【独自】中国政府が日本企業に“異例の説明” アステラス社員実刑判決
中国でアステラス製薬の社員が、スパイ活動の罪で実刑判決を受けた事件をめぐり、中国商務省が現地に駐在する日本企業の幹部らに異例の説明を行っていたことが新たにわかりました。
この事件はアステラス製薬の日本人社員が中国でスパイ活動をしたという罪に問われ3年6か月の実刑判決を受けたものです。事件をめぐっては日中関係筋への取材で本人が罪を認めたことがわかっていますが裁判を傍聴した日本大使館は詳細を明らかにしていません。
こうしたなか中国商務省が現地に駐在する日本企業の幹部らに「被告は日本の情報機関の指示を受けて、 中国国内で調査活動を行い、報酬を得ていた」とする異例の説明を行っていたことが新たにわかりました。
“日本の情報機関”とは公安調査庁を念頭に置いたものとみられ中国としては国内での情報収集を強くけん制する一方、日本からの投資に影響がないよう通常の経済活動は問題ないと強調する狙いもあったとみられます。
一方、日本の外務省関係者によりますと外務省は先月、公安調査庁にこうした状況を伝えた上で在留邦人を巻き込まないよう求め公安調査庁は「現在、そのような(活動の)状況はない」と説明したということです。
日本テレビの取材に対し公安調査庁は「省庁間のやりとりや、調査に関わることについては、 今後の業務遂行に支障があるため、答えを差し控えたい」とコメントしています。
日本政府関係者によりますと、2014年以降、中国当局はこれまでに日本人17人を拘束してきましたがこのうち少なくとも9人は公安調査庁から報酬をもらった事案として立件していたということです。
ただ、中国政府のこうした主張に関して日本政府からは何の説明も行われていないことから現地の日本企業からは「日本政府は民間人を巻き込むな」との声や政府のこれまでの情報収集の手法に問題がなかったのか検証を求める声も出ています。