路面清掃で談合か 公取委、清掃4社と首都高速道路会社に立ち入り

首都高速道路=2019年4月15日、曽根田和久撮影 拡大
首都高速道路=2019年4月15日、曽根田和久撮影

 首都高速道路の清掃事業を巡る一般競争入札で談合を繰り返した独占禁止法違反(不当な取引制限)の疑いがあるとして、公正取引委員会は30日、事業を受注した4社と、その関係先として発注者の「首都高速道路会社」(東京都千代田区)を立ち入り検査した。関係者への取材で判明した。

 受注側は、スバル興業(同区)▽京葉ロードメンテナンス(同中央区)▽日本ハイウエイ・サービス(同新宿区)▽首都ハイウエイサービス(横浜市)。公取委はこの4社に加え、首都高速道路会社の談合への関与についても調査するとみられる。

 首都高の清掃は、道路の機能維持や交通事故の予防が目的とされる。路面を清掃する「スイーパー」や泥を吸引する「バキューム車」などの特殊な車両を用いて路面や排水管、トンネルの清掃作業を行うほか、冬季には凍結防止剤の散布といった雪対策も含まれる。

 談合の疑いがあるのは、こうした清掃事業の一般競争入札。技術や価格などを点数化して決める総合評価方式で行われ、費用は首都高利用者が支払う通行料金などでまかなわれている。

 関係者によると、4社は数年以上前から、各社の担当者間で事前に受注予定社を調整。互いの競争を制限した疑いがある。入札をスムーズに成立させたり、談合の発覚を回避したりするため、「ダミー」として数社が入札に参加するケースもあったとみられる。

 入札は首都高を四つの区間に分けて実施されており、4社はそれぞれ希望する区間の受注をもくろみ、実際に1区間ずつすみ分ける形で受注していた。例えば、神奈川県を通る区間については横浜市に本社を置く1社が受注できるよう、各社で調整した疑いがある。

 6月に行われた入札では、各区間とも1社応札となり、1区間当たりの落札額は2年契約で15億~20億円超。四つの区間では計約75億円だった。

 スバル興業と首都ハイウエイサービスは「立ち入り検査に全面的に協力する」とし、他の社は「ノーコメント」などとしている。

 特殊な車両が必要などの事情から道路清掃は新規参入が難しく、4社の中には数十年前から首都高の清掃事業を受注してきた会社もあるという。ある業界関係者は「長年、顔を合わせてきた同業者同士のつながりから、談合に発展したのではないか」と指摘した。【山田豊】

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