中国が国内線でモバイルバッテリーの機内持ち込みを6月末に禁止し、市民の不満が高まっている。中国独自の規格を満たした製品のみを許可した結果、空港で多くの人が没収される事態に。その後、「空港仕入れ」をうたう格安中古バッテリーの販売がオンライン上に登場し、没収品の横流しとして空港や転売業者への批判に火が付いた。(北京・石井宏樹、写真も)
◆6月26日に緊急通知、空港にはバッテリーの山
始まりは6月26日の緊急通知だった。中国民航局が、中国の独自規格「中国強制製品認証」(3C)の表示がないバッテリーの国内線持ち込みを禁止した。
バッテリーに3C認証が義務付けられたのは約11カ月前の昨年8月で、認知度は低い。その上、禁止が通知からわずか2日後に施行されたため、空港では没収されたバッテリーの山ができた。浙江省杭州市の空港では、直後の10日間で計1万8000個のバッテリーを没収したと地元メディアが報じた。
検査も厳格化され、多くの空港で通常の安全検査レーンに加え、バッテリー検査専門レーンもできた。記者が7月中旬に搭乗した際は、検査を通ったバッテリーを機内で使用できないよう、ポリ袋に入れることを求められた。
市民から不満の声が高まる中、中国共産党機関紙「人民日報」は規制の経緯について記事で今年に入って15件の電池発火が起こっているとし、「リスク管理の緊急性から、実施の実現可能性とリスクの重大性を総合的に評価して、通知を出した」と釈明。市民も認証済みのバッテリーを購入して、次第に批判も沈静化した。
◆表向きは転売が起こり得ないはずなのに
しかし、新規制の導入後、半月がたつと、没収されたとみられるモバイルバ...
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