相談急増中の通販「ダークパターン」、意図せぬ定期購入の罠 クーリングオフは対象外
インターネット通販サイトで消費者を意図しない契約へ誘導する「ダークパターン」と呼ばれる手法が横行している。「在庫わずか」と表示して購入を焦らせたり、定期購入であることを隠して注文させたりするケースが多く、不本意な契約を結んだ消費者からの相談も増えている。一方で法規制は追いついていない。専門家はネット通販を使う際は消費者自身が実態を知り、健全な事業者を見抜く力を付けるよう呼びかけている。 【図】ダークパターンの主な事例 「ダイエット商品の注文フォームの入力を進めたが、何度も『画面を閉じないで』と出て、よく分からないまま定期コースの契約になった」「カウントダウンが始まったので購入条件を読み飛ばして注文した」―。広島県内の消費生活センターにはダークパターンの被害を受けたとみられる人からの相談が相次ぐ。 2024年度に県と県内市町に寄せられたネット広告を巡る相談は20年度比26・9%増の3774件。化粧品や健康食品を中心に意図しない定期購入に関する相談は同91・5%増の2445件だった。スマートフォン普及を背景に特に65歳以上の高齢者からの相談の増加が顕著だったという。 消費者庁の国際消費者政策研究センターの報告によると、ダークパターンの事例には、消費者が高額な金額を支払うプランや商品があらかじめ選択されている▽「割引は残り〇分」と表示する▽返金条件が分かりにくい▽解約手続きが煩雑▽不必要な個人情報の入力の強制―など約30種類が確認されている。複数の手法を組み合わせた通販サイトも多い。 県消費生活課の岡田和美課長は「ダークパターンという言葉を知っていれば操作する手が止まるかもしれない。契約の前にもう一度内容を確認してほしい」と力を込める。商品の購入回数や契約期間、支払額、解約条件などを確認し、契約の最終画面をスクリーンショット機能で保存するよう呼びかける。
ネット通販はクーリングオフができない
現状ではダークパターンに対する包括的な規制はない。虚偽の記述や取引条件を著しく消費者に有利に見せる表示は特定商取引法や景品表示法に抵触する可能性はあるものの、商品やサービスの関心を引くための広告宣伝との区別は難しい。 消費者が自ら購入を申し込むネット通販は、不意打ち的に契約させられることもある訪問販売や電話勧誘販売とは異なり、一定期間内なら中途解約できる「クーリングオフ」の対象外となっている。消費者問題に詳しい広島弁護士会の毛利圭佑弁護士はネット通販でのトラブルは「消費者の自己責任とみなされたり、事業者と連絡が取れなかったりして、被害回復が難航するケースが少なくない」と説明する。 ダークパターンに対する消費者保護のルール整備の必要性は高まっている。政府はことし3月に閣議決定した消費者基本計画に「必要な措置を講じていく」と明記した。毛利弁護士は「社会の関心が高まると事業者に誠実な表示を求めやすくなる。消費者自身も健全な事業者を見抜く力を身に付けることが大切」と指摘している。
中国新聞社