令和5年9月、いじめ防止対策推進法の「重大事態」に認定された滋賀県立石部高校(滋賀県湖南市)野球部のいじめで、県が最終報告書をまとめた後に発覚した「ベルトで背中や足をたたく暴行」について、高校側が改めて関係者への聞き取り調査を実施し、事実と認定した上で「悪ふざけやちょっかい」として今年3月に重大事態の報告書に追加していたことが2日、分かった。被害に遭った男子生徒側は「背中にミミズ腫れができるほどたたかれたのに悪ふざけやちょっかいとは感覚を疑う。矮小(わいしょう)化している」と怒りをあらわにしている。
追加調査報告書によると、6年7月、ネットニュースのコメント欄に被害生徒の知り合いを名乗る人物が「ベルトでたたかれていた」と書き込んでいた。書き込みを知った高校側は改めて同月9日~10月31日の間、加害生徒らから聞き取り調査を実施。その結果、5年6月ごろ、部活動終了後の野球部の部室で加害生徒2人が被害生徒の背中をベルトや手でたたいたことが複数回あり、同7月ごろには別の加害生徒が被害生徒を手でたたくなどしていた事実が確認された。
こうした暴行について、追加報告書では「生徒同士の悪ふざけやちょっかい」「加害生徒や関係生徒の話では、じゃれ合っていたという感覚で行っていた行為」と評価していた。
被害生徒は聞き取りに対し、「着替えているときに後ろから突然やられた」「5分から10分ぐらいたたき続けられた」「強さは背中にミミズ腫れができるくらい」と話した。被害生徒の父親が背中にミミズ腫れができていたのを確認したといい、母親は「それほど強くたたかれたのに、悪ふざけやちょっかいと軽く評価しているのは感覚を疑うし、納得できない。事実を矮小化していると言わざるを得ない」と憤る。
弁護士や臨床心理士など外部委員を含めた県の調査委員が6年3月にまとめた最終報告書によると、被害生徒へのいじめは1年時から始まり、2年時の5年9月に発覚した。同月、いじめ防止対策推進法の「重大事態」に認定されたが、その後もいじめが続いていたことが分かっている。
一方、最終報告書では、言動によるいじめを認定していたが、ベルトでたたくなどの暴行は把握しておらず、記載がなかった。(野瀬吉信)
滋賀・石部高野球部でいじめ、「重大事態」認定後も継続 最終報告書まとまる