- ドナルド・トランプ大統領は、アメリカ海軍の戦艦の復活を検討していると語った。
- 戦艦とは、重装甲で大砲を備え、何十年もの間、海戦を支配した艦船だ。
- 航空母艦や海軍航空部隊、ミサイルの登場によって、戦艦は次第に必要性を失っていった。
アメリカ海軍の戦艦はすでに数十年前に退役しており、建造当時に想定されていたような海戦そのものが現代では過去のものとなっているのにもかかわらず、ドナルド・トランプ(Donald Trump)大統領は、アメリカ海軍で戦艦の復活を検討していることを示唆した。
戦艦は、他の軍艦と激戦を繰り広げるために建造された重武装の強大な艦艇だ。第二次世界大戦中には戦艦は世界の海を支配していたが、冷戦が終わるころには、かつての強大な軍艦も完全に時代遅れになっていた。
2025年9月30日、バージニア州にあるクワンティコ海兵隊航空施設(Marine Corps Base Quantico)で行われたアメリカ軍幹部が集まる重要な会議に出席したトランプ大統領は戦艦の復活は選択肢の一つとして検討していると発言した。
「これは実際に我々が検討していることだ。側面装甲の厚さは6インチ(約15センチ)で、アルミニウムではなく鋼鉄製だ。アルミニウムではミサイルが近付くだけで溶けてしまう。そういう船は今はもう作られていない」
強力な甲板砲を備えた大型で重装甲の戦艦は、主に大砲を使った撃ち合いが中心だった20世紀の大部分において海軍力の頂点だった。16インチ砲は、約2000ポンド(約97キログラム)もの砲弾を発射できた。戦艦は圧倒的な火力を戦闘にもたらしたが、最後の戦艦は1990年代初頭に退役し、その時代は終わりを迎えた。戦艦の大砲が実戦で最後に放たれたのは、湾岸戦争の時だった。
戦艦の強みについて語る中、トランプ大統領は退役した戦艦「アイオワ(USS Iowa)」を例に挙げた。この戦艦は、今、ロサンゼルス近郊のロングビーチで艦内が見学できる博物館となっている。また、トランプ大統領は1954年制作の第二次世界大戦を題材にした海戦記録映画「第二次世界大戦全史(Victory at Sea)」にも言及した。
「あの戦艦は駆逐艦と並走していたが、本当にそれらを止められるものは何もなかった」とトランプ大統領は述べた。
「中には『いや、あれは古い技術だ』と言う人もいる。しかし、私はそうは思わない。あの大砲を見れば、古い技術だとは言えないだろう」
「砲弾はミサイルよりも費用がかからない」とトランプ大統領は語った。
アメリカは第二次世界大戦後に戦艦の建造をやめ、冷戦初期には、数百km以上先の目標を正確に攻撃できるミサイルを発射するための艦船を設計することにした。この距離は、従来の最大の甲板砲が届く距離よりもはるかに遠い。すでに建造された戦艦は沿岸砲撃用に再稼働させられたり、その後、ミサイルを搭載されたりした。ちなみに艦隊同士の戦闘において、最後に海上砲撃によって勝敗が決まったのは第二次世界大戦だった。
戦艦は急速に時代遅れになった。航空母艦や潜水艦、ミサイルの方がより攻撃力が高く、敵に大きなダメージを与え、かつ長距離攻撃に優れていた。そのほかにも戦艦は多額の費用と大勢の乗組員を必要としていたため、効率が悪かった。現代の海軍では、かつてのように大砲を持つ戦艦が活躍する場はなくなったのだ。
アメリカに残っている8隻の戦艦はすべて、全国各地の博物館船として展示されている。
将来、例えば中国との戦争では、海の上や水中から攻撃してくる新しい敵に向き合う状況となり、ミサイルの攻撃を受けることになるとアメリカの軍関係者や作戦担当者は予想している。彼らによると、ミサイルやドローンに対するさまざまな対抗手段を備えることが生存性を高める上で重要であるという。少なくとも当初の設計のままでは、戦艦はそうした戦闘にはあまり適していない。