業歴50年ハウスメーカーが負債17億で破産、建設業界の「倒産予備軍」《楽待新聞》

19:00 配信

不動産投資の楽待

経営破綻リスクを抱える「倒産予備軍」が高水準で推移している。

帝国データバンクの調査で、企業が1年以内に倒産する確率を表す独自指標である「倒産予測値」が算出可能な147万社のうち、2025年6月時点で「高リスク企業」は全国に12万8552社(構成比8.7%)存在。2024年12月の調査時点から1592社増加した。

中でも建設業は、高リスク企業の数が多い業種の上位にランクイン。中小・中堅クラスの倒産が後を絶たない状況だ。

今回は建設業の最近の倒産事例を紹介するとともに、主要上場建設会社の業績をランキング化し、業界全体の動向を展望する。

■建設業で「高リスク企業」が増加のワケ

企業が1年以内に倒産する確率を表す独自指標である「倒産予測値」をもとに導き出した「高リスク企業」の推移をまとめたものが、以下のグラフだ。

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全国12万8552社の「高リスク企業」を業種別にみると、「製造業」が3万3465社と最も多く、4894社増加。次いで、「建設業」(3万20社)が1203社増加した一方で、「不動産業」(1080社)は111社減少した。

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「高リスク企業」の内訳をさらに細分化した業種でみると、高リスク企業数で最多は「職別工事業」の1万4510社となった。次いで多かった「総合工事業」(1万1892社)とあわせて、高リスク企業数上位2業種は「建設業」が占めている。

■三重のハウスメーカーが17億の負債抱え破産

今年8月中旬、約50年の業歴を誇る地場ハウスメーカーの「やまぜんホームズ」(三重県桑名市)は、債権者約600名に対して約17億9300万円にのぼる負債を抱え、名古屋地裁より破産手続き開始決定を受けた。

同社は1976年の創業以来、三重県や愛知県、岐阜県などを主要エリアとして、木造建築を主体に注文住宅の企画・設計、施工を手がけていた。

このほか、新築分譲住宅の施工・販売、宅地や商業用地・工業用地といった不動産の売買も行っていた。

飲食事業も手掛け、うなぎ料理店を三重県内に2店舗運営していたほか、介護事業も展開するなど業容を拡大。2017年3月には東京証券取引所の新興企業向け市場TOKYO PRO Marketに上場を果たし、2019年7月期には年売上高約67億7200万円を計上していた。

しかし、ローコスト住宅を推進していた一方で、ウッドショックなどによる資材価格の上昇もあり低収益体質から脱せず業容は縮小。さらに、不動産取引における会計処理に問題が生じ、2024年3月には臨時株主総会の決議により東証TOKYO PRO Marketへの上場は廃止となり、対外信用は悪化していた。

その後も本業である住宅部門の立て直しは進まず、介護事業の売却も実施したものの、2024年7月期の年売上高は約20億8900万円に落ち込み、大幅な赤字決算となっていた。

2025年に入り資金繰りは一段と悪化し、取引先への支払いも遅延。6月頃には事務所やモデルルームを閉鎖し、実質的な事業停止状態に追い込まれていた。

■大手建設会社の売上高増加率トップは?

このように足元では、中小・中堅クラスの経営破綻が相次いでいる建設業界だが、大手各社を中心とする全体の業績動向はどのような状況なのだろうか。

全国の「主要上場建設会社」58社について、2024年度(2024年4月~2025年3月)の売上高合計(連結ベース)を集計したところ、前年度比6.9%増の21兆3547億円にのぼった。

増収企業数は41社と全体の7割以上を占め、総じて堅調な業績推移であることが分かる。

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増収率では、地盤改良などを手掛ける「日本基礎技術」が前年度比28.4%増でトップとなった。

次いで「佐田建設」の同23.7%増、「大成建設」の同22.1%増の順となった。減収率では、「大本組」の同15.6%減が最も大きく、次いで「大豊建設」の同12.1%減、「日本国土開発」の同12.0%減が続いた。

政府による防災・減災、国土強靭化対策等にけん引された公共工事が底堅かった。

企業の旺盛な設備投資意欲に伴う民間投資の持ち直しにより、民間からの受注が8.3%増と旺盛であったことや、物価高騰を反映した請負金額の上昇などが業績をけん引した。

■首都圏の再開発やデータセンター需要がけん引

次に、粗利(=売上総利益率)を見ていきたい。

2024年度における主要上場建設会社58社の売上高から売上原価を差し引いた売上総利益率(連結ベース)の平均は11.8%となり、前年度から0.6ポイント改善した。売上総利益率は37社(構成比63.8%)で上昇し、21社(同36.2%)が低下となった。

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売上総利益率の上昇幅トップは、JR東日本系列の「第一建設工業」で前年度比6.0ポイントの増加。次いで、「清水建設」が同5.6ポイントの増加で続いた。

資材や人件費の上昇分を請負金額へ転嫁する動きが進んだうえ、採算重視の選別受注により一定の利幅を維持できたことが要因とみられる。

単体の受注高が判明した46社の受注高合計は、前年度を4.4%上回った。

46社中30社と約3社に2社が増加したうえ、減少企業を見ても減少幅は縮小している。

また、工事受注高の内訳(官・民)が判明した29社をみると、官公庁受注は微増ながら、民間受注は前年度比8.3%増となり、首都圏の再開発や物流施設、データセンターなどの設備投資がけん引する形となった。



今後は、人手不足に起因した工期の長期化による建設コストの上昇が懸念される。

一方、官公庁では防災・減災、国土強靭化対策事業などの発注増加が見込まれる。民間ではデジタル化の加速を背景としたデータセンターや都市部の大型再開発が予想される。

加えて、首都圏の鉄道工事や再生可能エネルギー、脱炭素関連ビジネスの市場拡大により建設需要は当面底堅く推移していきそうだ。

今年5月に「インフロニア・ホールディングス」が「三井住友建設」に対するTOB(株式公開買い付け)を発表したのに続き、8月には「大成建設」が「東洋建設」に対するTOBを発表するなど、大手の再編が本格化している。

今後も生き残りを賭けた合従連衡など、さらなる再編が進む可能性があり、建設業界の動向から当面目が離せない。

帝国データバンク情報統括部・内藤修/楽待新聞編集部

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最終更新:10/5(日) 19:00

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