ブルーアーカイブRTA 称号「崇高」獲得まで 作:ノートン68
お待たせいたしました。
前回のあらすじ
黒服「ホモっていつもそうですよね!私達の事なんだと思ってるんですか!?」
ホモ「リリース素材」
黒服「わ……あぁ……」
走者「泣いちゃった!」
大体こんな感じ。
ミレニアム近郊には《ディヴィジョン》と呼ばれる廃棄された兵器工場がある。
その結果デカグラマトンに感化され、兵器・兵力の供給源を担うようになったAIの名は《ケセド》。
それが今はデカグラマトンの、更にゲマトリアの管理下から離れ、現在は暁のホルスに掌握されていた。
『…………』
淡々と生産するケセド、思考は無いに等しい。
辛うじてあるのは昆虫のような反射的思考だけ。
否、根幹に関わる感情も一つだけ残っていた。
『働きたくない』
彼?は引き篭もり気質の陰キャだった。
そもそも仕事環境があまり良くない、ゲブラからよくチクチク小言を貰うのが日課だ。
(最近はめっきり通信が来ないが)
それでも預言者としての責務を果たしていたのは、今の上司は自販機ではなく、ロリになったからである。
(自販機が神だった頃も、叱られるのが嫌で生産し続けてはいた。)
それが今はどうだ。
謎の性能強化を施された上で、元から低いモチベは更に急降下した。
しかし己の機体は生産を止めない、止める事が出来ない。
そんな社畜の元に
何だ何だと確認すると侵入者だ、数は僅か2人。
小柄な少女と骨の異形、脅威度は未知数と仮定。
『…………』
即座に敵戦力に見合った兵力を差し向ける。
勿論、彼女達が驚異的な能力を持っていたとしても、完封できる量を計算して余裕を持って対処した。
彼女達はディヴィジョンに迷い込んだ忘れられた神々だろうか。
そんな疑問もすぐに消え去って数分後、それでもアラートは鳴り止まない。
不審に思ったケテルが改めてディヴィジョン内の監視カメラを見ると、そこに映し出された光景に絶句した。
「最近動けなかった分、ここで運動しなくてはな?」
「歓喜!オーナーが居れば百人、いや千人力です!!」
せっかく作り出した兵力が、無惨にも一瞬でゴミへと変わっていく光景だった。
特に前衛の少女は不味い。
非力だと思っていた少女は二丁拳銃を撃ち終えた後、片手でリロードしながら、後隙を狩りに来たロボット兵を拳で文字通り粉砕していた。
なにこの子、普通に怖い。
「タイムアタックだ、シャーレの戦力が投下される前に生産AI本体を潰すぞ」
「提案!どちらがより多く敵を倒したか競走ですよ!!」
「良いだろう、だが最短ルートで向かう。寄り道は厳禁だ」
「了承、負けません!!」
少女の後ろから突撃銃を撃っている骨もヤバい。
前にいる少女に弾を当てずに、的確にロボット兵の弱所だけを狙いすましている。
その射撃の腕は芸術の域に達していると言っても過言では無いだろう。
『こっちに来るな!!』
丹精込めて作ったせっかくの兵力が、秒でスクラップとなる悪夢。
カメラに映る彼女らは、きっと悪魔に違いない。
作戦変更、後先のことを考えない超スピードでの生産を行う。
あの二人組の目的は知らないが、真っ直ぐこちらへ向かって来ているのだから、恐らく自分が目的なのだろう。
テラー化しても心根は一緒、ケセドは自分の身を守る為の動きは機敏であった。
廃工場に入って数分、変わらずホモ達が敵を蹴散らし結構前進した頃。
先程よりも遥かに多い足音が、2人の方へと向かってくることに気付いた。
「敵も本気のようだ、心してかかれ」
「適量、手応えがなくて退屈してたところです!」
ホモ達がそう宣言すると、確かに先程の雑魚達とは違う奴らが出てきた。
パワードローラ、ゴリアテ、無名の守護者を2パターンなど。
普通のオートマタやドローンでさえ宇宙色をしている。
見るからに強化個体だ。
「囲まれないように注意はしておけ、要らん心配だろうがな?」
「了承、蹂躙を開始します」
数という脅威はキヴォトスでも健在だ。
なんせメイン火力は銃だ、弾薬がなければ拳によるリアルファイトしか手段がない。
弾の貯蔵は無限では無い、火力と射程がなくなれば数の暴力に飲み込まれる。
キヴォトスでは
しかしこの2人に限り、その条件は当てはまらない。
「宣言、弾が無くなりました。オーナーからの補充があるまで拳で抵抗します!」
何故ならAL-1Sは徒手空拳こそ真骨頂。
有象無象(強化済)だろうが、容赦しない。
その動きは以前よりも洗練されており、ホモが筋肉モリモリマッチョマンになれば恐らくこうなる筈だ。
近距離肉弾戦で敵う相手は片手未満、そろそろ本当に存在するか怪しい。
強化個体であるDivi:Sionを楽々と
「遠慮せずどんどん使え、弾丸の備えは幾らでもある」
現在はサンクトゥムタワーの防衛の為、《ワープ》が多用できない状況下にある。
それでも片腕1本が入る程度の
小さく開いた虚空から予備の弾倉が落ちてくる。
これのどこが無法なのか?
考えてみてほしい、コイツだけ四次元ポケット持ちなのだ。
手持ちに限界はなく、好きな時、好きな場所で、すぐに好きな銃を選べる。
弾薬は拠点に準備されている分だけ、実質無限に撃てて隙はリロードする瞬間のみ。
そして現在、彼は《バレル》により並の生徒よりも火力を叩き出せる状態となっている。
「質問、今何体目ですか!?」
「君は78体目だ、私は114体目」
「ッ!!例えオーナーでも負けませんッ!!」
ケセドが必死こいて用意した兵士達も、AL-1S達には届かなかった。
彼女たちに数の有利は関係ない、一重に相性が悪すぎたのだ。
ホモがAL-1Sを煽り更に破壊速度が更に上昇した。
するとどうなるか?知らんのか──準備不足の状態でホモ達を迎える事になる。
ケセドは絶望した。
リソースを全て迎撃に使って防衛に回せる兵力が居ない。
動けないケセドに許された行動は1つ。
『─────ッ!!』
「発見、あれが例の親玉ですね!」
「アレをこじ開けるのは骨が折れるぞ」
「……骨だけにですか?」
兵力の適宜放流を辞めた、兵士たちが現れる気配は全くない。
一気に彼らを押し流せる物量まで貯める為に、攻撃を受けるガン待ち戦術。
それがケセドに許された最善の行動だ。
ただでさえ硬い周囲を覆う装甲は、色彩の強化によって更にカチカチになっている。
本来はケセドの兵力生産速度を上回る速さで兵力を削ることで、オーバーフローしたケセドが自身を守る装甲を放熱のためパージした隙を集中火力で倒すのが正攻法。
だが兵力をチャージするだけの待ちケセドを倒す為には、クソ硬い装甲を貫く必要がある。
「憤怒、ここに来て害悪戦法ですか!?」
「問題ない、準備しろAL-1S」
「了解、
一気にクソゲーと化したケセド戦、しかしホモ達には最適解が手元にある。
AL-1Sが担いでいる《禍討ツ星》だ。
だが今それを構えているのはAL-1Sではなくホモである。
多少の強化をされていても重いものは重いのか、AL-1Sが駆け寄り補助してくれた。
「照準の固定をサポート、ケセドのコア部(予想)をロックしました!」
ホモとAL-1Sは信じている。
結局は火力が全てだと言うことを。
《禍討ツ星》は使用者の所持する神秘量によって威力が増減する。
ホモは現在使用している50人分の神秘を《禍討ツ星》に惜しみなく注入した。
恐らく《スキル》という概念があれば、『防御貫通』、『装甲破壊』、『フル充電』が使用されただろう。
「「貫け───ッ!!!」」
発射された一筋の紅星。
いつもより一層激しく赤を照らすレーザーのような一撃は、ケセドの装甲へと命中した。
「命中を確認、やりましたか!?」
「フラグを建てないでくれ……」
超高温に加熱され赤い流星となった弾丸は、装甲を溶かし辺り一面に鉄臭い匂いを漂わせていた。
当然煙も出るわけで、それが晴れるとケセドの姿が顕になった。
『───耐えれた!』
「そら見ろ」
「謝罪、1度言ってみたかったんです!」
ケセドの装甲は、あのクリフォトすら貫く《禍討ツ星》を耐えきった。
あれほどの威力、連発できるとは思えない。
兵力もそろそろ溜まる、ケセドは勝利を確信し内心でほくそ笑んだ。
『……うん?』
骨の異形が何かしている。
より具体的に言えば、銃器を振りかぶっている。
まるで野球のティーバッティングのように、ケテルと直線で交わる位置にAL-1Sも居た。
──神秘の追加注入完了
──神秘貯蔵量……残り83%
「あれだけ削れたら十分だ、頼んだぞ」
「任せてください!!」
『ちょ……まっt──』
ケセドのタイム宣言が2人に届くことは無い。
野球しようぜ、お前ボールな!!と銃器は勢い良く振り抜かれ、AL-1Sはソレを足場にケセドへと急接近する。
AL-1Sの素早さに、ホモのフルスイングが加算された最高速度は音速並か。
余波のソニックブームが廃工場のガラスを全て破砕した。
「ナイスコントロールです、オーナーッ!!」
『ミ゜ッ』
ダメ押しの一撃。AL-1Sは残り少ない装甲を貫いた。
バキリッと子気味の良い音が内部から聞こえたかと思うと、ケセドを覆っていた装甲は花開くように解放され──爆散した!!
「任務完了、サブクエストも完了です!」フンスッ!
ドヤるAL-1Sが爆炎から無傷で現れる。
その手には球状の機器が握られており、グーサインをお互いに交わした2人。
どう見てもそれはケセドのコアであった。
「よくやった。恐らく間に合いはしないだろうが、備えあっても問題ないだろう」
「質問、氷海で入手したアレらはどうなっていますか?」
「アレらは少し時間が掛かる。ギリギリだ、今回に間に合うかどうかすら怪しい」
そんな感じで話していると、1つの人影が割れた天井ガラスから落ちてきた。
比喩ではなくガチで、ゴシャリと。
嫌な音がしたが、彼女はなんでもないように立ち上がる。
床に衝突したそれは血濡れた堕天使のようであった。
「けっへっへ、パラシュート開けなかった……」
「思ったよりも早かったな」
上空を見やるとヘリコプターが飛んでいる。
プカプカと浮かぶ複数個のパラシュートから、恐らくあそこからダイブしてきたのだろう。
とてつもない威力を受けた筈だがケロリとした彼女は、此方へ振り向き獰猛な笑みを浮かべた。
「対象を確認、彼女はトリニティの戦略兵器……!!」
「さぁ、暴れる時間だァ!!」
──剣先ツルギ、乱入
「張り切っているところ済まないが、もう倒したぞ?」
「……キェ?」
次回も小説パートです。