ブルーアーカイブRTA 称号「崇高」獲得まで   作:ノートン68

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お待たせ致しました。
エピローグです。



再走

 

ATRAHASISの箱舟占領戦から数日後。

世間は大事件解決の興奮から覚め、すっかり復旧モードへと切り替わっていた。

工事の騒音が聞こえてくる、それ以外はペンの音しか聞こえない、そんな場所。

 

此処はS.C.H.A.L.Eオフィス、とある部屋に2人の人物が居た。

1人は死んだ目で書類を整理している先生。

もう1人は白髪の少女、彼女は淡々と書類の山を処理していた。

やがて沈黙作業に耐えかねたのか、先生の方が音を上げる。

 

 

【……今日はもう良いんじゃないかなぁ?】

「ダメだ。この後に()()()()()が詰まってるんだから、出来るだけ多く終わらせるぞ」

【ひぃん】

 

 

聞こえたのは少女らしからぬハスキー声。

その正体は喰代ミケであった。

とある諸事情により彼女は少女の姿のまま生活している。

 

彼達が死闘してる相手は数多くの請求書。

現在進行形で流れてるバックミュージック(工事音)は、手元にあるソレの工事だった。

 

先生達が上空で占領戦をしている間、地上も激戦を繰り広げていた。

その中でも激戦だったのがこの土地、D.U.シラトリ区である。

 

思い出されるのは歴史に残るようなペロロジラとKAITEN FX Mk.0の天下分け目の戦い。

そこへ超巨大パンちゃんが乱入して大怪獣バトルが繰り広げられたのだ。

 

そんなものがD.U.シラトリ区で大暴れしたらどうなるか。

破壊痕は凄まじく、多くの建造物がお陀仏となった。

例え運良く建築物の破壊は免れても、謎の粘液が大量に付着している惨状の出来上がりである。

 

 

「他学園の自治区も多少差はあるが、復興には多くの手間が掛かっている。シラトリ地区が終わってもソッチの手伝いだからな」

【うーん、気が重いなぁ……】

 

 

元々、D.U.区の管轄は連邦生徒会である。

結果、連邦生徒会だけでは手が回らずに先生達が復旧工事の関係書類を作成していたのだ。

少しの間、書類作業を続けているとミケの持つペンが止まった。

 

 

「今日はこの位にしておくか」

【良いの?まだ残ってるけど……】

「君はそんな死んだ魚の様な目で、この後のイベントに参加するつもりか?」

【そんなに酷い顔してた!?】

 

 

ムニムニと自分の顔をマッサージしだす先生。

これから参加するイベントは先生にとっても、ミケにとっても大きな意味を持つ。

だらしない格好は出来ない。

 

時計を見るとまだイベントまで時間がある。

ミケは椅子から腰を上げ、ドリンクサーバーの方へと向かう。

 

 

「何を飲む?」

【ブラックで】

 

 

机から適当な菓子類も取ってきた。

インスタントコーヒーが疲労した身に染みる。

タイミングを見計らい、ミケが話し出す。

 

 

「プレナパテスの意識は、まだ戻らないらしい」

【そっか……】

 

 

あの騒動の後、ミケの忠告通り直ぐに病院へと送り届けられた。

気になる医師の判断だが、意識だけが深く眠り続けている状態らしい。

黒服の十八番を持ってしても、そう上手くはいかなかったのだ。

 

 

「だが、しっかり回復傾向にあると聞いた。いつ目覚めてもおかしくないだろう」

【覚めるさ、あの子達も頑張っているからきっとね】

 

 

ホシノテラーとA.R.O.N.A──アロナが発音が被ると申し出た為、今はプラナだ。

彼女達は一緒にプレナパテスの医療費を稼ぐために奮闘しているらしい。

先生が出しても良かったのが、断られた。

 

 

「ありがとう、でもコレは私達の問題。アビドスの借金だってそうだったでしょう?」

『大丈夫です、私も着いてますから』

 

 

プレナパスのシッテムの箱は、あの場になかった。

故にプラナは普通の携帯端末の中に入っている。

基本的には2人一緒で行動しているらしい。

 

プラナにはサンクトゥムタワーへの接続などの《シッテムの箱機能》は無い。

しかし性能自体は本物で、偶に回線を通じてシッテムの箱に遊びに来ることもある。

大変な事も多いが、楽しんでいるらしい。

 

 

【私も出来るだけサポートするつもりさ】

「そうだな……うん?」

 

 

玄関の方からドタドタと足音が聞こえる。

ソレは超スピードで階段を駆け上がったかと思えば、ミケ達のいる部屋のドアを開けた。

 

 

「通知、お迎えにあがりました!!」

 

 

AL-1Sだ。

元気いっぱいの声でミケ達を呼びに来てくれた彼女は、ニコニコと2人を待っている。

時計を見ると、そろそろ予定の時間だった。

 

 

「もうこんな時間か」

【それじゃあ行こっか】

 

 

そう遠い場所では無い。

向かうのはシャーレオフィスの外、正面玄関である。

ミケはいつものスーツとは違うコートを上に羽織った。

当然これから参加するイベントの正装だ。

 

 

「催促、皆が待ってますよオーナー!!」

 

 


 

 

AL-1Sに連れられ玄関を出ると、多くの人集りが出来ていた。

半分は野次馬だが、もう半分は知った顔が多い。

 

彼女達は全員、ミケの《連邦捜査部S.C.H.A.L.E顧問着任式》の見物客だ。

その中の1人である申谷カイが、続けてAL-1Sがミケに話しかける。

 

 

「ふぅん、中々似合ってるじゃないかオーナー?」

「便乗、いつもの雰囲気とは違って新鮮です!!」

「……………ッ!!」カシャシャシャシャ

「撮りすぎっすよリーダー」

 

 

黒のワイシャツに青のネクタイ。

そこに白のコートとズボンを履いた姿は、正しくシャーレの顧問に相応しい格好だった。

 

 

「写真撮影をすると聞いたんだが──」

【ソレは彼女たちが担当するよ】

「初めまして、クロノス報道部の川流シノンです!写真撮影のあとに軽いインタビューをお願いしたいのですが!!」

「あぁ、後でな」

 

 

実際には式とは名ばかりで、写真撮影会である。

本拠地のシャーレオフィスを背景に撮ってもらう予定だったのだが……。

何故か先生も手鏡で自分の体をチェックしている。

 

 

「君も撮るのか?」

【いやぁ、私の時は着任時にトラブルがあってね?】

「……だったら全員で撮るか」

 

 

彼女達以外だと他には、ミレニアムから抜け出したコユキ、全員集合のアリウスチーム、近くで復旧工事してた工務部、お忍びFOX、今日の為に任務を休んだミチルが居た。

全員合わせると結構大規模な写真撮影となる。

 

 

「(こんな結末を迎えるとはな……)」

 

 

準備中、ミケは心の中で独りごちる。

ホログラムの表情故にバリエーションが少なく、今表れる事はなかったが、もし彼の表情筋が生きていれば満面の笑みだっただろう。

 

それだけ、彼はこの瞬間が幸せだった。

今度リオに新しい表情を増やしてもらおう。

 

 

「良いですか〜?《はい、チーズ!!》で撮りますからね〜!!」

「(もう十分生きたと思っていたが……)」

 

 

色彩さえ倒せればそれで良いと思っていた。

だが蓋を開けてみればどうだ?

約束もあったとは言え、結局ミケは夢を諦めきれなかったのだ。

 

 

「(まだまだだな、私も)」

 

 

ナグルファルからの因縁、そしてゲマトリアとしての物語もたった今終了した。

雪辱を果たした彼は何の憂いもなく、自分の夢を追いかけることが出来る。

 

キヴォトスに来て初めて、彼は心の底から笑った。

 

 

「はい、チーズ!!」

 

 

今度はS.C.H.A.L.Eの先生、喰代ミケとして。

これからも彼らの物語は続いていくだろう。

 

 

透き通るような世界で、新たな物語が始まる───

 

 





ここでタイマーストップ!記録は──17352時間!!
長スギィ!しかし私が先駆者なので世界記録です。
以下、完走した感想です。

拙作を読んでくださった読者の皆様、
感想、評価、ここ好き、誤字報告、FAをくださった方々。
エタらずに完結まで走りきれたのは、皆様の応援があったからこそです。
本当に心からの感謝を……!!

これにて拙作は完結となりますが、不定期におまけ話を投下していく所存です。
早くてバレンタインの話ですね。
完結記念に感想、評価貰えると嬉しいな〜。

最後に長々とお付き合い頂き有難うございました!
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