ブルーアーカイブRTA 称号「崇高」獲得まで 作:ノートン68
久しぶりの一人称視点。
しかも特殊な書き方を試みました、見にくいかも()
おまけ話、セイアメインでお送りします。
〜トリニティ学園内・取調室〜
ここが取調室か。
もっと閉鎖的な物だと思ってたけど窓があるんだね。
いや、牢獄じゃないから当たり前か。
石造りだからか冷んやりしてるし、避暑には此処に来ようかな。
けどやっぱり威圧的なものは感じるね、犯罪者になった気分だよ。
机と照明と硬い椅子だけっていうのはどうなんだい?
こっちは病み上がりだって言うのに……。
いやいや、気分を害したわけじゃないよ。
ただ、よほど早く判決して欲しい生徒が居るんだなと思っただけさ。
愚かな考えを持つ者も居るもんだね。
……コッチの話しだよ、気にしないでくれ。
ミカも多くの敵を作ったもんだ、世話のかかる親友だよ。
早く本題に入れって?
まぁ待ちたまえ、私がおしゃべりな性格なのは知ってるだろう?
大目に見てくれよ、しっかり役目は果たすからさ。
ところでカツ丼は出ないのかい?
なんでって、ドラマとかじゃお約束なんだろう?
用意してない……そう、所詮フィクションの産物という事か。
じゃあ、少し残念だけど始めようか。
アリウス分校のテロ、その時ミカが何を成したのかをね。
当時、私達はカタコンベから直近で学園へ繋ぐ通路を守っていた。
本当は正義実現委員会を置きたかったけど、人手が中々足りなくてね。
防衛する重要度も高い、故に伴う責任も大きいからティーパーティーに白羽の矢がたったのさ。
戦局だが、初めは私達が押していたよ。
数こそ多かったけど、ミカの強さは知ってるだろう?
彼女、ゴリラみたいな力ばかり注目されがちだけど、耐久力も異常だからね。
長期戦は望むところだった。
例え逃げて態勢を整えようとしても、ナギサ達の榴弾が逃がさない。
正に万全の布陣だったよ。
ナギサは紅茶を飲んでるだけだろうって?
彼女も観測手としての仕事はしてるよ。
……それが必要かはさて置いてね。
組織間のしがらみから今まで協力する事は無かったけど、楽しかったよ。
特にミカが相手の生徒を蹴散らす様は、見てて爽快だったね。
面白かったよ?人が紙屑みたいに吹き飛んでいくんだ。
ほら、最近話題の映画で『シン・ペロロジラ』ってあっただろう?
アレそのものだったよ。
うん?続きを早く言えって?
時間にはまだ猶予があるだろう?後ろも控えてない筈だよ。
全く、仕方ないな……。
そんな訳で、全然余裕の状況だったんだけど。
援軍にやってきた1人が不味かった。
見た目こそ普通のアリウス生徒と変わらず、ちょっと小ぶりな位だった。
ちょうど私とミカの中間くらいかな?
ガスマスクで容姿も不明だったけど、彼女を通してしまえば学園が終わる。
そんな確信があった。予知じゃ無いよ?
自慢じゃないけど私の直感はよく当たるんだ。
まず目を引いたのは強堅な二丁拳銃。
普通のと違って口径が異常に大きかった。
普通の生徒が使うなら手首がイカれるんじゃないだろうか。
次にその佇まい、言うなればオーラだね。
ミカは強気で居たけど、自分より2回りは強いって本能で解ってたんじゃないかな?
だからミカには充分警戒するよう言い含めた。
恐らく近接戦闘になるからナギサ達の援護も望めなかった。
だから油断なんて無かったさ。
ジリジリと距離を詰める彼女が、銃口をあげたと認識したのと同時だった。
ミカの体が撃たれた事に気づいたのは。
衝撃の後に音が響く事なんて本当にあるんだね。
音が鳴るまで全然動けなかった。
ミカも訳が分からない状態で膝をついていたよ。
かく言う私も急にミカが倒れるもんだから、理解するのに時間が掛かった。
けど、数瞬だけ動きが止まったのに追撃は無し。
相手が油断……いや、遊んでなかったら此処で終わってたね。
多分真正面からやるなら、トリニティ内ならツルギ委員長位しか相手にならない。
勝ち負けじゃなくて勝負になるかどうか、その位の強さだったよ。
……やけに詳しいなって?
誓って八百長じゃないよ。
現に私が彼女と
拳銃のサイズは生徒が扱っても怪我をするレベルだった。
そんなもの片手で碌に扱おうとするなら、常識離れした筋力が要ると予想立てただけ。
それに今頃送られてるだろう
続きなんだけど、結論から言おう。
ミカと私は敵の撃退に成功した。
うんうん、その顔が見たかったんだ。
言葉が繋がらないって思ってるだろう?
安心してくれ、ちゃんと説明するからさ。
あのままじゃ敗北は必至だったから、反則を使わせて貰ったのさ。
知ってると思うけど《予知夢》の応用だね。
本当はそんなに使い勝手の良い物じゃないんだが……。
敵との相性が良かったよ、本当に。
相手の動きを文字通り先読みしたんだ。
今の所、選んだ未来を見ることができるのは2秒が限界だけどね。
そんなので本当に対応出来たのかって?
言っただろう?
なんせ相手は1秒間の間に何回も行動するからね。
2秒も読めたら充分だった。
後はミカが動くだけ、二丁拳銃ならARより避け易い。
だから《予知》通り、リロードする隙を逃さずに相手に近づいた。
ミカの拳を食らって立てる生徒はそんなに居ないからね、思いっきり殴ってもらったんだけど──
受け止められてしまったんだ、ミカの拳が。
そこから拳銃じゃなくて拳そのもので対抗してきたんだ。
彼女の膂力もまたミカに匹敵するものだったよ。
近距離のラッシュに助言できるほど、私は《予知》を使いこなせない。
そこからは2人で怪獣映画のような殴り合いさ。
拳が交差する度に振動で震え、衝突する度に周囲の瓦礫が崩れていった。
題名は『キングコングvsイェーガー』とかでどうかな?
著作権的に危ない?よく分からないが……。
そんな極限バトルで、私にも限界は近づいていた。
ここで1度思い出して欲しい。
この時、私はミカにおぶさってる状態だ。
うん、凄い速さで動くもんだから腕が限界だった。
でも離すと次は我が身だから私も必死さ。
気絶しなかったのを褒めて欲しいくらいだ。
幸いな事に殴り合いは拮抗してたけど、長くは続かなかった。
好機を逃さずクリーンヒット、それで終わり。
敵の身柄?逃げられたよ。
こっちも満身創痍だったから追いかける気力は無かったよ。
あくまで防衛戦だしね。
心配しなくても、手傷は負ってるから近いうちに悪さはできないさ。
なんせミカの打撃をモロに喰らったんだから。
普通はその筈なんだけどね……
いや、なんでもないよ。
コレがあの時の全貌だ。
彼女は学園の危機に立ち向かった、減刑には充分じゃないかな?
うん?何故ミカを庇うような事を?
はぁ……、認識に齟齬があるようだね。
そもそも私はミカを訴えてないよ。
私がここに来た理由はひとつさ。
ミカは確かにクーデターを起こした。
償いは必要でも、情状酌量の余地はあるべきだと考える。
誰だって1度くらいは、やり直しを許されたって良い筈ななんだから。
少なくとも私はそれを望んでいる。
茶番は終わりだ、
君達がミカを引きずり下ろして、新しい体系の派閥を組み込もうとしてるのは。
おっと失礼、君に言った訳じゃないよ?
録音を聞くことになるだろう生徒達に向かっての発言さ。
まぁ、何が言いたいかっていうとね……
「喧嘩なら喜んで買うよ?」
「いや、我ながら良い啖呵をきったと思うよ。実際に見せてやりたかったね。」
「知ってますよ、録音データは私も聴いたんですから。」
「実際にって事さ。」
ティーパーティー筆頭、その内の2人。
セイアとナギサは対面する形で座っていた。
セイアの体調は悪くなく、むしろ以前よりも健康そうな程だ。
寝たきりだったとは到底思えない。
世間話もそこそこに、テーブルの上に置かれた黒い物体に目を移す。
それはレンズの着いた小型のドローンだった。
「録画機はどの学園にもない製造元不明のものでした。第三者があそこに介入していた可能性があります、もしくはどこかのスパイか。」
「サンタクロースのプレゼントとかじゃないかい?」
「季節外れもいい所でしょう……ふぅ、思い詰めても仕方ないですね。」
「なんの思惑があれ、私達はそれで有利になったんだから。」
テロを沈めてから1日も経たないうちに、ナギサ宛で映像データが届いていた。
細心の注意を払って中身を確認すると、中身はミカ達の戦闘記録だったのだ。
誰がなんの為に送り付けたかは分からない。
だが映像のお陰で八百長だと非難されることはなかった。
「それにしても彼女達はまだ活動を?」
「えぇ、ミカさんへの中傷を交ぜて懲りずにデモ活動を。」
新しくETOを設立したとは言え、ゲヘナと手を組むべきでは無いと言う派閥も存在する。
派閥はゲヘナ過激派と呼ばれ、日中デモ活動に勤しんでいた。
過激派所属生徒の殆どは元パテル派で、現パテル派は消滅気味。
結局は彼女達が欲したのは自分達の代弁者だったのだ。
だから元リーダーのミカの断罪を皮切りに、ティーパーティーへの参入を企てていたのだろうが……。
「デモ活動は尽く失敗。最低限の対処は要るだろうけど勝手に自滅しそうだね。」
「そもそも、私達がそんな参入方法を許可する筈ないという発想に至らない時点で……。」
クーデターに失敗したミカが、これ以上エデン条約の邪魔をしないと知り決断したのだろう。
戦闘の得意でない者、ゲヘナと手を組むことに消極的な者の集まった状況は過激派にとって好機。
正義実現委員会等の抑止力も居ないとあれば進めない訳がなかった。
だが結果は失敗に終わった、というかあまり話題になっていない。
その頃はもっと別の話題が盛んになっていたからだ。
「トリニティは信仰の自由を!!《機械神教》はカルト宗教じゃない!!」
シスターフッドという目の上のタンコブが居なかったのは彼女達も同じ。
《機械神教》の信徒達もデモ活動をしていた。
毛色の違う活動家が一同の場所で活動を行うことは、足の引っ張り合いにしかならない。
だからお互いが話し合いで場所を譲る必要があったのだが……。
《機械神教》の者たちは断固拒否した。
過激派は運が悪かった。
寄りにもよって扇動者代表があの《安守ミノリ》だったのだ。
圧倒的な活動経験の差が両者間にあった。
代表に言い負かされてオズオズと追い出されてしまい、別のデモ団体に見物客を持っていかれるという珍事が発生したのだ。
デモ活動しようにも相手が居ない過激派はその日、人知れず撤退したそうな。
因みにちゃっかりと信者は増やせたらしい。
気付いてくれ、そいつ
「怪物退治は邪魔されず過激派の炙り出しができて一石二鳥、先生には感謝しきれないね。」
「あの、無茶ぶりされて一番苦労したのは私なんですが?」
「黙りたまえよ、このドM触手愛好家。」
「ブゴフッ!な、なぜあの時の事を!?」
──予知夢で見たからだよ。
正直に出そうとした言葉を一旦引っ込めるセイア。
合理的な彼女は冗談なんて茶目っ気のある行動は取らない。
しかし骨との邂逅が、本来の彼女なら取らない言動を取らせた。
「──ミカから聞いたよ。」
「すみません、席を外します。」
「うわぁ……。」
ロールケーキを担ぎ、ミカの部屋へと向かうのを見送る。
あの般若のような顔のナギサは一生忘れない。
ミカは犠牲となったのだ、アーメンと十字を切るった。
1人だけの空間で暫しの時間が流れる。
小鳥の囀りに耳を傾け、椅子に全体重を掛けて目を閉じた。
完全に寝る気だ。
しかし20分がたったところで瞼を開き首を擡げる。
そしてふと、考え込むんだ。
「……まだ入れない。彼に何かあったのか?」
ホモの精神世界に渡ろうにも昨日から反応がないのだ。
心配は無い、元々生きてるのかさえ不思議な生物だったから。
だから数日後、また訪ねてみよう。
彼との契約はエデン条約以降も継続せねばならない。
「ビデオの事とか確認したかったんだけど、仕方ないね。今ばかりは彼女達と居たいし。」
今だけは3人の時間を楽しむことにしよう。
椅子から立ち、ミカのいる部屋へと足を向ける。
少ししてミカのくぐもった悲鳴が響いた。
……謝罪の言葉は何が良いだろうか。
次回、リオの独白
リオでおまけ話終わりの予定です。