中村隆之 研究室

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中村隆之 研究室
@n_a_k_a_m_u_u
フランス語圏文学、アフリカ系文化論。近著に『ブラック・カルチャー』(岩波新書)『環大西洋政治詩学』(人文書院)。早稲田大学法学部でフランス語を教えています。連絡先はHPのprofileに記載。

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本日発売の『ブラック・カルチャー』は、約400年に及ぶ大西洋奴隷貿易・奴隷制のなかで、持たざる、奴隷とされた人々の精神文化に重視して、20世紀以降の音楽・文学・アートを捉える見方を提示します。書店でお手にとってくだされば、幸いです。
The image shows a book titled "ブラック・カルチャー" (Black Culture) by 中村隆之 (Takayuki Nakamura). The cover features a red and black design with Japanese text. The book discusses the spiritual culture of enslaved people over approximately 400 years of the Atlantic slave trade and slavery, focusing on how this history influences 20th-century music, literature, and art. The post text encourages readers to pick up the book at a bookstore, indicating its recent release. The image is clear and well-composed, placed on a wooden surface, suggesting a casual or home setting.
『砂糖の世界史』などで知られる「岩波ジュニア新書」は、奥深く考えるべきことを平易なことばで届ける、これ以上ない教養書であり、同レーベル最新作『おとぎ話はなぜ残酷でハッピーエンドなのか』はこのことを裏付けます。アメリカの黒人霊歌研究で知られるウェルズ恵子先生による、新たな名作誕生。
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春休みに読んだもので一番良かった、と現時点で思わせるほど、ハーマンの本書をこのタイミングで読めてよかったです。トラウマ研究の基本書と評されるように、人が自分ではどうにもならない傷を抱えることが、どうその人の生を破壊するものなのかを、フェミニストの視点で示します。読んでほしい本です
The image shows a book titled "心の傷と同意" (translated as "Heart's Wound and Consent") by Judith Lewis Herman, with the subtitle "トラウマと回復" (Trauma and Recovery). The book cover features a painting of flowers, which adds a touch of artistic elegance to the cover design. The text on the book is in Japanese, and it is placed on a wooden surface, suggesting a cozy, personal reading environment. The post text indicates that this book was particularly impactful for the poster during their spring break, highlighting its significance in understanding how trauma affects one's life from a feminist perspective. This context emphasizes the book's role as a foundational text in trauma studies, making it a recommended read for those interested in psychology and feminist theory.
わたしの関わった本ではおそらく一番読まれているのが、オレリア・ミシェル『黒人と白人の世界史』。ついに5刷となりました。意外にも英訳がないからこそ、本書が日本語で読めるのは、格別。奴隷制と人種主義を考える、2020年代の基本文献です。これからも、多くの読者と出会えますように。
The image shows the cover of the book titled "黒人と白人の世界史" (Kokujin to Hakujin no Sekaishi), which translates to "A World History of Black and White People" by Orelia Michel. The cover features a person in a red garment, possibly symbolizing the historical context of slavery and racial issues discussed in the book. The book has reached its fifth printing, indicating its popularity. The post emphasizes the significance of this book in understanding slavery and racism, particularly noting that it is one of the most read works associated with the author of the post. The absence of an English translation makes the Japanese edition particularly valuable. The setting of the image is simple, with the book placed on a wooden surface, highlighting the book itself as the focal point.
アメリカ合衆国南部の黒人奴隷制を考えるさい、私たちの視界に普段入ってこないのは農園主の「夫人」である白人女性の姿。白人女性の奴隷制での役割は受動的で中立的にみなされがちだった従来の見解を覆し、農園主の共犯者として奴隷制維持に積極的役割を果たしたことを示した、画期的歴史研究です。
The image shows the cover of a book titled "THEY WERE HER PROPERTY" with Japanese text overlay. The cover features an illustration of a historical scene inside a grand, domed building, likely a plantation or a significant historical site, with numerous people gathered, suggesting a depiction of a slave auction or similar event. The Japanese text discusses the role of white women in the Southern United States during the era of black slavery, highlighting how these women were not passive but actively complicit in maintaining the slave system. This groundbreaking historical research challenges the traditional view that white women were merely neutral or passive in the context of slavery, revealing their active role as co-conspirators with plantation owners.
ジョルジュ・バタイユが日本語で、しかも文庫でこれだけ読めるのは、すごいこと(これは手持ちで、河出文庫からほかにも)。バタイユは恩師の出発点を形成する思想家だったこともあり学部生のころから読んでましたが、正直、遠い人でした。そんなバタイユが向こうから近づいてきた、この夏です。
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死者を悼む碑を壊すことは、墓を壊すようなもの。死者の追悼の場をも壊す行為は、追悼しなくてよい誰かを選別する自民族中心主義の新たなバージョンであり、この行為の行き先は人間文化の根幹の破壊でしょう。あまりにひどいことです。
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明石書店
@akashishoten
朝鮮人追悼碑、群馬県が撤去し更地に がれきの山も、本社ヘリ確認:朝日新聞デジタル asahi.com/articles/ASS10
忙しい方は、本書の第1部だけでもお読みになられることをおすすめします。パレスチナ/イスラエル問題が、実は日本の帝国主義時代の東アジア史と連動していたことに気付かされます。私たちには過去を改めて捉え返す、こうした大きな展望が必要だと思います。何度でも強調しますが、重要な本です。
The image shows a book titled "パレスチナ・イスラエル、日米の過去と未来" (Palestine-Israel, Japan and the US's Past and Future) by 中村 好一 (Yoshikazu Nakamura). The book is placed on a wooden surface, and the cover features a design with a handprint and text in both Japanese and English. The post text by 中村隆之 (Takayuki Nakamura) recommends reading at least Part 1 of the book, highlighting the connection between the Palestine/Israel issue and Japan's imperialist history in East Asia. This context suggests the book provides a significant perspective on historical and political issues, urging readers to reconsider past events with a broader view.
古典というのが現在時に呼び起こされる作品を意味するならば、サイードの『文化と帝国主義』はその名に値する作品だと思います。なぜ文学を読むことが私たちの現実世界を考えることになるのかを実践的に示すという意味で、この本はラディカルな知性を秘めています。できれば若い時に出会うべき本です。
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参政党の話題を受けて、『野蛮の言説』、改めて読み返されてほしいと思います。レイシズムと優生思想が同じ差別の根を持っていることや、731部隊、ヘイトスピーチ、障がい者差別など日本の排外主義についても書いています。日本の右傾化・愛国教育を念頭に置いて執筆し、2020年に出版しました。
The image shows the cover of the book titled "野蛮の言説" (Discourse on Barbarism) by 中村隆之 (Takayuki Nakamura), published in 2020. The cover features a pink background with a black and white illustration of a woman holding scales, reminiscent of the figure of justice. The text on the cover is in Japanese, and the book discusses themes of racism, eugenics, and exclusionary nationalism in Japan, including references to Unit 731, hate speech, and discrimination against people with disabilities. The post text by 中村隆之 研究室 (@n_a_k_a_m_u_u) encourages readers to revisit this book in light of recent discussions about the 参政党 (Sanseito, or the Party to Protect the People from NHK).
アフリカ系アメリカ人として、奴隷の子孫として、イスラエルの占領と分離政策が、自分たちの歴史と重なりあうことを証言する、作家タナハシ・コーツのこの言葉は、いま「西側」にとても必要とされるものです。
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ShortShort News
@ShortShort_News
イスラエルを訪問したアメリカ黒人作家タナハシ・コーツ 「複雑と言われるが、実際には単純であった」 「私にとって、非常に、非常に身近なことだった」 元動画700万回再生 x.com/ryangrim/statu…
『野蛮の言説』を書くなかで人間の能力を計量化するなどして優劣を可視化する思想が差別の根幹にあるのに気づき、優生学の重要性に気づいてしまった者には、エドウィン・ブラック『弱者に仕掛けた戦争』は本当にありがたい仕事。本書は優生学の歴史を知るための最初にして決定的な一書となるでしょう。
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いまフランスの一部で話題になっているのは、この4月から上映される新作「ファノン」がパリでは4館でしかかからないこと。アフリカ系やカリブ系のフランス人がこれを問題視しています。映画自体はファノンの精神科医の仕事とアルジェリア民族解放戦線への合流過程に着目した、面白いものです。
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franceinfo
@franceinfo
Un biopic de Frantz Fanon, figure majeure de l'anti-colonialisme, attendu en salles en avril ➡️ l.francetvinfo.fr/VXA
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文系の学生がレポートや卒論を書くさいの一番の訓練は、私見によれば、書評です。人に読んでもらえる書評を書くには、読む技術も書く技術も必要。それなりの修行。図書新聞を教材と思って読めば、その力はおのずとつきます。1200字、1600字、2000字の書評を読み、また書いてみましょう!
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図書新聞
@toshoshimbun
出版社が手塩にかけて読書界に送り出す、珠玉の新刊本の数々、書評紹介したい本が目白押しです。書店の減少をはじめとして実際に本に触れる機会が減少するなか、書物共同体を盛り上げるべく出版社と読者をつなぐ橋渡し役として微力ながら努めます。読者のみなさまのご支援、ご購読をお願いいたします。
岩野卓司さんの『贈与をめぐる冒険』は、とても平易な語り方で、この社会の制度からヒトと自然のかかわり方までを「贈与」の視点から捉えなおします。コンパクトにエッセンスを伝えるのも見事。知識が贈与として与えられるという指摘や、日本社会の共同性の希薄化を打開する事例の提示に感心しました。
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歴史的に位置付けられる著作のはずだったファノンの『地に呪われたる者』が、これほどまでにリアリティをもった思想となった世界に私たちが生きています。生誕100年を来年迎えるファノンはいつでも再び読まれるべきです。本書における暴力をめぐる考察は精神科医としての思想と実践と切り離せません
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本書は日本語に本格的に導入される「無知学」の初の入門書。Agnotologyの訳語である「無知学」とは、わたしの見るところ、認知の対象にならなかった事柄を歴史的に考えるための発見論的なアイデアで、さまざまなマイノリティや周縁化された問いを考えることを制度に結びつける架け橋になりそうな予感。
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昨日のナントの広場では、コンゴでのジェノサイドを止める集会もおこなわれました。もう30年以上、戦争状態が続き500万以上の犠牲者を出しているとされるコンゴの現状にだれも注意を払わない。欧州の報道のあり方やフランス政府を批判し、アフリカ人の連帯を訴えるスピーチが痛切に響きました。
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『ルーツ』は残念ながらネット配信では現時点では提供されていないようです。ですが、1時間30分全6話を見るとき、数世代におよんで奴隷制を生きる、ということの具体的なイメージが得られます。奴隷制の主題で、このドラマを凌ぐものを見たことは、いまだありません。
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『アフリカ哲学全史』が広く読まれてほしいと思う重要な根拠は、著者が西洋哲学偏向の日本語の知的言説の編まれ方を疑問視する立場から、啓蒙思想からデリダまで(!)を批判するところ。その一方で、わたしからするとちょっとおかしいと思うこともあれこれ。学会誌に気合を入れた書評論文を書きます。
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本当にありがたい翻訳。アーレントにおける「黒人」という問いは、アーレントの思想の深みと世界的反響とはまた別に提起されるべきだと思うところがありました。しかもアーレント研究者たちによる翻訳であるのがありがたい。過小評価しない度量の広さも感じます。まずは感謝を込めた投稿です。
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シービンガー『奴隷たちの秘密の薬』の読みどころは第2章。西洋医学で快癒できない病気がカリブ海の奴隷農園で流行したさいにこれを治してみせたのが「黒人医師」。奴隷身分で薬学の知識に長けていたこの人物のの知識(鉄の木)の由来を仮説的に考えるというもの。もちろん植民地主義批判が基調の本です