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「食べ物がない」ことの表象について +α

ペンギンです。

オモコロブロスで記事が出ました。何卒!!

出演させていただいた『青春!オモコロ学園』のDVDも発売されたそうです。何卒!!


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スーパーマーケットのBGMで『鬼のパンツ』が流れていました。

「鬼のパンツは良いパンツ 強いぞ 強いぞ」
「履こう 履こう 鬼のパンツ」
ってやつです。

節分の時期だったらギリわかるけど、なんでもない日の昼下がりに流れる謎チョイスBGM。

そういえば『鬼のパンツ』の歌詞って、だいぶ意味が分からない。
「鬼のパンツ」とかいう、おそらく鬼たちが履いているパンツ(パンツて)に関する音楽。
「履こう」が結論なので、鬼のパンツを履かせたいという、啓発、もしくは広告宣伝の音楽。CMソング。広告主が一般企業だったら広告宣伝であり、ACジャパンだったら啓発。

5年履いても、10年履いても、破れないことが「売り」。
パンツの宣伝(もしくは啓発)として「耐久性」を推すのは、鬼には刺さるかもしれないがヒトにはあまり刺さっていない気がする。

鬼は、『桃太郎』の絵本を信じるなら、普段からパンツ一丁の姿なのでパンツは肌着兼ボトムスになっているし、ごつごつした岩場に住んでいるし、たぶん野外での活動が多そうだし、桃太郎のように攻め入ってくる者どももいれば、鬼が攻め入った先での闘いもそこそこの頻度であるだろうから、まあ「耐久性」が売りのパンツが刺さるのは分かる。
でもヒトって、そんなにパンツに耐久性を求めていない。確かに長く履いてると破けたりするけど、それでも鬼ほどではないだろう。どちらかというと清潔さ方向の宣伝文句の方が刺さりそうなので、10年履き続けることを前提にした商品設計はむしろ逆効果な気がする。

つまり『鬼のパンツ』の歌は、完全にズレた宣伝文句で一生懸命パンツを売ろうとしている鬼の悲哀の歌なのかもしれない。
もしくはそもそもヒトをターゲットにした歌ではなくて、鬼の世界でメガヒットしたCMソングを、ヒトが面白がって童謡として輸入したのかもしれない。


先ほどスーパーで『鬼のパンツ』が流れていた、と書きましたが、スーパーのBGMなので実際には歌無しのインスト曲でした。
あのメロディは『鬼のパンツ』ではなくて、『フニクリフニクラ』という、イタリアの民謡的な曲です。もとは登山鉄道の宣伝として作られたので、「ケーブルカーで山に登ろう!」的な意味の歌詞らしい。宣伝じゃん。
それが日本では『鬼のパンツ』という替え歌になっているということ。人によってはスパリゾートハワイアンズのCMソングの方を思い出すかも。
僕の中で音楽の引き出しはいくつかあるけど、『鬼のパンツ』と『フニクリフニクラ』は全く別な引き出しにしまっているので、この2つが同じ曲だと気づくと「ハッ!!」となってとても気持ちが良い。

『フニクリフニクラ』といえば、僕が思い出すのは『ミッキーのジャックと豆の木』です。

童話『ジャックと豆の木』を、ミッキー・ドナルド・グーフィーの3人(人じゃないけど面倒くさいから人で良いや)でリメイクした話。
たしか30分くらいだったと思うけど、話が濃厚で刺激的で、子どもの頃は何度も何度も繰り返し観てましたし、今でもいくつかのシーンは鮮明に覚えてます。

ストーリーはそこそこシンプルです。
自然の恵みにあふれた豊かな村が、1人の巨人の侵略によって崩壊し、村人は飢饉状態に。
村人のミッキー・ドナルド・グーフィーは、その日食べるものに困るほどどん底の貧困。
ある日3人は、飼っていた牛を市場に売って食べ物を得るという手段に打って出る。ミッキーが牛を連れて市場に行き、ドナルドとグーフィーは久々のご馳走が待ち遠しくて楽しく歌を歌うが、ミッキーが買って帰ってきたのは食べ物ではなくただの「魔法の豆」。
ドナルドはバチ切れて豆を投げ捨てるが、その晩に豆はグングン伸びて、翌朝には巨人の棲む天空の城まで到達し・・・

という話。

豆が伸び始めてからの展開は、皆がよく知る『ジャックと豆の木』そのもので、そこにディズニーならではのコミカルでワクワクするアクション展開が絡んで、あっという間に進んでいきます。
(赤髪の巨人「ウィリー」のキャラ造形や立ち振る舞いが子ども心に恐ろしくて、そこがかなり記憶にこびりついている)

で、ドナルドとグーフィーがご馳走を待ちながら歌っていたのが『フニクリフニクラ』でした。
このシーンめちゃくちゃ覚えてます。あまりに悲しいシーンなので。

まず、歌が始まる前に徹底的に「食べ物がない」という状況が描かれてます。
3人で1粒の小さい豆だかなんだかをナイフで3等分して食っている状態で、ドナルドがあまりの空腹にキレて皿と机をバリバリ食い始める始末。その時のドナルドの眼がダーツのマトみたいに赤の白の同心円でぐるぐるしてて、怖すぎる。

その後に牛を売ることを思いつくわけですが、牛を売るって1回こっきりの緊急手段なので、刹那的な解決策でしかないんですよね。それは子どもでもわかる。
この貧困って、牛を売って解決するのか・・・?という、違和感というか線香花火のような物哀しさが透けている。

そして『フニクリフニクラ』に合わせて、空の皿、空のコップ、永く使っていないであろう食器類をキレイに並べてドナルドとグーフィーが歌います。
クローシュ(料理をジャーンって出す時用の銀色のフタ)をジャーンって開けたりするけど、もちろん中の皿は空っぽ。
でも、もうすぐご馳走がくる。あれも食べれる。これも食べれる。
さっきまで狂気の渦中にいたドナルドも、ケロッとした顔でゴキゲンに歌ってます。

その歌の最中に、ミッキーが帰ってきます。
なんか音楽に乗るのが若干ヘタクソで不時着気味に「ごちそうは・・・」「魔法の豆だよ!」と、自分が買ってきたブツを見せるミッキー。
ここで音楽がブツッと止まります。

「魔法の豆」。
思い描いていたご馳走とはあまりにも、あまりにも違いすぎる品物に、再び、そしてもっと悲しく激怒するドナルド。
この時のドナルドの怒り方が「豆だと!?」じゃなくて、「魔法だと!?」なんですよね。
豆なんかじゃお腹いっぱいにならないじゃないか!ワー!!だったらまだ、魔法そのものの是非を論じていないのでそこまでおや?とも思わないんですが、ハッキリ「魔法」の方にキレて否定している。
ファンタジーの世界をこれでもかと描いているディズニーが、極限状態の中で魔法とかいうのを提示されてキレる登場人物を冒頭に出しているのって、今思えばそこそこ示唆的なシーンな気もしてきますね。

こういうシーンの記憶が張り付いているので、思い返すほどより一層厚みが増す『フニクリフニクラ』です。

『ミッキーのジャックと豆の木』は、どのシーンも非常に味のする傑作だと思います。
ぜひ皆さんも観てみてください。


===

まだ書きます。
『ミッキーのジャックと豆の木』で僕が一番覚えてるシーン。

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