FM COCOLO「J-POP LEGEND CAFE」の10月の特集です。西城秀樹さん。彼のライブ盤を使っての4週間。西城さんの特集は2019年の5月に一か月間放送しました。その時のゲストは様々なレコード会社や事務所のスタッフとか立場の当時の関係者の方たち。好評でした。続編をという声を沢山いただきました。
でもね、なんです。その時もお話ししたんですが、僕はインタビューはもとよりライブもちゃんと見たことがない。なぜなら当時は音楽業界が”あっち側・こっち側”と分れていてお互いの交流がほとんどなかった。むしろ対立していた。”こっち側”はバンドやシンガーソングライター、”あっち側”はテレビに出ている人たち。
西城さんは”あっち側”そのものに見えてましたからね。僕等が見る人じゃなかった。見せてもらえなかった。関心はありましたけど、”こっち側”は相手にされてなかったんです。後になって色々知れば知るほどそういう人じゃなかったと分かるんですが、時すでに遅し。ですから「続編を」と言われても僕の手には負えませんでした。
え、そうだったんだと思うことは色々あったんですよ。例えば広島で中学生の時にバンドを組んでいて拓郎さんの河合楽器でのギター教室に来ていた、ダウンタウンズを見ている、浜田さんが見たツエッペリンの広島公演を見ている、75年の拓郎さんの「つま恋」の二週間前に富士山麓高原で野外イベントをやったとか。大阪球場のライブを10代でやってるとかね。
ロック史上に残ることをやっている。そういうことはほとんど語られてないのではないか。だからと言って分かったような話をしても「何でお前が」と思われるのがオチだろうなということで今に至ってしまいました。じゃあ、何で今やるんだ、と言われると強い味方が表れたんです。
音楽ライターの田中久勝さん。元オリコンスタイルの編集長。僕より20歳くらい下ですが、よくコンサート会場で会うんです。たまたま会った彼と世間話をしていてレーザーターンテーブルでライブ盤を聴くという会を定期的にやってると話してたら「西城さんをやりましょうよ、僕ボランテイアで行きます」と言ったんです。
彼は生前のインタビューもしてるし自分の音楽の原点が西城さんだというんですね。だったら番組で、ということで選曲までお願いしてしまいました。4週間ありますからね。昨日、収録したのは一週目、二週目。70年代前半のライブアルバム。面白かったですねえ。彼の選曲が僕らが思っている西城さんとかなり違った。
つまり、テレビでヒット曲を歌っていた人、という意識が薄い。ライブで洋楽をいち早く歌ってきた人。10歳年下の自分の音楽の入り口を開いた人、という選曲。こんな曲はラジオで流れたことはないだろうな、という曲ばかり。新鮮でした。なつかしい姿は映像で、歌のすごさはライブ盤で、という4週間になると思います。
ということでお待たせしました。曲ですね。「傷だらけのローラ」のフランス語版をライブ音源で。そういう番組です。じゃ、お休みなさい。