ブルーアーカイブRTA 称号「崇高」獲得まで   作:ノートン68

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お待たせいたしました。

エデンテロ終了後のホモ陣営です。
この段階ではまだホモがどうなったか知りません。



ホモの居ぬ間に

世間はもう夏のくせに、登る太陽が照りつけているのは積雪であった。

 

レッドウィンターの山岳、その中でも強烈な豪雪地帯にて本日は珍しい快晴。

急斜面な山壁がそびえる場所に、自然の風景にはミスマッチな近代的な乗り物が駐車されていた。

 

言わずもがな《デュカリオンの箱舟》だ。

その車体で巧妙に偽装されているが、壁には洞窟が隠されラボが建設されている。

 

 

「フンフンフン♪こっちの調合は順調だね、次は何を試そうか……。」

「ニハハッ、企業勢とは言えセキュリティはザルですね!」

 

 

いま船内には、カイとコユキの2人だけで静かなものだ。

二人の仲は悪くないが良くもなく、1度だけお遊びで手を組んだ事はあるがそれっきり。

 

メタい話、カルマ値で言えば結構相性は良い筈なのだが……。

それが逆に、積極的な関わりを避けてる要因になっているのかもしれない。

 

コユキは端末を弄り(ハッキング)、カイは鼻歌交じりに薬の調合(霊薬作成)

そんな車内の平穏(?)を破るノック音が突如聞こえた。

各自作業を中断し、入口付近に弾を装填しながら向かう。

 

 

「前は酷い目にあったからねぇ。」

 

 

以前仲間だと思って扉を開けたら、クマだった時がある。

あの時はAL-1Sがクマを()()()()()()事なきを得たが、普通に危なかった。

そのため、連絡が無い場合は警戒するようにしている。

 

キヴォトスクマには銃の効き目薄いので、カイ特性の麻酔弾*1を使用しなければならない。

慣れた動きで弾を装填した銃を手に扉に近づく。

しかし、勝手に開いた扉から現れた姿を確認してため息をついた。

 

 

「なんだ君達か、連絡くらいくれたらいいのにねぇ。」

「おかえりなさーい、帰ってきても良かったんです?」

「事態が変わったからな。」

 

 

アリウスへの出張組が帰ってきた。

予定ではまだ帰ってこない筈だが、何かあったのだろうか?

 

帰還組の後ろを覗くもオーナーは居ない。

なんとなしに、コユキは質問した。

 

 

「オーナーはどうしたんです?また外回りですか?」

「そっちには連絡が来てないのか?そうか……。」

 

 

表情が暗く言い淀んでるリーダー達に固唾を呑む。

最悪の予想が頭を過ぎるが、すぐに追い出す。

オーナーが死ぬ訳ない。

というか、死ぬところを想像できない。

 

 

「重大報告、オーナーとの連絡が途絶えました、行方不明です。作戦会議のため、こうして集まった次第です。」

 

「ニハッ………。」

は?

 

 

バキリッとなにかの折れる音がした、目を移すと机の端がもげていた。

初めて見る能面のように感情が抜け落ちたカイ。

そして処理が追いつかず、エラー落ちするコユキ。

刹那の空白を経て思考が回復したカイは、あくまでもゆっくりと問いかける。

 

 

「詳しく、説明してくれるよねぇ?今、()は冷静さを欠こうとしている。」

「おい、備品を壊すなよ。オーナーから空メールを受け取ってないのか?」

「私の方には来てないねぇ。」

「──ハッ!じゃあ今すぐ助けに行かないと!!」

「ダメだ、作戦遂行を優先する。」

 

 

ハプニング(ガバ)なのか、カイ達の方には送信されなかったようだ。

コユキ達も空メール受信の意味は知っている。

だがコユキ達居残り組の判断はチームⅤとは真逆であった。

 

 

「私はこの作戦には1枚も噛んでないんですよ?それまで指くわえて待てって言うんですか!?」

「そうだそうだ〜、君ってそんなに薄情だっけぇ?」

「お前ッ、私がどんな気持ちで帰ってきたと思っている!!」

「まぁまぁリーダー、落ち着くっすよ。」

 

 

詰め寄ろうとしたリーダーをメンバー1が抑える。

受信組と未受信組で意見は完全に割れていた。

 

ホモ陣営の弱点がコレだ。

今までの最終決定権が全てホモだった為、不在時の組織の不安定さが目立ってしまう。

 

ホモの不在時に決定権を持つ人物を、指定しなかったのが悪かった。

急なハプニングで仕方なかったとは言え、このままでは最悪空中分解するだろう。

冷静に深呼吸しリーダーは呼吸を整える。

 

 

「済まない、冷静さを欠いていた。だがやはり私は作戦を遂行するべきだと思う。」

「いやいや、最低限どこに居るかくらい調べるべきですって!!」

「……オーナーの命令が最優先だ。」

「この石頭!そんな事だからオーナーに『彼女が1番心配』なんて言われるんですよッ!!」

ぐはぁッ!!?

 

 

議論はどんどん苛烈になっていく、このままでは終わりそうにない。

どうするべきか、比較的冷静なメンバー1と3が思案する。

 

彼女達もまた悩んでいた。

欲を言えば自分達も助けに行きたいが、それはオーナーへの不信ではないか?

オーナーが生きてると信じ、作戦を遂行するのが忠誠というものでは無いか?と。

 

 

──暫くして、今まで沈黙を貫いていたメンバー2が動いた。

 

 

「あ、あの!」

「「何ですか()!?」」

 

 

メンバー2には忠誠が分からぬ。

ホモに対して恩義は感じているが、他のメンバー程に重くない。

そんな彼女だからこそ出た言葉だった。

 

 

「お腹空いたので、ご飯にしませんか?」

 

 

その瞬間、ヒートアップしていた空気が冷えきった気がした。

場違いにも程があるが、逆にそれがリーダー達の頭を冷やさせる要因となった。

 

 

「なんだか言い争いが馬鹿馬鹿しくなってきたな。」

「そうですね……メンバー2さんの言う通り、ご飯にしましょう。」

「質問、誰が作るんですか?」

「じゃあ私が作ろうかな、昨日の残りもあるしねぇ。」

 

 


 

 

気分転換に少し早めの夕食とした一行。

カイの料理の腕は高く、机には様々な種類の逸品が並べられている。

山海経らしく中華料理だ、アリウスに在中した時はレーション三昧だったので正直ありがたい。

 

料理に手を付け始めた頃には、互いに苛立ちが消えていた。

いや、コユキはぶーたれている。

 

 

「もう中華料理は嫌なんですけど!!」

「贅沢言ってまぁ、バリエーションは豊富にしたじゃないか?」

「味は良かったですよ味は。でも───全部辛いんですよ!!」

「お子ちゃま舌だねぇ、味覚が変わる薬でも打つかい?」

「断固拒否します!!」

 

 

カイは辛党なのだ、それも相当な。

誰でも食べれるように控えめにしてるらしいが、完食したのはオーナーとメンバー2だけ。

子供舌のコユキには少々キツイだろう。

 

純粋な料理の腕はオーナーに次ぐだけに、コユキは強く言い返せない。

コユキが作れるのはインスタント麺程度なのだから。

そこにリーダーが助け舟を出す。

 

 

「そうだな、明日は私達も1日休みだし朝からローテーションにするか。」

「あー、いやその……他に誰か作れます?」

「おい?」

 

リーダー:料理適性が皆無につき候補から除外

 

 

「立候補、当機はパンケーキが作れます!!」

「あぁー、でも3食パンケーキはちょっとキツいと言いますか……。」

 

AL-1S:パンケーキだけは達人の域。それ以外は炭。

 

 

「いやー、すんません。軽い物しか作れないっす。」

「間食ならアリなんですけどね……。」

 

メンバー1:映画のツマミしか作れない。ポップコーンとか。

 

 

「……メンバー3さんはどうです?」

「え、あれっ?私、戦力外ですか?」

 

メンバー2:食べる専門、なんでも食べる。

 

 

「和食なら作れますよ、オーナーにご教授いただきました。」

「本当ですか!?久々に薄味の料理が食べれますよ!!」

 

メンバー3:ちゃんとした和食が作れる。

 

 

「もう、最初の時はあんなに美味しいって言ってたのにねぇ?」

「だったら変なもの混入しないでくださいよ!!」

 

カイ:中華料理全般。美味いが辛いし偶に何か入ってる。

 

 

結局は夜:カイ、朝:AL-1S、昼:メンバー1、夜:メンバー3のローテーションとなった。

久々のまともな食事に全員が集中する最中、リーダーが本題を切り出した。

無論、オーナーへの対処についてだ。エビチリを口へ運びつつ会話をする。

 

 

「正直なところ、待機組が捜索する分には問題ないと思っている。」

「そーですよ、私達の仕事は後からでも間に合うんですから!!」

「うむ、だがなぁ……。作戦の仕込みが完全かの判断が付かない以上、詰めは欲しい。」

 

 

ベアトリーチェの最も厄介な点は、その躊躇の無さだろう。

常人なら無意識にブレーキを踏むような判断だろうが、彼女ならアクセル全開だ。

他を犠牲にしてでも最短距離でゴールまで走りきる。

 

現に彼女はアリウスの戦力の多くを犠牲に、ユスティナ聖徒会という力を手に入れた。

犠牲を厭わず邁進する彼女は走者よりも走者向きだろう。

無駄なく、最短時間で、結果だけが全てだと。

──それ以外は等しく虚しいものだと。

 

巻き込まれには注意しなくてはならない。

殆ど命令権がオーナーに移行してるチームⅤでさえ、マダムは使い潰すだろう。

そして同時にソレこそが、彼女の弱点となる事も知っている。

 

 

「どの道マダムとは何時かぶつかる予定だからな、捜索するなら早く終わらせたい。」

「相手は腐っても同じ大人だよ。用心するに越さないよねぇ。」

「確認、当機達が今件に片をつけてからの捜索で間違いないですか?」

「……異論は無いな?なら予定を早めて決着をつけるぞ。」

「早めるって、どうやってですか?」

「彼女たちをここで使う。」

 

 

宣言に各々が大きくリアクションする。

メンバー達は驚きで目を見開き、コユキとカイは愉快そうに、AL-1Sだけは相変わらず無表情で。

()()()を使うということはつまり、完全にベアトリーチェと決別するという事だ。

 

 

「思い切った事するっすね。まだ動いてくれるかも分からないのに。」

「だがそれ以外にマダムの虚は付けないだろう。オーナーが残してる2人も温存したいし。」

「彼女たちは手を貸してくれると思うかい?」

「分からない……が、私は信じている。彼女たちもまた我々と同じ気持ちだと。」

「同郷故の勘みたいなもんすよね。」

「それにオーナーには悪いが、彼女に引導を渡すのは私達であるべきだと思っていたからな。」

 

 

初めて少女は自分の為に行動する。

それだけアリウスという呪縛は深く強かった。

 

だから全てぶち壊してしまおう。

思想も、しがらみも、絶望も、虚しさも。

他でもない自分たちでケリをつける。

 

リーダーは声高々に宣言した。

 

 

「作戦に変更は無く、目標は『ベアトリーチェの研究成果』と『アリウスの戦力』だ。各自英気を養った後、作戦を開始するぞ!!」

 

 

*1
副作用無し!





順番がややこしいかもしれませんが、次回はAL-1Svsミカを書く予定です。
ミカの処遇とかは時間があればって感じです。

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