猫
でも分かるシリーズ
=ROEの本質=
=ROEがなかなか上がらない理由=
週末はお勉強
の時間です。株式投資は一定程度理屈のゲームなのです。学びがお金になる素晴らしい世界なんですよ
こっち側の住人になってくださいね( ◜ᴗ◝)
今までポストの復習を、今日はちょっと違う角度からお話します。同じことを色んな角度から話して、少しずつ新しい知識を足していっているので、比較的頭の中に入ってきやすいと思います。
ではまず、「ROE」という言葉から。
これは「自己資本利益率」といって、株主から預かったお金を使って、どれだけ利益を稼いだかを示す指標なんです。
たとえば、ある企業Aが2025年度の期初(=2025年4月時点)で
自己資本が1,000億円あったとしましょう。
この企業がその年の1年間で
売上:1,000億円
当期純利益(=最終的なもうけ):100億円
を稼ぎ出しました。
ROEは「当期純利益 ÷ 自己資本」で求めます。
つまり今回は
100億円(利益)÷ 1,000億円(自己資本) = ROE 10%
というわけです。
大事なことなので、もう一度言っておきますね。
ROEというのは、株主から預かったお金(=自己資本)で、どれだけ利益を稼いだかを示す指標です。
ここからが本題です。
企業Aはこの100億円の利益のうち、
30億円を配当として株主に渡し、
20億円を自己株買いに使ったとします。
この「配当」と「自己株買い」を合わせて、株主への還元は 合計50億円。
つまり利益のうち、50億円は株主に還元して、残りの50億円は会社に残したことになりますね。
この残った50億円(利益剰余金)は会社の中に積み上がるため、期末(=2026年3月末)の自己資本は…
1,000億円(もともとの自己資本)
+ 50億円(今年積み上がった分)
= 1,050億円 になるわけです。
ここまでが前提です。
では、ここで少し考えてみましょう。
仮に、翌年――つまり2026年度の利益も今年と同じく100億円だったとします。
このときのROEはどうなるでしょうか?
ROEは「当期純利益 ÷ 自己資本」でしたよね。
なので計算すると…
100億円(利益) ÷ 1,050億円(自己資本)
= 約9.52%
利益は前年と同じ100億円なのに、ROEは10%から9.52%に下がってしまったんですね。
これがすごく大事なポイントなのです。
ROEというのは、
**「株主から預かったお金(=自己資本)を使って、どれだけ利益を出したか」**を表す指標です。
つまり、2025年の1年間で企業は利益をあげ、
株主から預かったお金(自己資本)も増えました。
でも、自己資本が増えたのに、利益が増えないままだと、ROEは下がってしまうんです
たくさんのお金を預かるようになったなら、
それに見合うだけの大きな利益を稼がないと、ROEを維持・向上させることはできないんです。
そして、株主から預かったお金を、どれだけ効率的に利益に変えるか。これは、経営者にとって最も大切な仕事のひとつなんです。
アクティビストは何を言ってるんだ?
よく**アクティビスト(物言う株主)**が企業に対して言っていることがあります。
それは、
「株主から預かったお金(=自己資本)がどんどん増えているのに、利益が増えていない。だったら、その**使いきれないお金は株主に返しなさい」
という主張です。
じゃあ、その“株主に返す”ってどういうことかというと、その方法が主に2つあります。
配当
自己株買い
この2つを行うと、会社に残る利益(=利益剰余金)が減りますよね。
つまり、自己資本が減る(または増えにくくなる)ことで、ROEが下がりにくくなるということなんです。
アクティビストが言っていることはこういう理屈なんですね。
保有株が値上がりすると、ROEはどうなる?
先日は「投資有価証券(株)」の評価額が上がった時のBSの話をしましたよね。
ちょっと表現が難しいですね
要は企業が保有している株の株価が上がったらどうなるのという話をしましたよね。
どうなるんでしたか
ちゃんと覚えてますか
企業が保有する株式100億円が、
株価の値上がりで150億円になったとします。
BSの左側は投資有価証券の100億円が150億円になるだけですよね。
一方BSの右下が自己資本の
「その他有価証券評価差額金」が35億円増えて
BSの右上の
「繰延税金負債」が15億円増えるんでしたよね。
で、ここで大切なのがBSの右側の自己資本が35億円
増えたということです。
ここでさっきの話に戻りますね。
ROEとは「当期純利益 ÷ 自己資本」
で求めます。
保有株の株価が上がれば「自己資本」は増えるんですよね。利益が上がらなければROEはますます低下するわけです。
数字を入れて把握しましょうか
2025年度期初(2024.4)自己資本1,000億円
2025年度期初(2024.4)保有株式時価100億円
2025年度利益 100億円
2025年度株主還元50億円
2025年度末に株価の上昇
で保有株式時価が150億円に(新規買い付けや売却はなしと仮定)
自己資本は
元々の1,000億円に以下2つがプラスされます
・利益剰余金の50億円
・その他有価証券評価差額金35億円
⇒結果自己資本は1,085億円になるわけです
仮に2026年度の利益が横ばいの100億円なら
ROEは100 ÷ 1,085 = 9.2%
つまりROEは10%から9.2%に低下するのです。
これは企業側にとっては大問題なわけです。
東証や株主にROEをあげろ!との厳しいプレッシャーにさらされているのに、逆にROEが下がってしまうわけですね。
じゃあ企業はどうするの?
ROEが下がるのは大変都合が悪い
そこでROEをあげるための行動を起こすわけです。
ROEをあげる方法は2つです
①配当と自己株買いを増やして自己資本を圧縮する
②利益を成長させる
(そのためには成長投資にお金を使います)
大体は上記2つの合わせ技になるのですが、
株主にとっては
1) 株主還元も嬉しい
2) 企業が成長投資してくれて利益が増えても嬉しい
となるのです。ただより確実な株主還元の方が嬉しいと考えるのが一般的だということです。
(成長期待が大きい企業の場合は還元するより成長にお金を回してくれとなるので、必ずしも株主還元の方が嬉しいということではありません)
投資家目線でまとめると、
企業がもつ保有株の株価が上がると
①自己資本(その他有価証券評価差額金)が増える
②ROE低下圧力になる
③企業焦る
④還元に走る
含み益のたっぷり乗った政策保有株の売却を企業が
進めると
①PLに利益が載る(株式売却益が計上される)
②還元増期待がもてる。
何にせよ企業が保有する株式の評価が上がると
良い面が多いということです。
保有株の含み益が増えるとBSには反映されますが、
PLには反映されないのですね。これが違いです。
今後はどうなりそうなの?
今は、東証やアクティビストが「資本効率」を高めろと言っているのです。本業に関係のない「株」や「賃貸等不動産」を多く保有している企業は「売却して成長投資や株主還元に回せ!」とのプレッシャーにさらされています。こういう非効率な資本を持っていると、先週ポストしたようなアクティビストに狙われて大変な目にある可能性があるのですね。
今は「政策保有株式」の売却が中心ですが、
ヘムはこれからは「遊休不動産」を所有している企業が、その売却を進める流れがくるのではと思っています。だから今こつこつ、資産バリュー(賃貸等不動産の含む益が大きい)を買っているということです。
インフレ下では「土地」の価格が上昇しますので、この含む益が毎期増えていく事も案外大きいのですね。
含む益たっぷりの土地を売るとどうなるか?
このあたりはまだ投稿していませんが、
土地の場合は、PLだけでなくBSにも影響が出てくるんです。つまり更に美味しいということです。
その辺りはまたどこかでポストしますね
今日の後半は相場観などを話したのですが、
同じ情報でも前半の理屈を知っていると
腹落ち度合いが違うのですね。
この理屈を知っているから、
ヘムは普段の銘柄分析で
①中期経営計画の政策保有株式の売却プラン
②BSのその他有価証券評価差額金
③有価証券報告書の「賃貸等不動産」の簿価と時価
などはチェックするようにしているということですね。
分かりやすかったなと思っていただけたら、
拡散などしていただけますと大変嬉しいです
おしまい
Quote
ヘム / 「小型割安株」&「増配」&「暴落時買い向かい」投資
@pygmy_hem
おはようございます
昨日のDOEのポストは見ていただけましたか? 念のため補足ですが、「ROE-DOE」が理論上の増配率になるのは、企業が配当政策としてDOEを採用し、そのルール通りに配当している場合に限られますのでご注意くださいね。
さて、今の個別株式で最も重要なキーワードは 「東証改革」 x.com/pygmy_hem/stat…
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