殴り書き

悔しい。
何度夜を問い重ねても、哀しきかな、
自分が人生を賭けて追求してきた将棋は、
時勢の大局から遠きところに置き捨てられていくような存在なのかも知れないと自覚するに至った。

一局の勝負の観点ではまた別であろう。居飛車党の方の熾烈な研究合戦の影響でかえって振り飛車党が様々な恩恵を受けている面もあると思う。またキャラクターになり本当にありがたいお声を掛けて頂いたり実生活面でも多大な恩恵を受けていると思う。ハッキリ言って表面的にはかなり得をしていると見られても不思議ではない。

ただ、私は19で棋士の道しかないと思った時に、三間飛車の優秀さを人生を賭けて証明する事にロマンを感じたからこそ挑戦して夢を追っていたのだ。AIの登場で価値観がガラリと変わり、その意味での追求の道は限りなく狭く閉ざされつつある。
自分が好きな指し方、思考を重ねた渾身の指し手を表現しているのに心のどこかで評価値がマイナスである事を自覚しながら生きていく事の苦しさ! この苦しみを違う形で共感してくれる方はこの世界にいるのだろうか?

ただここで注意しなければならないのは、
三間飛車という宇宙を私はまだ1パーセントも理解できて居ないという事だ。ようやく何も分かっていない事が分かってきた。
人類の中では理解している方だとは思うが、残念ながら圧倒的に努力が足りないと思う。
昨今のAIの席巻や現実の三間飛車最前線の攻防における実感として、大局観としてはいよいよ苦しくなって来たなと感じているという話だ。具体的にこう苦しいという事はほぼ何も分かっていない。やはり何度考えても将棋は深く美しいと思う。


…言葉が深い意味を持たなくなるのも時間の問題であるから私は急がなければならない。

もはや何を証明すれば良いのか分からない。尊敬する西田さんの「振り飛車を滅ぼそうとしている」の言葉の意味に向き合いつつある。

評価値など関係なく…
三間飛車の配置とか動きとかどう考えても綺麗でカッコいいだろうが!!!! 
それだけじゃダメなのか?評価値が綺麗なグラフの棋譜じゃなきゃダメか?

…良いのか別に。人間の中で強ければそれで面白くて美しいと思ってもらえるのか。

私は正直、人間の勝負で勝てなくても定跡の中に、歴史の中に足跡を残せればそれで良いと考えていた節があった。
…甘過ぎる。死んでしまえ。

綺麗な定跡を残すのが使命だと思っていた。
本気でAIを言い負かそうと思っていたんですよ。
毎日毎日AIに言い負かされていくうちに頭がおかしくなりそうになっていった…
馬鹿だなと冷笑してくれて構わない。とにかくどうやらAIには勝てない。

人間にも元々あんまり勝てない。才能も体力も無ければ根性も… 根性はあるかな。
それでも勝たせて欲しい。人間に勝つしか存在を証明出来ないみたいだ。
それとも… 評価値に必ずしも合致していなくても私が書く三間飛車の定跡書を皆は美しいと思ってくれるか?
思ってくれればAIに一矢報いた事になるのだろうか。

どう考えても、時間が無い。
私はある意味ではもう死にそうな存在だと思う。
色々な人間の将棋が好きだった…今も好きなんだ。負けても、あなたの将棋美しいねって言いたかった。
しかし甘過ぎるのかな?だからこんな程度なのかな。

対局室の澄んだ朝、調和の取れた和室と美しい盤と駒。純粋なるものとの対峙…その穏やかさの中に秘めたる激しさ…
そういった要素に感謝とシンプルな幸福を感じられる事が救いだ。

言わなくとも伝わると思うしもう2度と言わないが私はAIを恨んでいる。彼らは僕の好きなものを奪って行った。AIとの共存など鼻で笑わせるような戯言を言わないで欲しい。

…ただ、もしかすると私の未熟さがスッーと蒸発するように少しずつ溶けていったとして。
AIを受け入れられる日が来るのかも知れない。多くの人間を救う夢が詰まっているのは紛れもない事実なのだから。

私に優しくしてくれる全ての人、私の将棋を観てくれる全ての方ありがとう。
あまり期待はしていないと思うけど、足掻いてみます。人間に勝って、AIを受容したい。
そうして何周もして、やっぱり人間の美しさ
に乾杯したいんです。

山本博志

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