景観悪化とまぶしい太陽光パネル 課題解決しないままメガソーラーが商業運転開始 住民の声置き去りに
■誇りだった景観に違和感
露わになった山肌に並ぶ太陽光パネルに、拭い切れない違和感を抱え続ける人もいる。 福島市町庭坂に設置された吾妻連峰を見渡せる展望ベンチは、地元の町内会が3年から4年くらい前に設置した。 先達山の麓で暮らす梅津朝雄さんは、町内会のメンバーと一緒に植物を植えたり草を刈ったりしながらベンチを管理している。 「通る人、特にこの地域の人たちにここまで出てきて頂いて、吾妻連峰を眺めながらゆっくりとしてもらいたい。そんな思いで設置しました。吾妻連峰は私たちの誇りです」と梅津さんはいう。
■吾妻山のきれいな姿を残したい
子どもの頃から見てきた故郷の景色は、メガソーラーの建設により“一変”した。 梅津さんは「昔から吾妻山を見て育ったものですから、違和感を感じます。あの奥には吾妻山のいいところが見えるのですが、手前のあの景色はやはりない方がいいと思います」と話した。 現在の売電期間が終わるのは15年後の2040年。これからは、メガソーラーがある景色が“日常”になっていく。 「日本の置かれている状況も関係すると思いますので、反対・反対と言いたくないですが、もう少し場所を選んでやってもらいたかった。子どもたちには、吾妻山のきれいな姿をそのまま残していただきたいと思います」と梅津さんは語った。
福島県によると、2024年度の県内の再エネ導入量は、エネルギー需要に比べて59.7%。2023年度より約5ポイント上昇した。2040年度までに100%を目指す福島県の目標に沿うならば、抵抗感を持たれないやり方を模索しなくてならない。
福島テレビ
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