太地町の国際鯨類施設研修ホールで2日、「わかやま12湯サミットin太地温泉―くじらの町の文化と食、人を癒やす温泉の魅力を探る―」が開かれた。わかやま12湯推進協議会(青木査稚子会長)が主催。県内外の温泉、宿泊、観光関係者ら約80人が出席した。
県内508カ所の源泉を擁する和歌山県の温泉の知名度向上を図ることが目的。旅館などで働く女性グループ「和歌女将」を中心に、大阪・関西万博などでのPRや「わかやま12湯巡湯帳・御湯印」企画に取り組んでいる。これまで龍神温泉、南紀勝浦温泉、南紀白浜温泉、熊野本宮大社・川湯温泉でサミットを開いてきた。
今回のサミットでは、太地町立くじらの博物館の稲森大樹館長が「クジラやイルカは人を癒やすのか!?」をテーマに講演。同館で行われたイルカ触れ合い体験の研究から「人々はイルカに『癒やし』を期待しており、その点は温泉と似ている。イルカとの触れ合いには、気分向上やストレス発散に効果がある。イルカやクジラは愛嬌(あいきょう)があり、生物学的地位が高いため警戒心も高くない。好奇心が強く、コミュニケーションが取れる。それらが合わさっているのでは」と語った。
パネルディスカッション「和歌山の癒やしの温泉と食について大いに語る」では、株式会社トラベルニュース社の奥坊一広社長がコーディネーターを務め、和歌山県観光局の米田拓司局長、一般社団法人那智勝浦観光機構の松下哲也理事長、株式会社ヤマサ𦚰口水産の「ツナ娘」こと𦚰口みずほさんが登壇。𦚰口さんは「ビンチョウマグロの解体体験では、地元のかんきつや焼き塩を合わせて提案するととても喜ばれる。和歌山の酢やしょうゆとも連携してPRしたい。皆さんの力が必要」と会場に呼びかけた。
松下理事長も「私は大阪出身だが、勝浦に来てビンチョウのおいしさにほれ込んでいる。観光の中心は『楽しさ』であり、食は大きな要素。食材の良さを料理で表現し、お客さまに味わってもらうことがマーケティングにつながる」と食の大切さを語り合った。
最後に花いろどりの宿花游の市川理沙さんが、「『温泉の聖地・よみがえりの温泉郷』にふさわしい地であることを認識し、日本の食文化、人を癒やす温泉地として精進する」とサミット宣言を朗読した。
(2025年10月4日付紙面より)
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