《第2種目》この手、誰の手?
目隠し状態で複数人の手を触りパートナーの手を当てる(わかったら挙手で知らせる)
《配点》(10×2)ポイント
「は?ベルアイ至高かよ普通一人目からパートナーくると思わんダロ」
「しかも二人とも手に触る前から挙手してたぞ何それ通じ合いすぎジャン」
「なんなら【剣姫】はそのままダイブして抱きしめてたぞ羨ま……ンンッ、けしからん!」
『ん〜っ!ナイスアオハルー☆』
『いやー、二人もすっかりバカップルだねー。ヘルメスおじさんも嬉しいよっ、と……おや? あれは……』
『あれはッッッ!【アストレア・ファミリア】の【
『あれ、ガネーシャは?』
『申し遅れました、【ガネーシャ・ファミリア】所属の喋る火炎魔法こと不肖イブリ・アチャー! 腹痛のガネーシャ様に代わり実況を務めさせていただきます!』
『マジかよガネーシャ……』
──リュー×アリーゼの場合──
審査神:デュオニュソス
目隠しをして既に競技を開始しているアリーゼを横目に、リューはめちゃくちゃビビりちらかしていた。
(観客席から、とてつもない数の視線を感じる……!)
その観客席は、神々を中心に騒然としていた。
「おい、アレ……」
「分かってる、いくら変装しようとも、俺たち神々の目は誤魔化せないぜ……!」
「一体何リオンなんだ……!?」
「いや、噂によるとアリュード・
「マジかよお婿さん展開キタァアアアアアア!」
「そんなことより百合! 第一級冒険者同士の百合! ぐへへへへへ」
「本当に何をやっているのだ、あやつらは……!」
「っへへ〜、いいじゃねーか輝夜、たまには息抜きさせてやってもよぉー。それとも、相手がいねえからって嫉妬してんのかぁー?」
「まあまあ、随分な物言いでございますねえ。そのお言葉、一族の『英雄』にフラれた貴方にこそピッタリじゃありませんこと?」
「いぃんだよそれは! アイツの見る目がねぇだけだ!」
「いやはや、ライラは強がりさんですねぇ」
「ちょっと二人とも、その辺にしといてよ?」
「わーったよ。っていうかリオンの奴、この種目平気なのか?」
「確かにあの青二才は肌の接触を嫌うが……まあ、団長が何とかするだろう。それより、アストレア様はどうした?」
「審査員やってんじゃねえか?あの人、意外とこーゆーの好きだかんな……」
「間違いないわ! これがリオ……アリュードの手よっ!」
「流石です、アリーゼ。次は私の番ですね」
「無理しなくてもいいのよ?」
「いえ、貴方の足を引っ張るわけにはいきませんし、手袋もありますから。それに私も、優勝賞品には興味があります。バベルの頂上で皆と一緒に、この美しい都市を眺めたい」
「リオン……! えいっ」
「ア、アリーゼ⁉︎ 抱きつかないで下さい‼︎」
「ふむ、やはり百合は素晴らしい! どうだい二人とも、今夜私とディナーにでも……うひっ⁉︎」
ジー。と、観客席からデュオニュソスを射殺すように見つめているのは、これまた百合。それもエルフ同士の、である。
「フィルヴィスさん、あのスケコマ
「そうだな……先ずは一週間ほど私の部屋に監禁して、それから……」
「わ、私の奢りでディナーに行ってくるといい! もちろん二人だけでな!」
「わーいありがとう、デュオニュソス様!」
「「…………」」
リュー&アリーゼ、20ポイント獲得。
*
「だんちょうの、におい……! 絶対これよっ!」
「はは、ティオネ、怖いよ……」
手に触れる前に嗅覚で判断するアマゾネスに、【
「うふふ、二人はとっても仲がいいのね」
「そんなぁ〜、私と団長が相思相愛だなんて……その通りなんですぅ〜、神アストレア!……私達このお祭りが終わったら、結婚するんですっ!」
「しないよ……?」
「ねえ、リヴェリア〜。アキ達はともかく、なんであの二人が
「私も知らないが……大方、ご褒美の類だろうな。ティオナ、お前は良かったのか?」
「相手いないもーん。だから、アルゴノゥトくんとアイズの応援かなー!」
「いいなー。青春祭、私も出たかったです〜! アオハルしたい! モテたーい!」
「エルフィ、はしたないですよ。そもそも、愛や恋というものは当事者の間で秘めて育むものであって、大っぴらに見せびらかすべきものではないのですから」
「あはは。アリシアさん、そんなんだから行き遅れるんですよー」
「な、なんですってエルフィ! 私はまだ二十代ですっ!
「行き遅れ…………」
「リ、リヴェリア様……?」
「あちゃー」
「ど、どうするんですエルフィ⁉︎ 責任を取りなさい!」
「えっ、私のせいですかぁ〜⁉︎ だ、大丈夫ですよリヴェリアさーん! きっと良い人が見つかりますって! ……たぶん」
「アイズも、私より先に、、、嗚呼……」
「めちゃくちゃネガティブになってる〜⁉︎」
「大丈夫だよリヴェリア! ガレスもそーゆーの興味ないし、行き遅れはリヴェリアだけじゃないって!」
「全然フォローになってないです、それ……」
「リ、リヴェリア様?! お気を確かにっ」
『みんな〜! アオハルしてるーーーっ?』
「「「うおぉおおおおおおおおおお!」」」
『いい返事ね☆ 私、みんながばっちりアオハルしてくれて、本当に嬉しい!それじゃ、次次〜っ』
『前代未聞の青春祭は序盤も序盤! 既に甘酸っぱさの過剰摂取ですが、まだまだ盛り上がっていきましょう!ヘルメス様、お願いします!』
『任されたぜ! 第三種目は──レッツ☆アオハルクッキングだ‼︎』
『アオハルといえば共同作業……! 二人の連携が試されるわっ』
《第3種目》レッツ☆アオハルクッキング(制限時間30分)
《配点》上限50ポイント
・一品作り終えた時点で審査に移る。
・審査神が『料理の味,見た目,独自性,手際,連携』 の5つの項目から点数を評価する。
*
第三種目の開始は近い。
闘技場には大量の料理器具が運び込まれており、魔石を使ったコンロもある。
普段は怪物祭を筆頭として物騒な催しが行われているこの
闘技場に沿うように弧を描いて並べられた幾つものキッチンの中から、ベル達が空いている場所を押さえた、数秒後。
即、隣のキッチンを抑えたのは、言うまでもなくアルフィアとザルドだった。
「えっと……」
「どうした?」
「なんで、お義母さん達と一緒なのかなぁ、って……」
「本来の目的を忘れたか? ようやく、まともな競技がきたんだ。その娘の嫁としての力量を測っておく必要がある。尤も、測るまでもないがな」
「──っ。その……確かに、私、料理とかは全然だめで……でも、ベルのために、がんばります」
「アイズさん……!」
アルフィアの容赦ない言葉にやるせなくなり、眉を下げるアイズだったが、それでも彼女に認められるためにできるだけのことはやろうと、奮起してみせた。
「気概だけは認めてやるが、それでどうにかなるものでもない。言葉ではなく、結果で示せ」
「まあ、そういうことだな。悪いが、アルフィアの意思は梃子でも動かんぞ。籍を入れたいというのならば、俺たちを負かしてみせろ」
「なんでお前がそこででかい顔をするんだ、ザルド」
「いだだだ、耳は引っ張るものじゃないぞ、アルフィア!」
「どの口が言う。
「それはいつものことだろ……」
「なんだ、文句があるなら言ってみろ」
「ぐっ……そもそも、俺はこう見えて料理が得意で──」
以降、絵に描いたような夫婦喧嘩。
「あはは……」
「アルフィアさんとザルドさん、仲が良いんだね……?」
「はい。口を開いたら、だいたいは喧嘩になっちゃいますけど……こう、言い争いながらも本心では通じ合っているというか」
「うん、素敵、だと思う」
半永久機関と化している口論を眺めながら、ベルとアイズは二人して相好を崩した。
「あ、始まるみたいですよ! ほら、お義母さんとザルド叔父さんも……」
『──それではっ! 第三種目、開始です‼︎』
「お願いします、ミアハ様!」
「お手柔らかに……」
「はは。いくらそなた達といっても私はあくまで公平に審査することしかできないが、頑張るのだぞ、二人とも」
「神タケミカヅチ……武神、か」
「おお、【暴喰】に名を知られているとは、光栄だな」
「なんだ、ザルド。その神、強いのか?」
「当たり前だろう。どれ、手合わせでも……」
「やめてくれ。この体でお前達と戦うだなんて考えただけで寒気がするぞ」
「……まあ、そうだろうな」
「アイズさん、材料は沢山ありますけど……何を作りましょうか? 中途半端なものを作っても、お義母さん達には勝てないでしょうし……」
「うん。きっと、あの二人に勝つには、独自性が、大事……」
「独自性っていっても、味も両立しなきゃいけないわけで……やっぱり、難しいですね」
「ベル。美味しくて、独自性のある料理なんて……ひとつしか、ない、よ?」
「ま、まさか……」
「うん、ジャガ丸くんしかない……」
「でも、タケミカヅチ様ならともかく、ミアハ様がジャガ丸くんに高得点を付けてくださいますかね?」
「確かに、そうかも……」
ヘスティアと同じくジャガ丸くんの屋台でバイトをしている武神を引き合いに出して、あくまで審査神の好みに合わせるべきだと主張するベルに、アイズは物悲しそうにしながらも納得してしまった。
その姿を見て胸が締め付けられてしまったベルは、慌ててフォローを入れる。
「で、でもっ、すごく良いアイデアだと思いますよ! 少なくともこの競技でジャガ丸くんを作る人は少ないでしょうし…………そうだ! 普通のジャガ丸くんじゃなくって、僕達で新しい味を考えるっていうのはどうですか? せっかく沢山の材料がありますし、色々試しちゃいましょうよ!」
「………! すごく、楽しそう……!」
ベルの提案を聞いて瞬く間に顔をほころばせたアイズは、そのままの勢いでコクコクと何度も頷いた。
「それで、アルフィア。何を作るつもりだ?」
「あの神は元々、極東にいたんだろう? なら、故郷の味とやらを作ってやれば咽び泣くはずだ」
「そこまで単純にいくか? 仮にも神だぞ」
「私の見立てでは、あの奇天烈
「お前な……」
『【暴喰】&【静寂】ペア、手際がレベチだー! 第一級冒険者は料理も第一級の腕前なのかー!?』
「ていうかイズン、なんであの二人が参加しているんだ……?」
「決まっているわ! アオハルは全ての者に平等だものっ」
「……まあ、面白ければいいか」
『速い速いっ! 十分とかからずに神饌を完成させたぁあああああああああああ』
『まさに熟年夫婦のなせる技! ん〜エクセレントよっ!』
アルフィアが選択したのは、天ぷら。
かつて極東出身の者から聞きかじった知識だけで、自身が食べたことも見たことすらない料理を作り上げていくその姿は、まさに天賦の才としか言いようがなかった。
そしてそこに、アルフィアの行動の意図を的確に読み取り完璧なサポートをするザルドが加われば、最短効率で最高の品が出来上がることはもはや約束されているようなもの。
「できたぞ、食え」
「おお、これはまさに
「
「ぐぁああああああああああああ!?」
『神タケミカヅチが爆散したぁああああああ⁉︎ どれだけ美味いんだあああああああああ!』
ザルド&アルフィア、50ポイント獲得。
「ふむ、ジャガ丸くん、か」
「はい、どうぞ、召し上がってください!」
「自信作、です……」
「では、いただくとしよう。……むっ? この絶妙に甘ったるい後味は……ポーションか?」
「はい! ジャガ丸くん、回復ポーション味です」
「疲れも取れて、おいしい……ジャガ丸くんの、完成系……」
「すまんが、私はジャガ丸くんは塩辛い味付けが好みでな。二十五点」
「「がーん」」
『あ〜っと、優勝候補がジャガ丸くんに散ったぁあああああああああ!!』
『二人とも、元気だして〜っ。酸いも甘いもアオハルなのよ!』
『いや〜ミアハは甘い顔してるのに容赦がないねえ。……ア、アスフィ、ど、どうしてこっちを睨んでるんだい?』
一方、アマゾネス。
「ティオナ、これは何が入っているのかな……?」
「えへへ、秘密でーす!」
「僕じゃなくて、神ゴブニュに食べさせるってこと、忘れないでくれよ……?」
「てめぇ! これじゃあ素材の味どころじゃねえぞ! 少しは調味料も入れやがれ!」
「もー、文句言うんだったら手伝ってよベート・ローガぁ。でもでも、これはこれで使われてる感があって、イイかも……!」
「気色わりぃこと言ってんじゃねえっ!」
「へぶっ⁉︎ いったーぁい! ふへへ……」
青春祭は、大盛り上がりの様相を見せていた。