ブルーアーカイブRTA 称号「崇高」獲得まで 作:ノートン68
お待たせいたしました。
ずっと書きたかったところだから筆が軽やかだったぜ。
小説パートでお送り致します。
顔に強打を受けたプレナパテス(色彩)が壁に激突する。
今や崇高の域に足を踏み入れた自分が殴り飛ばされる異常事態。
プレナパテス──否、色彩は思い出した。
「ーーーーッ!!」
悲鳴、威嚇、どうとも取れる甲高い音が響き渡る。
眼前に居るのはどう見ても唯の幼女だが、先程の一撃で勘づいた。
コイツこそが以前に自分を追い込んだ
「先生、この場は私が預かる。全員を連れてウトナピシュティムの本船に戻ってくれ」
【でも、そうしたら君が──】
「この船のメインOSは恐らく《A.R.O.N.A》だ。
【ッ!?確かにそれは不味いね……!!】
この場に釘付けしなければ、色彩がワープで逃亡する可能性がある。
一時的に力を付けたミケなら逃亡を防ぐ事は余裕だが、何れ限界は訪れるだろう。
加えて箱舟が自爆すれば、地上に降りた色彩によって齎される被害は甚大。
ほぼ確実な未来、色彩にキヴォトスは滅ぼされてしまう事になる。
その未来を防ぐ為には、先生がウトナピシュティムに戻るのは必須だと言えた。
先生もそれを理解し肯定の意を伝える。
【後で必ず助けに向かうから!!】
「任された」
「うぅ〜ん、確かに私達じゃ足でまといになりそうだし……気をつけてね!」
「無理はしないでよね!アンタには借りがあるんだから!!」
「ご武運をお祈りします」
「……了解、オーナーの言う通りに!」
全員が行動を開始したと同時に色彩が吼える。
呼応するようにプレナパテスの体にヒビが入った。
蛹から羽化するまでのリミットは近い。
青白いプラズマの塊がプレナパテスの頭上に集う。
先刻より大きくチャージされたそれは、今にもミケに向かって振り落とされようとしていた。
それでも喰代ミケは動じない。
「またアレか、芸がない奴め──貴様の相手は私だ!!」
色彩の攻撃が振り下ろされる直前、もはや慣れ親しんだワープを発動させる。
神秘ブーストした今のミケにとって、大窓1つ分を繋げる事は容易い所業であった。
狙い通りワープ穴に吸い込まれたエネルギー弾は、このATRAHASISの箱舟の更に上空へと繋げられた先へ飛んで行った。
プレナパテス(色彩)にぶつけても良かったのだが、余波が大きすぎるので断念した。
「来い色彩、貴様を倒して私はシャーレで凱旋だ」
戦況は完全にミケ有利。
だがミケは知っている、色彩の本領はこの先であると。
ミケの持ちうる切り札は残り1つ。
ソレを何処で切るか、そこが肝心だが……。
パキッ
プレナパテスの仮面が割れた。
【本当に1人で置いてきちゃったけど大丈夫かな?】
「肯定、今のオーナーは敵無しですから!!」
ダッシュで自分たちの拠点へと帰る先生たち。
ポロッと先生が心配事を零すが、AL-1Sが即答で問題ないと言い切る。
……強かな子だ、本当は先生よりも心配が勝っている筈なのに。
AL-1Sに続く形でケイが肯定の意を述べる。
「AL-1Sの言う通りです、今の彼はこのキヴォトスで最強と呼ぶに相応しいでしょう」
【あの杖の機能なんだよね。そんなに凄いものなの?】
「……お気づきにならなかったのですか?あれはシッテムの箱その物の機能の一部です」
【えぇっ!?】
先生にとってそれは衝撃の事実であった。
盲点であった、自分と同じ先生だったのなら不思議では無いのに。
驚愕の目線をシッテムの箱、その中に居るアロナに向けると彼女自身も驚いている様だった。
【知らなかったの、アロナ!?】
『も、勿論知ってますよ!!ですがそれは……』
アロナは何か言い淀んでいるが、先生にとっては青天の霹靂であった。
というのも、言葉には出さなかったが先生は前々から自分の非力さに苦い思いを抱いていた。
正しい事をしてる自覚はあるが、ゲマトリアと自分で
根本的に彼らとは違うというのは理解出来る。
だが、冷静な自分がこう囁くのだ。
「生徒に危険な目に遭わせている自分は、私利私欲で生徒を道具のように扱う
エリドゥでの件からより一層、その気持ちは強くなっていた。
本当の意味で、自分の力で問題を解決出来たら──。
そんな思いが先生の中に蟠りとして残っていた。
「指摘、先生が良くない事を考えています。オーナーの真似はいけません」
【うぇっ!?】
「AL-1Sの言う通りです。彼は本来使ってはいけない機能を使っています」
AL-1S達の指摘にドキリとする先生。
本来使ってはいけないとはどういう意味か……。
先生が疑問に思っていると代わりにアロナが補足を入れる。
『AL-1Sさん達の言う通り、あの機能は使うべきではありません。あれは使用者の身を削る諸刃の刃ですから』
【諸刃の刃って……彼が何度かアレを使ってる場面を見たことがあるけどケロッとしてたよ?】
アビドスでビナー相手に大立ち回りしていた記憶が蘇る。
戦闘後、特にどこかが悪くなった様な感じはなかったが……。
『サンクトゥムタワーと接続すればミケさんと同レベルの力を発せる域まで到達は可能です。ですが、仮に先生がその機能を使えば3秒足らずで瀕死に……』
【3秒!?】
アロナの言葉に驚愕していると、ミケをシャーレに推薦した時の事を思い出す。
同時に魂があやふやな状態だと。
それはつまり、バレルによる弊害だったのでは?
【気になってたんだ、どうしてそんな状態になったのか】
ついでに更に前の記憶が掘り起こされる。
あれは補習授業部と第二試験会場に向かっていた時の事だ。
あの時、気を失った自分は廃墟同然の不思議な場所でミケに出会ったではないか。
【あれが、彼のシッテムの箱の内部だった?】
今思えば、アロナが実体化していた事の謎が解けた。
であるなら、あの場に
彼女達が言っていた炉と何か関係があるのだろうか。
【……フンッ!!】
『先生!?』
【へこたれてる場合じゃないよね!】
自らの両頬を叩き気合いを入れる、自分の弱さと向き合うのは後だ。
彼は多くの感情を伴ってこの場にいる筈、それでも自分の役割を全うしている。
なら自分は、自分に出来ることをせねばならない。
たとえ綺麗事でも、自信を持たなければ力を貸してくれる生徒にも失礼だ。
弱々しくては生徒を余計に不安にさせてしまう。
【何がなんでも、負けられない理由が増えたよ……!】
「格好付けた手前アレだが、1人だと流石に厳しいな」
先生達が出発して1分が経つ頃。
プレナパテスの装甲の殆どは剥がれ、中身が見える状態となっていた。
対するミケは大怪我こそ無いものの、少し煤けていた。
「(あの時、生徒会長を依代として顕現した時と一緒だ)」
その姿は最早人間では無い。
赤とも青とも黄とも呼べる様々な色の集合体。
膨大なエネルギーは殻を型代わりに、実体を伴っていた。
質量を伴ったエネルギー体そのもの。
自分の特攻が効かなかったあの時と凄く似ている。
攻撃は更に苛烈さを増し、ワープによる攻撃逸らしは致命的なもの限定で行うほか無かった。
だから第4エリアは崩落必至の状態だ。
「あの時は1人だったからな、今度はどうだ?」
自分が立ち上がった時は既に殆どの生徒が反転する前に自害した後であった。
今は聖域も健在で以前の悲劇は起こってない。
──切り札を使うなら今だ。
「我ながら女々しい限りだ、出来れば使いたくは無かった!!」
懐より取り出したのは
ソレを指で挟んで掲げると、写真は不思議にも光りだした。
光り輝く写真はやがて形を変えて、黒く変色していく。
より小さく変化したそれは一見用途不明の紙ペラだ。
だが、ソレを知る人が見ればこう言っただろう。
「悪いが今度こそ、どうか力を貸してくれ──!!」
「当たり前じゃないかぁ、愛する人の為ならねぇ!!」
「お前、よくこの場面でそんな啖呵を切れたな……」
「ご用命により馳せ参じました、主殿!!」
少しずつ欠けていくソレによって呼び出されたのは3名の生徒。
「手袋のクーリングオフは断る。これは私が先に進む為の
次回はエンジニア陣営目線の予定です。