内密出産どうする?“有料の仕組み”は「実態に合わない」指摘も―持続可能な支援には「資金面」に課題
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日本で初めて2021年から内密出産(身元を医療機関以外に明かさずに出産)を受け入れている熊本の慈恵病院が、今年、日本で2番目に内密出産の受け入れを始めた賛育会病院などに対して意見書を提出し、内密出産の女性に出産費用を負担させるのは実態に見合わないなどと主張しました。一方で、内密出産の費用を病院が担うやり方は持続可能なのか、資金確保を病院以外の組織が行う方法も必要だという指摘も。
■熊本の慈恵病院が東京都や賛育会病院などに申し入れ
妊娠・出産を知られたくない女性が身元を一部の病院職員などにのみ明かして出産する、いわゆる「内密出産」を日本で初めて始めた熊本・慈恵病院が、日本の医療機関では2番目に「内密出産」を始めた賛育会病院や東京都、こども家庭庁などに対し、「病院の財政に負担をかけないための方針だとは思う」が、有料の内密出産が孤立妊産婦の実態に合わないなどする意見書・質問書を提出しました。 賛育会病院は、内密出産の場合、出産費用は原則妊婦の自己負担だという方針ですが、熊本・慈恵病院によりますと、出産費が負担できないなどと悩む女性からの相談があったということで、賛育会病院の対応が不十分なのではないかと指摘しています。 なお、こうした事実があったかどうかについて、賛育会病院に取材したところ、「個人情報のため回答できない」とのことでした。
■課題は…病院が資金面をすべて負担
赤ちゃんポストや内密出産について詳しい研究者、千葉経済大学短期大学部の柏木恭典教授は、こうした背景の一つとして、出産費用などを女性が担えない場合、病院が負担することになるという課題をあげます。 「日本は医療機関が主となって(内密出産などを)運営している。だからその負担を医療機関が負うことになる。相談業務、妊娠から分娩、その他のあらゆるサービスを病院の負担で実施しなければならない」 「そうするとやっぱり経営的に厳しくなってくる。1人に対して60万・70万円のお金(出産費用)を出さないといけない。それを無料でやるのは持続可能性でいうとかなり厳しい」 賛育会病院は持続可能性を求めているため、基本的に有料(妊婦が出産費を負担)なのではないかと解説しました。 一方、世界各国のほとんどでは、内密出産は病院ではなく、母子福祉団体などが主となって始め、相談支援や金銭面は母子福祉団体が担い、病院は要請をうけて、医療のみを提供する形だといいます。そしてこうした活動に必要な資金は寄付でまかなわれることも多いということです。 「世界では、病院はあくまでも出産の支援をするだけ。日本が特殊すぎて、病院が経営面も考えなければいけないようなやり方になっている」「寄付金収集は医療機関ではない基金や財団がイニシアチブをとるべき」 仮に賛育会病院が、海外と同様、福祉的な財団の要請で内密出産の“医療部分”のみを担う形であれば、今回あったとされるような悩む女性の例もなくなる可能性が高いと指摘します。 今後、日本が進むべき道については… 「福祉として、こっち(財団など)がある程度全部担うから、病院は協力してくれる、力を貸してくれればいいというモデルが作れたらいい」