『梶井基次郎全集 別巻 回想の梶井基次郎』

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「間抜けなところがあるよ。(笑)トンチンカンなところがね。(中略)わかりきったことがわからないような。」
(三好達治 「座談会 梶井基次郎の思い出」 より)


『梶井基次郎
全集 別巻 
回想の梶井基次郎』



筑摩書房
2000年9月25日 初版第1刷発行
674p 目次8p
口絵(モノクロ)1葉
A5判 丸背クロス装上製本 貼函
定価7,200円+税
装幀: 中山銀士

月報④ (8p):
梶井・ペヒシュタイン・ゲッセマネ(新保祐司)/『檸檬』礼讃(ウィリアム・J・タイラー)/梶井基次郎『檸檬』(吉行淳之介/昭和41年2月20日)/編集経緯、ならびに謝意(鈴木貞美)/正誤表



本書「解題」より:

「本巻「回想の梶井基次郎」は、第Ⅰ部「回想の梶井基次郎」を、梶井基次郎についての肉親や友人知己の回想記、また彼らへのインタヴューなどを中心に構成し、第Ⅱ部「同時代」に同時代評や追悼文、第Ⅲ部「反響と残映」に回想をふくむ関連資料をまとめた。」


本文二段組。



梶井基次郎全集 04



帯文:

「全三巻 別巻一
完結!

本巻は友人知己による回想、
インタヴュー、座談会、同時代評、
追悼文など厖大な資料を精選し、
その彫琢の文学とは
別趣の光彩を放った
夭折の作家梶井基次郎の人生を
浮き彫りにする。
詳細な年譜、書誌、参考文献、
人名索引を付す。」



目次:

Ⅰ 回想の梶井基次郎
 思い出の数かず
  少年時代
   弟 梶井基次郎――兄謙一氏に聞く (梶井謙一・小山榮雅)
   鳥羽での生活 (梶井謙一)
  三高時代
   梶井基次郎のこと (中出丑三)
   「檸檬」の思ひ出 (中谷孝雄)
   梶井基次郎――京都時代 (中谷孝雄)
   梶井さんの思ひ出 (平林英子)
   梶井君の思ひ出 (飯島正)
   梶井のこと (刀田八九郎)
   梶井君のこと (番匠谷英一)
   梶井基次郎の靴と鞄 (武田麟太郎)
   対談 紅、燃ゆる (部分) (丸山薫・河盛好蔵)
   梶井基次郎に就いて (外村繁)
   梶井基次郎の覺書 三 (外村繁)
  伊勢松阪にて
   弟 基次郎の想い出 (宮田富士)
   松阪の思い出 (宮田尚)
   基次郎さんのこと (奥田房子)
   私と城のある町にて (奥田ふさ)
  『青空』の思い出
   「青空」のことなど (外村繁)
   梶井基次郎のこと (外村繁)
   十一月三日 (外村繁)
   「青空」のころ (龍村謙)
   思ひ出づるまゝに (淀野隆三)
  湯ヶ島追憶
   梶井基次郎君の憶出 (三好達治)
   梶井基次郎 (川端康成)
   湯ヶ島の梶井さん (安藤公夫)
   湯ケ島の思ひ出など (抄) (淀野隆三)
   私の文学的回想記 (部分) (宇野千代)
   梶井基次郎の面影 (藤沢桓夫)
   年月のあしおと――明治・大正・昭和の文學的思い出 (部分) (廣津和郎)
  帰京
   斷片 (北川冬彦)
   北川冬彦氏に聞く (部分) (北川冬彦・鈴木沙那美)
   思ひ出 (仲町貞子)
   小説作法 (第一話) (伊藤整)
   梶井君について (淺見淵)
   梶井さんのこと (藏原伸二郎)
  亡くなるまで
   横光さんと梶井君 (淀野隆三)
   臨終まで (梶井久)
  梶井基次郎を想う
   『檸檬』解説 (中谷孝雄)
   梶井基次郎 (抄) (平林英子)
   梶井のおもいで (飯島正)
   梶井基次郎の思い出 (浅沼喜実)
   思ひ出した事その他 (浅野晃)
   回想 梶井基次郎 (野村吉之助)
   梶井基次郎 (三好達治)
   文學的青春傳 (三好達治)
   文學的青春傳 (抄) (伊藤整)
   文學的青春傳 (抄) (尾崎士郎)
   梶井基次郎の思い出 (藏原伸二郎)
   座談会 梶井基次郎――若き日の燃焼 (中谷孝雄・北川冬彦・飯島正・淺野晃)

Ⅱ 同時代
 同時代評
  大正十四年(一九二五)
   中谷、梶井のこと (外村茂)
  大正十五年・昭和元年(一九二六)
   梶井の「過古」について (外村茂)
   梶井を描く (外村茂)
  昭和二年(一九二七)
   詩のある作家――丸山梶井二君の散文に就て (百田宗治)
   青空語 (部分) (三好達治)
   湯ケ島日記 (部分) (小野勇)
   青空 合評會 第一回 (部分) (青空社・東京帝國大學文藝部)
   小説『鶺鴒の巣』そのほか (尾崎士郎)
  昭和三年(一九二八)
   合評會拾遺――無題 (部分) (亞坂健吉)
   合評會拾遺――ウルトラ漫評 (部分) (阿部知二)
   梶井基次郎君の印象 (淺見淵)
   同人雑誌短評 其の一 (部分) 『文藝都市』七月号 (匿名)
   創作月評 (部分) (米谷利夫)
   或ひは失言? (部分) (井伏鱒二)
  昭和四年(一九二九)
   小説 悲劇を探す男 (部分) (尾崎士郎)
  昭和五年(一九三〇)
   座談会 後繼文壇に就て語る (部分) (加藤武雄・大宅壮一・川端康成・尾崎士郎)
   梶井基次郎氏の「愛撫」 (川端康成)
   新作家の作品 (部分) (川端康成)
  昭和六年(一九三一)
   交尾 (井伏鱒二)
   梶井基次郎君に――創作集『檸檬』推薦の辞 (三好達治)
   梶井基次郎著『檸檬』に就いて (丸山薫)
   新刊『檸檬』 (井上良雄)
  『檸檬』誌上出版記念會 (『作品』昭和六年七月号)
   「檸檬」市場出版記念 (淀野隆三)
   實に美味しい果物 (小野松二)
   「檸檬」の著者に (三好達治)
   檸檬 (今日出海)
   梶井君の檸檬 (近藤一郎)
   檸檬 (伊藤整)
   「檸檬」は一つの記念碑だ (辻野久憲)
   文藝時評(一) (部分) (正宗白鳥)
  昭和七年(一九三二)
   文藝時評――梶井基次郎と嘉村磯多 (抄) (小林秀雄)
   この人を見よ――堀辰雄と梶井基次郎 (菱山修三)
 梶井基次郎追悼
  追悼文
   『磁場』後記 (抄) (井上良雄)
   孤高の作家 梶井基次郎氏を悼む (竹中郁)
   追悼詩 友を喪ふ (三好達治)
   梶井基次郎君を悼む (廣津和郎)
   薄運なる文士の二三氏 (部分) (新居格)
  『作品』追悼特集 (昭和七年五月号)
   梶井君の逝去 (井伏鱒二)
   失はれた面影 (辻野久憲)
   梶井氏の想出など (阿部知二)
   梶井君の思ひ出 (飯島正)
   再びこの人を見よ――故梶井基次郎氏 (菱山修三)
   心友いまいづこぞや (藏原伸二郎)
   梶井基次郎を継ぐもの (井上良雄)
   のんきな患者の作家 (瀧井孝作)
   ユーモラスな面影 (丸山薫)
   思ひ出すままに (淀野隆三)
   梶井君と「作品」 (小野松二)
  『作品』追悼特集補遺 (昭和七年六月號)
   四月一日 (織田正信)
   「櫻の樹の下には」 (伊藤整)
   殘された仕事 (中谷孝雄)
   「讀者通信」より
    梶井さんの創作について (関董文)
    梶井さんの追悼号 (島田幸二)
    「檸檬」の作家 (木村碩男)
  追憶新たなり
   『檸檬』を読み返しながら (三好達治)
   梶井基次郎といふ男 (北川冬彦)
   追憶 (石田幸太郎)
   便り (辻野久憲)
   二人の作者とその全集 (抄) (廣津和郎)
   
Ⅲ 反響と殘映――資料編
 全集内容見本と月報
  六蜂書房版全集内容見本
   梶井基次郎全集刊行に際して
   本質的な文學者 (萩原朔太郎)
   梶井基次郎斷片 (宇野浩二)
   梶井氏の作品 (横光利一)
   二つの特質 (丸山薫)
   梶井基次郎について (北川冬彦)
   恍惚たる限り (井伏鱒二)
   及び難い天才 (深田久彌)
   その文業は不滅 (川端康成)
   未發表の氏の表現 (小林秀雄)
  高桐書院版全集内容見本
   梶井基次郎全集刊行に際して
   梶井氏の作品 (横光利一)
  筑摩書房版全集内容見本と月報
  昭和三十四年版全集
   内容見本
    刊行の言葉
    我々の古典 (伊藤整)
    もつとも純粋な散文 (山本健吉)
    新らしさと高貴 (三島由紀夫)
   月報・檸檬通信①
    梶井文學の近代性 (河上徹太郎)
    梶井基次郎をめぐって (開高健)
   月報・檸檬通信①+②
    座談会 梶井基次郎の思い出 (浅見淵・中谷孝雄・外村繁・北川冬彦・三好達治・淀野隆三)
   月報・檸檬通信②
    清滝の打入り (中出丑三)
    三高のころ (大宅壮一)
    梶井さんの思い出 (宇野千代)
    詩と骨格 (小島信夫)
   月報・檸檬通信③
    梶井君の強靭さ (広津和郎)
    一度の面識 (井伏鱒二)
    微妙なくりかえし (武田泰淳)
    青春の文学 (中村光夫)
    闇の造型者 (佐々木基一)
    梶井基次郎と現代作家 (江藤淳)
    四つの全集のことなど (淀野隆三)
  昭和四十一年版全集
   月報①
    梶井と京都 (中谷孝雄)
   月報②
    「猫」・「交尾」 (庄野潤三)
    全集完成のよろこび (淀野隆三)
        *
 『青空』の青春――淀野隆三「日記」抄 (鈴木貞美 編)
 看護日誌 (昭和七年) (梶井ひさ)

Ⅳ 年譜・書誌・人名索引ほか
 梶井基次郎年譜 (鈴木貞美 編)
 『靑空』細目 (藤本寿彦 編)
 書誌 (藤本寿彦 編)
 〔付〕 教科書採録 (石川肇 編)
 参考文献目録 (鈴木貞美・藤本寿彦 編)
 〔付〕 外国語翻訳及び研究 (ウィリアム・J・タイラー 編)
 ノート・書簡人名索引

解題 (鈴木貞美)




◆本書より◆


「弟 基次郎の想い出」(宮田富士)より:

「死ぬ前見舞いに行つたとき初めて私にこんなことをいいました。「ぼくらの祖先は紀の川の奥にいた落武者だ。それがね、この世に出て来て何事かをたくらんだよ」あたしたちの先祖はそんなのと違うと私が反撥すると「それは仮想だよ。そうした構想で書きたいんだ」おもしろいことを考える子だと思いました。」


「私の文学的回想記」(宇野千代)より:

「或るとき、そのときはおほぜいの仲間たちと一緒でしたが、皆で散歩の途中で、川の流れの激しいところを通りかかりました。「こんなに瀬の強いところでは、とても泳げないなァ、」誰かがさう言ったと思ひます。梶井は例の眼を細めた笑顔をして、「泳げますよ。泳いで見ませうか。」と言ふが早いか、さっと着物を脱いで、橋の上から川に飛び込みました。この人は危い、と私が思った最初でした。それから間もなくのことです。「梶井さんが見えなくなった。」と言って、村中の人が探しに出かけたことがありました。前の日に、天城を越えると言って出掛けたきり帰って来ないと言ふのです。
 しかし、梶井はひょっこりと戻って来ました。そして、村中の人が探しに出掛けたと言ふことが分っても、平気でゐたと言ふことでした。何のために、どこへ行ったのか、誰も訊いたものはありませんし、彼もまた語りませんでした。」



「座談会 梶井基次郎の思い出」より:

三好 西欧的なんだけど……間抜けなところがあるよ。(笑)トンチンカンなところがね。(中略)わかりきったことがわからないような。」
三好 梶井は観察家のくせに観察のまるで辻褄の合わないような、間抜けなところがあったね。
浅見 梶井君は徹底的に唯美派的なところがあったよね。左翼に対して関心を持ったりしてるけど、結局美しいものだけに惹かれたんだよ。(中略)石けんでもそうだろう、金もないくせにフランスの石けんを使ったりね。
淀野 僕にウビガンのポマードを教えたのはあいつだよ、それに水油。それからダンチックっていう酒ね……金箔がきらきら浮いてるやつ。
外村 最高級の好きな人だった。
北川 Aワンのビフテキなんかあいつによって知らされたよ。(笑)
三好 そのくせ梶井はなかなかけちん坊なところがあったね。
外村 あったよ。
淀野 一冊のノート・ブックを、三年ぐらい使ってらぁね、あっちに書いたりこっちに書いたり。
外村 全体はおかしいんだけど、非常に正確、ゆるぎない表現を身につけていたね、それは彼の文学も、人間も――あの若い日に既にそうだったな。」



「梶井さんの思い出」(宇野千代)より:

「図々しいと言う者もあり、また純真だと肩を持つものもいた。どちらの批評もほんとうであったと思う。」



梶井基次郎全集 05







































こちらもご参照ください:

『梶井基次郎全集 第一巻 作品・草稿編』
『新潮日本文学アルバム 27 梶井基次郎』



















































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