転生者達の新エリー都、二足のわらじ生活 作:フライパンソルジャー
新エリー都市内
ヤヌス区六分街に店舗を構えるビデオ屋「Random Play」、ここ一帯の唯一のビデオ屋は顔の整った兄妹が店長兼従業員として経営していた。
兄妹は引っ越してきたばかりであり、近所への挨拶回りも済ませつい最近では”初仕事”も終えたところである。新天地に慣れ始めたころ、ある一件のメールがインターノットアカウントに届いていた。
「お兄ちゃん!依頼のメールが来たよ」
「おや、前の依頼からそんなに経ってないのにもう来たのかい?もしかして”羊飼い”が張り切ってくれたのかな」
「あはは……伝説のプロキシになれるなんて熱弁してたくらいだもんね、でもアカウントに直接入ってたってことは羊飼いが斡旋してきた依頼じゃないみたい」
「へぇ……どれどれ」
アキラは妹リンが持つスマホ画面を覗いてみると依頼者の名前とホロウの探索依頼が書かれていた、通常の依頼の平均よりかなり上だが期限が短い。
「郊外にあるリサイクル工場勤めの社員みたい、連休を取れたから都内を観光してたところホロウにボーナスを含む給料の入った財布を落としちゃったんだって。休みが終わる前に見つけ出して欲しいらしいよ」
「なるほど、それでこの期限か理解したよ。駆け出しの僕らのところに来たとなると恐らく、いろんなプロキシに送ってるだろうな、かなり難しい依頼だし報酬がいいとしても他は尻込みするだろうな……」
「フーン、じゃあどうするの?受けないことにする?」
そう言いつつも此方を見て、いたずらっぽく笑う妹に僕は笑って答える。
「まさか。羊飼いじゃないけど伝説のプロキシを目指すんだ。勿論受けるよ」
「さすがお兄ちゃん、私も賛成だよ!腕の見せ所だよね。じゃあ早速お・受・け・し・ま・すと」
リンが返信をすると数分も掛からずに返事が返ってきた、相手は既にホロウの現場近くにいるようで相当時間がなく焦っているようだ。まあ、給料が全額入った財布を落としたとなればそうもなるかと思いつつ、レジ横のstaffonlyと書かれた扉に向かう。
「じゃあ早速仕事に取り掛かろう。18号(トワ)、お客さんが来たらお願いするよ」
「今回はお兄ちゃんが01号(イアス)を操作するの?じゃあアシストは私に任せてよ」
「ああ、頼もしいよ」
扉の先ではビデオ屋のイメージとはかけ離れた機械……演算装置H.D.Dシステムが揃っていた。
本来は不可能であるホロウ内外でのタイムラグ無しの通信・援護を可能とするパエトーンの武器である。
アキラは巨大ディスプレイの前に座りシステムを起動させる。
「H.D.Dシステム起動」
アキラの声と共に目が青白く発光し、同じく目が発光したイアスとの感覚と同期していく。
ーーーーーー
「うーん依頼人さん……
都内の共生ホロウ付近を一匹のボンプが歩いていた。01と書かれたオレンジ色のスカーフを身に着け、非常に知的さを感じさせる足取りである。
正体はアキラが操作するボンプ、イアスである。
ホロウが近いため人気が少ない周囲を見渡している。メールで送られた座標はすぐそこのはずだが、周囲に人の気配はない。
暫く依頼主の影を探していると不意に背後の路地から声を掛けられた。
「……そこのボンプ、ここで何をしている」
声、それも機械エフェクトのかかったものだ。
ばっと声のした方向に目を向けると路地裏の入り口の影から人影が此方を覗いている。姿は半分以上も建物の角に遮られ、影に覆われているため全容を把握できない。
人間味を感じない無機質な声に驚きつつ依頼人であるとあたりを付け声を掛けながら路地裏に近づいていく。
「こんにちは、もしかして貴方がロックさんかな?依頼を受けに来たんだ」
「なるほど、頼みの綱のプロキシ様か。いかにも、俺が依頼をしたロックだ。ボンプが来るとは驚いたぞ」
人影が建物から姿を現す。影でよく見えなかったが窺えたフォルムは生物らしさを感じさせない全身を覆う艶のある黒曜金属の装甲ボディであった。
四肢は人間の比ではなく太く、しかし無駄な装飾のない人型の姿をしており、唯一顔に存在する両目に相当する部位からは、細く鋭く光るライン状のライトが煌めき、此方を見据えていた。
依頼人の容姿を少なからず予想していたアキラであったが、完全に裏切られ思わず言葉が詰まり呆然と立ち尽くす。隣にいるリンも驚いているようだった。
不自然な間が空き、ロックさんが不思議そうに首を傾けるとアキラがはっと正気に戻る。
「!っああ、驚かせてすまないね、……こちらも驚いたよロックさん機械人だったんだ」
「ああ……、そしてホロウに財布を落としてしまったただの間抜けさ。観光中にホロウに飲み込まれ、何とか脱出できたかと思えば、今度は財布が無い……。治安局や調査協会は忙しく、頼むにはどうしても時間が足りない。財布が見つかるよりも俺の休暇が終わってしまうのが先だろうよ」
やれやれと首を振りながら肩を下す姿を見て、見た目ほど厳格な感じではないのかなと思いつつも会話を進める。
「そっかそれで僕たちプロキシに……、わかった。なるべく迅速に見つけてみせるよ」
「ありがとう、工場で働いてるから力仕事は任せてくれ、エーテリアスなら何度も倒してきた」
ロックさんは拳を突き出しぐっと握りしめる。その力強い姿にふと笑みが零れる。
「それは心強い、なるべくエーテリアスは避けるけど戦闘になったらお願いするよ」
「心強いのはこっちの台詞だ。ポンプにここまでの知能を持たせる技術なんて見たことがない。それだけでただ者じゃないって分かるな。」
事実、この技術は新エリー都において、パエトーン以外に再現することは不可能だろう。
会話の後にロックさんと財布の特徴、落としたと思わしき場所について軽く情報を聞いて、ホロウに向かう。
「じゃあロックさんが通ったところに向かうから離れないでね」
「おう、…………あ、おい静かにしろ落ち着けお前らLIVE切るぞ」
急に後ろでロックさんが頭を押さえ、ぼそぼそ何かと呟く。心なしか少しだけ苛立っているように見える。
「どうかしたかい?」
「っいや、なんでもない、躓いただけだ」
そう答え、ロックさんはホロウに向かい内部へと入っていくのだった。
ーーーーーーー
55:サソリ薬師 ID:zzztensei03
はあ、はあ、ヤバいイアスちゃん可愛すぎ尊すぎマジ無理
56:軟体エンジニア ID:zzztensei05
持って帰ってうちの子にしていいですか(真顔)
57:カラスメイド ID:zzztensei04
生アキラ君の声だ、めっちゃいい声、ヤバい耳が孕む
58:サイ男 ID:zzztensei01
……引
59:サソリ薬師 ID:zzztensei03
ねえ、待ってリーダー容姿褒められてない?「ロックさんカッコいいね。男心が揺さぶられるよ」
60:カラスメイド ID:zzztensei04
は?裏山
61:軟体エンジニア ID:zzztensei05
ふっふっふ!流石だねアキラ君お目が高い、ボクの自信作ですよ
身バレ防止のパワースーツ!身体能力、耐久力の向上のみならず生体反応を消すスーツの特殊な機能により、機械人であると誤認することができる。まるでSF映画から飛び出してきたといわんばかりのロマン溢れる優れた見た目だけでなく他にも特別な機能が――
62:デンキウナギ ID:zzztensei02
おい三馬鹿うるせえんだよ!さっきから気持ち悪いことばっか垂れ流しやがって!
アキラに不審がられただろうが
63:カラスメイド ID:zzztensei04
そんなこと言いながらリーダーもかなり早い段階でイアス見つけてたくせに、すぐに話しかけずに動き回るイアスの姿を堪能してたくせに
64:サソリ薬師 ID:zzztensei03
アキラ君にカッコいいって言われて照れてるぞこいつ
65:カラスメイド ID:zzztensei04
リーダーむっつりってはっきりわかんだね
66:軟体エンジニア ID:zzztensei05
待ってる間挙動不審だったもんね、治安官がいたら職質されるレベル
67:サイ男 ID:zzztensei01
まああれは酷かったな、俺が催促するまで動かずガン見してたし
68:デンキウナギ ID:zzztensei02
あーあーうるさいうるさい、兎に角!今日は兄妹との関わりを持つことが目標だからな
決してオタク交流をするためではない!
69:サソリ薬師 ID:zzztensei03
うっわ棚上げしたよこいつ
70:カラスメイド ID:zzztensei04
まあでもなんで身分偽ったん?ロックなんて偽名まで使ってさ
自分の所有する工場の社員に仕立て上げるぐらいガチだし
71:サソリ薬師 ID:zzztensei03
海外出張の際に誘拐されそうなどこぞの主人公の名前だな……
72:サイ男 ID:zzztensei01
ロビンフットになるつもりか?
確かに俺らとの関わりを得るために身分を偽る必要性はないんじゃないか?騙してたと分かれば信頼が得られるとは思えんぞ
73:軟体エンジニア ID:zzztensei05
そこんとこどうなんですかムッツリーダー
74:デンキウナギ ID:zzztensei02
誰がムッツリーダーだボケ
……例えば急に知らない奴らが「あなたの力になりたい、あなたのことは何でも知ってるの」なんて言って近づいてきたらどう思うよ、自分しか知るはずのない個人情報を持ってな
75:サソリ薬師 ID:zzztensei03
気味が悪いな、とりまぶっ倒すわ
76:軟体エンジニア ID:zzztensei05
まあ普通に通報かな
77:カラスメイド ID:zzztensei04
情報によっては殺るっきゃねえな
78:サイ男 ID:zzztensei01
なるほどなそういうことか
つまりリーダーは俺たちとパエトーンの関係は偶然のもので、彼らに関する情報も偶然得たものにしたいのか
79:デンキウナギ ID:zzztensei02
そゆこと
俺らが持つ原作知識はマジででかいアドバンテージだ
俺らは当たり前のように兄妹が持つH.D.Dシステムや正体、目的を知ってるがそれをいきなりぶっこむ訳にはいかねえ
二度と解けないレベルで警戒されるだろうからな
80:カラスメイド ID:zzztensei04
なーる
81:軟体エンジニア ID:zzztensei05
一方的な感情の押しつけは良くないもんね
82:デンキウナギ ID:zzztensei02
取引はめんどくさいけど、信頼関係を結ぶ上で重要になることもあるからな
83:サソリ薬師 ID:zzztensei03
じゃあこの任務後の展開についてリーダは考えてんの?
84:デンキウナギ ID:zzztensei02
当たり前だ、まあ見てろ絶対うまくいくから
85:サソリ薬師 ID:zzztensei03
バカ野郎!フラグ立てんじゃねええええ!
86:カラスメイド ID:zzztensei04
拒否られでもしたら此方が死ぬんだぞ!!
ショック死や!
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87:サソリ薬師 ID:zzztensei03
ていうかアキラ(イアス)の案内凄いな
エーテリアスの遭遇も少ないし、裂け目にも当たらない
88:軟体エンジニア ID:zzztensei05
まだ、フェアリーいないよね?
89:カラスメイド ID:zzztensei04
これは伝説のプロキシになれたわけですわ
90:デンキウナギ ID:zzztensei02
正直原作知識で分かってても驚いてる、今まで高いキャロットに頼ってた分パエトーンの案内がどれだけヤバいかが実感できるわ
あとエーテリアスをのしていくだけで此方を労わってくれるし凄い称賛してくれる
自己肯定感爆上がり
91:サイ男 ID:zzztensei01
確かにこれは凄いな、今までホロウであほみてーに空間転移させられてきたから、あの地獄が無くなるなら是非協力関係を結びてえな
92:カラスメイド ID:zzztensei04
ダイさん原生ホロウ入った時キャロット無くしてから異常な回数転移しましたからね、常人なら軽く三回はエーテリアスになるほどホロウ内彷徨ってたし
93:デンキウナギ ID:zzztensei02
落下地点に真上に空間転移する裂け目にはめられた時はもう笑うしかなかったな
94:サソリ薬師 ID:zzztensei03
『Portal』ていうゲーム思い出したわ
95:カラスメイド ID:zzztensei04
それで無事なダイさんも凄いけどな、自由落下じゃ死なないってコト……?
96:軟体エンジニア ID:zzztensei05
正直ダイさんなら大丈夫だろって緊張感の欠片もなかったもんねボクたち
97:サイ男 ID:zzztensei01
少しは心配しろや
98:サソリ薬師 ID:zzztensei03
おいちょっと待て、話してる内にもう財布を設置した目標地点に来てない?
99:カラスメイド ID:zzztensei04
ええ、マジ?早すぎんか
100:軟体エンジニア ID:zzztensei05
いや景色覚えてるけど、確かリーダーこの辺りに財布設置してたよね
101:軟体エンジニア ID:zzztensei05
あ、財布発見して拾い行った
「あ、見つけたよこれじゃないかな」だって
102:サソリ薬師 ID:zzztensei03
ああ!財布掲げて喜んでる
103:軟体エンジニア ID:zzztensei05
可愛い
104:カラスメイド ID:zzztensei04
アキラ(イケメン)がイアス(可愛い)に入って動いてるのが最高なんだよな
リン(可愛い)がイアス(可愛い)でも最高
105:サイ男 ID:zzztensei01
これは驚いたな、依頼の期限当日中でも余裕だったな
106:サソリ薬師 ID:zzztensei03
どうするん?リーダー
107:カラスメイド ID:zzztensei04
サクッと依頼遂行された感じだけど早速交渉ターン入るん?
108:デンキウナギ ID:zzztensei02
勿論や、先ずは労いから入るけどな
そのあと俺らがこれまで集めてきた情報を開示して交渉や
特に零号ホロウの情報には絶対食いつくはず!
109:軟体エンジニア ID:zzztensei05
よっしゃいけリーダー!
110:サソリ薬師 ID:zzztensei03
失敗したら承知せんぞ
111:サイ男 ID:zzztensei01
頑張れよ
転生者たちはコテハンとは別にコードネームを持ってホロウレイダー活動をしている。
それぞれのコードネームはアメコミのヴィランを元ネタに採用。
メンバー全員が全身金属スーツで身分を偽っており、姿はまんまアイアン〇ンスーツ