30U30

2025.09.29 14:15

ヒットを支える若き神絵師 後進育成で築くアニメの未来(けろりら):30 UNDER 30

アニメーター けろりら

アニメーター けろりら

2025年8月25日発売のForbes JAPAN10月号は「30 UNDER 30」特集。30歳未満の次世代をけん引する若い才能に光を当てるアワードで『Forbes JAPAN』では18年より開催し、7年間で総計300人を選出してきた。

今年も4つのカテゴリから30人を選出。ART&STYLE部門の受賞者のひとりが、アニメーターのけろりらだ。『ぼっち・ざ・ろっく!』などのヒット作を手がけ、いま勢いに乗る彼が、20代にしてすでに視線を向けているのは、アニメーター育成を通じて切り拓くさらなる日本アニメの可能性だ。


現在、日本のアニメの世界的な市場規模は3兆3465億円(日本動画協会「アニメ産業リポート2024」)と右肩上がり。ジャパン・クオリティを支えるアニメーターのなかでも、生き生きとした表情や演出でキャラクターに命を吹き込むとして同業者からも信頼が厚いのがけろりらだ。

出世作は、陰キャな女子高生がライブハウスでのバンド活動に挑むアニメ『ぼっち・ざ・ろっく!』(原作:はまじあき/2022年秋放送)。キャラクターデザインと総作画監督を務めた本作は大ヒットを記録し、2023年には米国のアニメサイト『Anime Treding』が発表したアワードで大賞「ANIME OF THE YEAR」を含む当時史上最多8部門を受賞した。

アニメーターを志し、見よう見まねでこなす日々

幼少期から、日本画を描く父の身の回りには常に本格的な画材があり、自然に絵を描く環境にあった。美術の時間に先生に褒められ、友達に「絵、描いてよ」と頼まれるのが嬉しくて絵を描き続けたが、それが仕事になるとは思っていなかった。

デザイン系の大学に進学したものの、すぐに退学。アルバイトをしながらインターネット上で作品を発表する日々を送った。そんな折に訪れたイラストレーターのイベントがひとつの転機となる。

「オーストリア出身のBahiJD(バヒジェイディー)さんがライブペイントをしていて、最初は一枚一枚何を描いているか分からなかったんですが、最後に再生したら絵が動いて。その時、こういう仕事があるんだ!と、アニメーターという職業を知りました。その後、アニメ制作会社が募集を出していたので、勢いと流れのままにイラストを見せに行って。『線下手だねー』と言われつつ、入れてもらいました」

経験ゼロから見よう見まねで仕事をこなす日々。やがて、アニメ制作会社Clover Worksのアニメーションプロデューサー・梅原翔太から声がかかった。2度目の転機となったのは、野島伸司が初めてアニメの原案・脚本を務めたオリジナルアニメ『ワンダーエッグ・プライオリティ』。作画監督という責任あるポジションを担い、監督や演出陣、現場全体から寄せられる高度な要望に応えた。

「大変だし、途中でアニメーターを辞めようと思ったこともありました。けれど、終わって振り返ってみるとやり遂げた感がありましたし、多くの人と連携を取る仕事を通して、実感を持って『アニメ作りの一員になれた』と思えたんです」

次ページ > 強みは「真面目にコツコツ」

文=山脇麻生 写真=帆足宗洋(AVGVST) スタイリング=鹿野巧真 ヘアメイク=MIKAMI YASUHIRO

連載

「30 UNDER 30」2025

ForbesBrandVoice

人気記事

Forbes BrandVoice!! とは BrandVoiceは、企業や団体のコンテンツマーケティングを行うForbes JAPANの企画広告です。

2025.09.30 11:00

「無敵じゃん!」ギャルマインドを説く起業家・赤荻瞳が見たSamsung Galaxy Z Fold7の実力

ギャル雑誌『egg』を復刊し、渋谷女子インターナショナルスクールの校長として若者の成長を支援している赤荻瞳。仲間を励まし、失敗を恐れない「ギャルマインド」を宿して挑戦へと導く姿勢は彼女の教育観の根幹であり、同時に最先端テクノロジーが惜しげもなく搭載されたSamsung Galaxy Z Fold7の存在と重なり合う。それはなぜか。


赤荻が、渋谷女子インターナショナルスクール(通称シブジョ)を開校したのは2023年。

通信制サポート校の仕組みを活用しながら、従来の学習指導に加えてSNS運用や動画編集、英会話、メイクといった実践的なプログラムを取り入れている点が特徴だ。東京ガールズコレクション(TGC)がプロデュースするガールズフェスタ「TGC teen」の運営に、学生がインターンとして参加する機会を提供するなど、社会と直接つながる学びの場も整えている。

この教育方針の根底にあるのは、座学で培うような学力だけでなく「行動力」を重視する姿勢である。赤荻は「若い世代が世界に挑むには、知識だけでは足りない。自ら発信し、動く力が不可欠だ」と語る。『egg』の編集長として発信の最前線に立ち続けた経験が、その信念を支えている。

赤荻自身、中学卒業後に定型的な進路を選ばず、渋谷でギャルとしての自己表現を続けてきた。その原体験が「失敗を恐れずに挑戦し、経験から学ぶ」という教育方針に直結している。シブジョは、自己表現と実践を通じて「行動力」を養い、若者が社会へと一歩踏み出すためのプラットフォームを目指している。

Samsung Galaxy Z Fold7は「まるで秘書」。PCに匹敵する生産性も

赤荻がSamsung Galaxy Z Fold7を手にして最初に口にしたのは、「これならPCはいらないですよね!?」という驚きの言葉だった。

日本一のギャルマインドを持っていると自負する赤荻は、校長としてシブジョの魅力を自らSNSで発信しながら、日常的に生徒の相談にのり、さらには日本各地で講演活動もこなす日々を送る。スマートフォンは立ち止まらずに発信を続けるための欠かせない仕事道具のひとつだ。

従来は講演資料の作成や事務作業のためにPCを持ち歩く必要があったが、決して軽くない本体の重量からその負担は大きかった。

一方、Samsung Galaxy Z Fold7は重さがわずか約215gと軽量だ。開いたときの約8インチのメインディスプレイは資料やスライドを大画面に表示でき、オンライン会議でも複数の画面を並べながら作業が進められる。

さらに価値を高めているのが、端末に搭載されたAI機能の数々だ。Samsung独自のGalaxy AIとGoogleのGeminiを併用できることで、高速処理を実現する。スケジュール確認からリマインド、必要な相手へのメール送信まで、主要な複数のアプリを横断してアシストしてくれる。従来、タスクに応じて使用するアプリとその順序をユーザー自ら考えることが当たり前だったが、こうしたプロセス設計が不要になるというわけだ。

赤荻は「まるで秘書がいるみたい」と表現する。これまで、メールの送り間違いや海外滞在時のスケジュール管理に不安を感じることもあったというが、AIのアシストによってその種の負担が軽減されると評価している。

渋谷女子インターナショナルスクール校長 赤荻瞳
渋谷女子インターナショナルスクール校長 赤荻瞳

このサポートによって生まれるのは「余白の時間」だ。

「事務作業とかが苦手で、正直めんどうに感じることも多いんです。でもGalaxy Z Fold7があれば効率が上がって、その分もっと生徒と向き合ったり、発信に時間を使えるようになったりします。自由な時間が増えるのは本当にありがたいです」

パワフルなAIで加速する自己表現

Samsung Galaxy Z Fold7を通じて、赤荻が特に利便性を実感したのは「生成AI編集/フォトアシスト」「オーディオ消しゴム」「かこって検索」「文字起こし・要約」の4つの機能だ。

赤荻が使用しているデバイスでは、SNSに掲載する画像に不要なものが写り込んだ場合、撮り直しやマスキング処理が必要だという。

Samsung Galaxy Z Fold7では写真上の不要なオブジェクトをAIが自動で認識、手軽に消去できる。生成AI編集は基本的にクラウドベースだが、不要物の消去などはオンデバイスでも処理でき、レスポンスの速さを実現している。

また「オーディオ消しゴム」を使えば、ノイズや風の音を取り除き、動画の被写体となる人物の声のみをクリアに記録できるなど、欲しい音だけを残すことができる。

シブジョに通う若者たちはインフルエンサーになりたいとSNSでの発信作業に力を入れている人も多いという。赤荻は「これなら不要なものが映り込んでも、声が聞きとりづらくても撮り直しが要らないですね。しかも仕上がりも自然すぎてヤバい!これは全インフルエンサーが使うべきだと思います」と評価する。

「かこって検索」は、SNSや動画に写る対象を指で囲むアクションだけで対象が認識され、すぐにWeb検索できる機能。写真に写る人物が着ている服のブランドや販売店舗の場所を調べる際にも、スクリーンショットした画像を検索エンジンで調べる手間を省くことができる。

さらに「文字起こし・要約」機能は、録音ファイルを自動で文字化し、要点を整理してくれる。赤荻は「この機能を活用すれば、講演準備や資料づくりの効率が格段に上がる。これまで半日かかっていた作業が1時間で終わりそう。このほかにも、効率化できることが無限にあるような気がします」と語る。

文字起こし・要約の機能は授業内容の整理にも役立つ。こうしたAI機能と大画面の組み合わせにより、資料作成や情報収集、SNS投稿の準備が格段にスムーズになる。「Galaxy Z Fold7は、シブジョの生徒にもおすすめしたい」と赤荻は語る。

折りたためる外装からL字に自立させられることで、SNS用の動画撮影やライブ配信を行う際により場所を選ばなくなる。充実したソフトウェアだけでなくハード面でも勝手の良さがあることで、生徒が情報の「受け手」からいち早く「発信者」へと変わる原動力にデバイスがなりうる。

まさに、シブジョが掲げる「渋谷から世界へ」という理念を体現するデバイスといえる。

Samsung Galaxy Z Fold7の大画面でこそ機能を発揮する「かこって検索」。(写真提供:サムスン電子ジャパン)
Samsung Galaxy Z Fold7の大画面でこそ機能を発揮する「かこって検索」。(写真提供:サムスン電子ジャパン)

 デバイスが自己決定を後押し。スマホ選びは「相棒選び」

赤荻が一貫して実践してきたのは、「前向きなマインドをもち、自分の意思で動くこと」だ。

『egg』の復刊も、シブジョ設立も、その起点には自己決定があった。「どんなに小さな選択でも、自分で決めることで人生は変わる」と赤荻が語る言葉には、強い信念が宿る。人生は選択の連続だ。その過程において、常に頼れる存在があることは安心と余裕を生む。折り畳めばポケットに収まり、開けば快適な作業空間が広がるSamsung Galaxy Z Fold7は、まさにそうした役割を担う1台だ。

「これまで何気なく選んできたスマートフォンですが、Galaxy Z Fold7を使ってみて、ちゃんと選ばなきゃと思い直しました。スマホは1日のなかで誰よりも長く一緒にいる、いわば相棒ですからね。見た目もかっこいいですし、持っているだけで“シゴデキ”と思われそう。無敵じゃん!と思います」

最先端のAIにインターフェースが最適化されたSamsung Galaxy Z Fold7は、これまでにない体験価値を提供するデバイスへと進化している。Samsung Galaxy Z Fold7は、赤荻をはじめとするあらゆるクリエイターにとって、次の挑戦を後押しし、創造の可能性を切り拓くインターフェースとなるだろう。

サムスン電子ジャパン
https://www.samsung.com/jp/


あかおぎ・ひとみ◎2018年、復刊したギャル雑誌『egg』の編集長に就任。SNS発信者としても注目され、2023年には渋谷女子インターナショナルスクールを開校し、校長に就任。同年、Forbes JAPAN「30 UNDER 30」に選出。

Promoted by サムスン電子ジャパン | text by Motoki Homma | photographs by Jin Saito | edited by Aya Ohtou (CRAING)

UNDER 30

2025.09.25 14:15

「百年変わらない銭湯を」文化継承と経営の最適解

ゆあそび 代表取締役社長の関根江里子

ゆあそび 代表取締役社長の関根江里子

2025年8月25日発売のForbes JAPAN10月号は「30 UNDER 30」特集。30歳未満の次世代をけん引する若い才能に光を当てるアワードで『Forbes JAPAN』では18年より開催し、7年間で総計300人を選出してきた。

今年も4つのカテゴリから30人の受賞者を選出。BUSINESS & FINANCE & IMPACT & LOCAL部門の受賞者のひとりがゆあそび 代表取締役社長の関根江里子だ。


東京・原宿の交差点にある商業施設「ハラカド」の地下に、2024年4月に開業した「小杉湯原宿」。高円寺で90年以上の歴史を誇る老舗銭湯の、初となる2号店だ。

「小杉湯原宿」を構えるフロア一帯には、老若男女が月間10万人も訪れる。この銭湯をつくったのが、ゆあそび 代表取締役社長の関根江里子だ。フィンテック企業の取締役COOという華やかなキャリアを離れ、銭湯の世界に飛び込んだ異色の経歴の持ち主。その原動力は、父と通った幼少期の記憶と、社会への静かな憤りにあった。

「銭湯だけが、ありのままでいられる場所だった」

関根は中国・上海生まれ。戦争を経験した父と、文化大革命を生き抜いた上海出身の母との間に、父が60歳、母が40歳の時に生まれた娘だった。

「両親ともに家庭環境や時代の影響で、思うように勉学に励めなかったと聞いています。特に父親は満足に学校に通えなかったそうで、『この子にだけは学歴を』と、2人とも必死に働いて、小学校3年生から塾に通わせてくれた。仕事が忙しくて運動会や授業参観に来たことはないけれど、塾の送り迎えだけは欠かさなかった。2人はそうすることで、これまでの人生をひっくり返したかったんだと思います」

そんな子ども時代には、社会の理不尽さも肌で感じていた。清掃業の仕事帰りで作業着姿の父と、塾の帰りに並んで歩いていると「誘拐では」と通報されたことも一度や二度ではない。

「『進学塾のカバンを背負っている子の保護者が、こんな身なりなわけがない』と他の親御さんに嫌味を言われたこともあります。母は中国人というだけでPTAから疎外されもしました。両親を介して見る社会の不条理さが、毎日何かしらありました」

そんな関根にとって、唯一ありのままでいられる場所が銭湯だった。学校では、高齢の父のことを「おじいちゃん?」と聞かれるのが恥ずかしかったが、銭湯では誰も干渉しようとしない。身なりや肩書きが意味をなさなくなり、自分らしくいられる唯一の場所だった。

それだけでなく、銭湯は生きた教科書でもあった。家庭で日本の文化や行事ごとに触れる機会がなかった関根は、学校で「お正月は何したの?」などと聞かれるのが怖かった。ただ、銭湯ではそれを学ぶことができた。

「例えば七夕には笹が飾ってあったり。銭湯に行けば、次の日学校で話す“ネタ”ができた。私にとって銭湯は居心地がよい場所だったんです。学校で浮かずに済んだ、というのがあの頃の等身大の気持ちですね」

次ページ > “マネーゲーム”からの脱出

文=堤 美佳子 写真=帆足宗洋(AVGVST)

連載

「30 UNDER 30」2025

advertisement

ForbesBrandVoice

人気記事