高校生失明、警官を業務上過失傷害罪で起訴 罪名を切り替え

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 沖縄県沖縄市の路上で昨年1月、バイクに乗っていた高校生が警察官と接触し失明した事件で、那覇地検は29日、県警本部の前田光介巡査(31)を業務上過失傷害の罪で在宅起訴した。県警は昨年11月、巡査を特別公務員暴行陵虐致傷容疑で書類送検していたが、地検は故意を十分に立証できないと判断した。

 起訴状などによると、巡査は昨年1月27日午前1時10分ごろ、沖縄市内の路上で、男子高校生が運転するバイクを止めようと、警棒を持った右手を差し出して警棒を高校生の右目付近にぶつけ、右眼球破裂や顔面骨折などの大けがを負わせたとされる。

 巡査はバイクが暴走しているとの通報を受け、パトロール中だった。当時SNSでは高校生が暴走行為をしていたとの情報も広まったが、県警によると、違法行為は確認されなかった。

 現場に防犯カメラはなく、目撃者はいなかった。県警は昨年11月に書類送検した際、専門家への聞き取りや実験などで一連の行為に故意があると結論づけた。だが、那覇地検は十分立証できなかったとし、「注意義務を怠り、警棒を目の前に差し出すなどしたことを過失と捉えた」としている。

 男子高校生と家族は、弁護士を通じて「バイクを走行させていたところに、物陰から突然飛び出してきた警察官に警棒で殴られたと認識している。けがも重傷で、相当強い力で殴られたことは明らか。たまたま手に持っていた警棒が過失によって当たったとは考えられず、公判請求の罪名には納得できない」とコメントした。

 県警の知念克幸首席監察官は「業務上過失傷害での起訴については、警察としてしっかりと受け止め、起訴及びこれまでの捜査結果を踏まえて厳正に対処するとともに、再発防止の取り組みを徹底する」とコメントした。

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