりにストレスもあると思います。
とはいえ、下手にカムフラージュしようと、やる気を演出するのは逆効果。まともな会社であればあるほど“意欲ではなく成果”で評価するので、表面上やる気アピールをしておきながら成果が出ていないと、悪目立ちする可能性が高くなると思うのですね。なので、下手な小細工はせずに、業務には最低限ちゃんと応じて、必要なメールは返し、会議ではたまに相槌を打つとかして、空気に同化して目立たないくらいのほうが安全だったりします。
その上で、リストラ対象に入っても大丈夫なように、転職活動を始めるとか、アルバイトでも生きていける生活レベルに落とすとか、セーフティーネットをつくっておけば完璧。だって、成果を出さない人は、会社からすればお荷物でしかないのですから。 (聞き手・構成/編集プロダクション『ミドルマン』 杉原光徳)
西村博之(にしむら・ひろゆき) 英語圏最大のインターネット掲示板『4chan』管理人・『2ちゃんねる』創設者・『東京プラス株式会社』代表取締役・『未来検索ブラジル』取締役。1976年、神奈川県生まれ。中央大学文学部教育学科卒。『僕が2ちゃんねるを捨てた理由』(扶桑社新書)・『論破力』(朝日新書)・『自分は自分、バカはバカ』(SBクリエイティブ)等著書多数。
2025年7月8・15日号掲載
会社勤めをしつつ、やる気を出さず最低限の働き方をするという、公務員とかでよくある働き方を目指す人達の働き方らしいのですが、『マイナビ』の調査によれば、会社員の4割超は自らがこれに該当すると回答。特に20代と50代に多いらしいです。
若い世代の給料アップが話題になる一方、頑張っても報われない氷河期世代にとっては、静かな退職はそれなりに理に適った選択でもあります。そもそも給料が上がらないような氷河期世代が、今更転職や起業をしてもリスクが大きい。だったら定年まで逃げ切るという発想は全然ありだと思うのです。
世界的に見ても、管理職でもない人が静かな退職モードなのは普通のことです。どこの国でも飲食店やスーパーマーケットの店員とかは、大体適当にやっています。もちろんアメリカは“雇用は自由”なので、突然クビになることもありますが、ヨーロッパは日本と同様に労働法が強くて、いきなり解雇できない国が多い。だから皆、基本的に頑張らなかったりするのですね。
日本も同じで、成果が出なくてもきちんと仕事をしていれば解雇は原則できません。中小企業の中にはそういうことをしてくる会社もありますが、その場合は労働基準監督署に駆け込めばいいだけです。ただ、静かな退職を実行するのには難しい面もあります。というのも、まともな会社ほどやる気がないことが簡単にバレるからです。
会議で発言しなかったり、定時で帰ったり、はたまた日々の成長意欲が見えなかったり――。そんな人は、リストラを進めている会社であれば真っ先に対象者リスト入りです。だからといって簡単に解雇されるわけではないのですが、周囲から“いつ切られてもおかしくない人”と見られながら仕事を続けるのは針のむしろだし、それなりにストレスもあると思います。
とはいえ、下手にカムフラージュしようと、やる気を演出するのは逆効果。まともな会社であればあるほど“意欲ではなく成果”で評価するので、表面上やる気アピールをしておきながら成果が出ていないと、悪目立ちする可能性が高くなると思うのですね。なので、下手な小細工はせずに、業務には最低限ちゃんと応じて、必要なメールは返し、会議ではたまに相槌を打つとかして、空気に同化して目立たないくらいのほうが安全だったりします。
その上で、リストラ対象に入っても大丈夫なように、転職活動を始めるとか、アルバイトでも生きていける生活レベルに落とすとか、セーフティーネットをつくっておけば完璧。だって、成果を出さない人は、会社からすればお荷物でしかないのですから。 (聞き手・構成/編集プロダクション『ミドルマン』 杉原光徳)
西村博之(にしむら・ひろゆき) 英語圏最大のインターネット掲示板『4chan』管理人・『2ちゃんねる』創設者・『東京プラス株式会社』代表取締役・『未来検索ブラジル』取締役。1976年、神奈川県生まれ。中央大学文学部教育学科卒。『僕が2ちゃんねるを捨てた理由』(扶桑社新書)・『論破力』(朝日新書)・『自分は自分、バカはバカ』(SBクリエイティブ)等著書多数。