「あっ、もう出てたんだ! お待たせー!」
フウロさんとの電話が終わって少し待っていると、ハルカがお風呂から出てきた。
「はー、気持ち良かったー……」
「そうだな。こんなに良いものだとは思わなかった」
「でしょ? でも結構長湯しちゃったし、待たせちゃったかな?」
「いやいや全然。何なら待ってる間に電話来たし、むしろ丁度良かったかも」
「電話? お友達から来たの?」
「お友達……なのか? いや、うーん……友達というか、なんというか……」
そういえばフウロさんと俺ってどういう関係なんだろうな。
友達って括りは何か違うような気もするし、ただの知り合い……ってのもよそよそしいよな。
「……もしかして、女の子?」
「え? よくわかったな」
「……な、なんでこう……シバリくんは女の子ばっかり……」
頭を抱えながらそう言ったあと、ハルカはジト目でこちらを見つめてきた。
「……もしかして、シバリくんのお友達って女の子しか居ない?」
「そんなことないが!?」
「……ホントに?」
「ホントだ! 居るんだよ! ガラルに大親友が!!」
元気にしてるかなホップ。別れてまだ数日ではあるけど既にちょっと寂しいぞ俺は。
「……ふーん」
少し疑うような目線を向けてくるハルカだが、残念ながらホップは実在している。
イマジナリーフレンドなんて寂しいものじゃないんだ。すまんなガハハ。
「じゃあその人以外は?」
「え?」
「その人以外に同性のお友達って居る?」
「……えーっと」
俺は指で数えながら頭の中にこれまで出会った人達を思い浮かべる。
ダンデさんは友達って枠組みじゃないし、フェイさんもそう。
あとはラズ、ヒカリ、シロナさん、フウロさん、セツさん、トウコ、メイ、ルリ、キルネアさん、ユウリ、マリィ、ソニアさん、サイトウさん。
あとは今日知り合った人も含むならカガリさんとカミツレさんか……。
「……居ない」
「待ってそれじゃあ今指で数えてた人全員女の子なの!?」
「いや、この内二人は男性だけど……」
「それでも二人!?」
う、薄々察してはいたけど、こう見ると性別の偏りが酷いな……。
「そ、そんなにたくさんの女の子と知り合いなら、今までにも何人かに告白とかしてるんじゃ?」
「告白……? 今まで告白したのは生まれてこの方一人だけだぞ?」
「えっ?」
ハルカが少し赤くなって固まった。……変なこと言ったかな?
「そ、その……じゃあ、なんで……?」
「……? ああ、好きになった理由ってことか?」
「な、なんでそんな自分からあっさり!? ……えっと、うん……」
「理由かぁ……。なんと言うか……」
こう、いざ思い出すとなんとも小恥ずかしいものがあるが、どうせ本人も居ないのだし、言ってしまおう。
「ありふれた理由かもしれないけど、笑顔が好きになっちゃってさ。だから、俺がその笑顔の理由になりたいって思ったんだ」
「ひぅっ!? ……そ、そっか……」
「?」
ハルカが手で顔を覆ってしゃがみ込んでしまった。よく見ると耳まで真っ赤になっている。
あれかな、人の恋バナとかでも恥ずかしくなっちゃうタイプなのかな。たまにいるよね、そういう人も。
「そ、そんなに真っ直ぐ言われたら、ちょっと心臓に悪いって言うか……」
うん。やっぱりそうっぽい。ここまで恥ずかしがられると言った俺まで少し恥ずかしくなってくるな。
「……よし、この話はここまでにしよう。変に掘り返すような話でもないしさ」
「……う、うん……」
頷いてくれたハルカだったが、まださっきのことが尾を引いているのか、顔を赤くしたままだった。
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マグマ団のアジトにて、マツブサはとある人物に電話をかけていた。
「アンタから電話とは珍しいな。何の用だ?」
「急にすまないな、アオギリ。元気そうでなによりだ」
電話の相手はアオギリ。アクア団のリーダーだ。
マグマ団とアクア団は、お互いの目的の為に争い合っていた過去こそあるものの、とある一件により敵対関係は解消され、今となってはむしろ団の垣根を越えて協力し合うような関係になっていた。
「そっちこそ元気そうじゃねぇか。んで? なんかあったのか?」
「さっきフエンタウンに居るカガリから電話があってな。話を聞いた感じだと、大量のフエンせんべいを土産に買ってきているらしい」
「フエンせんべいか。美味ぇよなぁアレ」
「それには同意だ。だが、聞いている限りとてもじゃないが我々では食べきれなさそうな量でな。あとでそちらにも少し送って構わないか?」
「そいつは良いな。そうと決まればアクア団からもなんか送ってやるよ。"ニビあられ"なんてどうだ? こっちも土産とか言ってウシオの野郎が大量に買ってきやがったんだ」
「ふっ、これではお互いに余り物を押し付けているだけではないか」
「こまけーことは言うもんじゃないぜ、マツブサよぉ」
そんな風に話して、二人は笑い合った。
少し前まではこんな風に話せるときが来るとは思っていなかった。二人が……いや、マグマ団とアクア団がこうして仲良くできているのは、ハルカの尽力によるものが大きかった。
「……そういえば、もうひとつ伝えておくことがあるのだ」
「……そいつは、真面目な話か?」
「いかにも。これは我々マグマ団だけでなく、アクア団にも共有すべきニュースだ」
「聞くぜ」
アオギリに緊張が走る。マツブサが共有すべきと言う情報とは一体──。
「ハルカちゃんに……春が来た」
「なにィ!?」
アオギリは座っていた椅子ごと倒れた。
聞き間違いかと思い、急いでマツブサに確認する。
「おいマツブサよぉ! そりゃあマジの話か!? ハルカちゃんに春が来たってのは!」
「カガリからの情報だ。間違いない」
「……マジ、かよ。あの、恋愛の"れ"の字も知らないようなハルカちゃんが……?」
アオギリからすれば確かにコレはビッグニュースだった。共有してくれたマツブサには感謝しかない。
「……マツブサ。わかってんな?」
「ああ、余計な手出しはしまい。だが、我々は全面的にハルカちゃんを応援し、見守っていく所存だ」
「ウチも同じだ。ハルカちゃんには世話んなったからな」
「……ただ」
「あん?」
マツブサの声が暗くなった。何か気になることでもあるのかとアオギリが構えていると、マツブサは口を開いた。
「その……カガリが、ハルカちゃんの彼氏に興味を持ってしまったようでな……?」
「……何も聞かなかったことにしとく」
そのままアオギリは電話を切ろうとした。
「待てアオギリ! 今こそ団の垣根を越えて協力するべきだろう!?」
「バカかお前は!? いくらなんでもそりゃ管轄外ってやつだ!」
「わかった! 次にそちらのウシオが暴走したときはこちらも全面的に制止に協力しよう! これでどうだ!!」
「起きるかどうかもわからねぇことを条件に出してんじゃねぇよマツブサァ!!!」
「保険は大事なのだぞアオギリィ!!!」
そんなくだらない言い争いを、二人の部下であるホムラとイズミは苦笑いしながら見守っていた。
・ハルカ
勘違いが止まらない。
ただいまフルスロットルで加速中。
・シバリ
同性の友達もっと欲しい……
・アオギリ
アクア団のリーダー。ダンデに続いて椅子ごとぶっ倒れた人。
ハルカのおかげもあり、マグマ団とは良い関係を築いている。
どの手持ちポケが一番良かった?
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シバリ:ムクホーク
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シバリ:ジュカイン
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シバリ:シャンデラ
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シバリ:パルシェン
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シバリ:ゴローニャ
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シバリ:ケッキング
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ラズ:エレキブル
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ラズ:ドドゲザン
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ラズ:ギャラドス
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ラズ:ドーブル
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ラズ:カクレオン
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ラズ:メタモン
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サイトウ:柔道整復師カイリキー