ブルーアーカイブRTA 称号「崇高」獲得まで 作:ノートン68
お待たせいたしました。
小説パートで各陣営の状況をまとめました。
やっと、やっとエデン3章を終えれる……。
先生とマエストロの衝突後。
アリウス自治区にあるバシリカで、《儀式》の準備を終えたベアトリーチェは佇む。
今回の主目的である《ユスティナ聖徒会》の顕現&統制を完了し、作戦は成功と言えるだろう。
アリウスの兵士が何班か捕まってしまったが問題は無い。
アレらは使い捨てに過ぎない、唯一目をかけていたスクワッドの役割ももう直終わる。
後は秤アツコを回収して儀式を始めるだけ。
なのだが、ベアトリーチェは思案にふけていた。
「これは、どう言う事でしょうか?」
把握していたホモの居場所が途絶えた。
ホモが何か企んでいる事に気付いていたベアトリーチェは、彼にGPSの所持を義務付けた。
不審に思った彼女はホモに連絡を入れたが、繋がらないのである。
「反応が最初に途絶えたのは、古聖堂からそう遠くない位置ですか……。」
純粋な心配では無い。
徹頭徹尾、彼女はホモを最大限に警戒していた。
彼が何の考えもなしにGPSを取るとは思えない。
そこまで愚かな奴なら、これ迄がいかに楽だったか。
「一瞬反応が消えたかと思えば、長距離を移動。そして再度、信号が消失……。」
考えられることは2つ。
1つはバックレ。
これは無いだろうとベアトリーチェは思う。
契約でAL-1SとチームⅤの指揮権を持っているのは、ベアトリーチェだ。
自分の最大戦力を預けたまま雲隠れなんてする筈がない。
他に新しい戦力を見つけたとしても、チームⅤの権利を取引材料とした意味が無くなる。
そしてゲマトリアの秘技を知るホモを、他の連中が見逃す筈がない。勿論、ベアトリーチェだってそうだ。
抜ける者は
頭にチラッと映りこんだマンチ野郎を思考から取り除く。
「となると、何かしらのトラブルに巻き込まれたということでしょうね。」
予想できるのは誰かに奇襲を受け、逃亡した拍子にGPSが破損した等だろうか。
何に巻き込まれたかは知らないが、コレはベアトリーチェにとって好機だ。
ホモが居ない今、現場監督権限はベアトリーチェへ完全に移行する。
つまりチームⅤは言わずもがな、AL-1Sを実質契約期間中こき使えるのだ。
「彼女達の意思にもよりますが……、どうとでもなるでしょう。」
そうと来れば善は急げだ、アリウス自治区に残ってる兵力全員に告げる。
ホモが戻ってこないとは考えない、奴は必ず戻ってくる。
なんだかんだ、ベアトリーチェはホモの実力を高く評価していた。
「全生徒に告げます、AL-1SとチームⅤの回収を。なるべく丁重に、速やかになさい。多少傷をつけても問題ありません。」
「そしてスクワッドから秤アツコの回収を。生贄以外はどうなっても構いません。」
「そして──ホモを見つけたら拘束しなさい。傷を負わせてはいけませんよ?」
あくまでも冷静に、冷徹に。
目標の為に堂々と生徒を使い潰すと宣言した。
全ては崇高へ至るため。
「キヴォトスは私が
場所は移り変わり、古聖堂前。
たった今、2体の怪物が地に倒れこんだところであった。
先生達の勝利である。
その様子を記録していたAL-1Sは、そそくさと撤退準備に入っていた。
「記録完了、合流地点へ向かいます。」
録っていたのは両者の戦闘データ。
特に大人のカードを使用しない先生のデータは貴重なものだ。
黒服辺りなら欲しがるんじゃないだろうか。
AL-1Sは軽々と身を翻し、天井から素早く駆け下りる。
少しすれば視界の端に休憩するチームⅤの姿が見えた。
「発見、当機はチームⅤと合流します。」
「あ、Al-1Sちゃんお疲れっすー。」
「はふぅ、疲れましたぁ……。」
便利屋と戦闘になったチームⅤは、そこそこボロボロの状態だった。
反面、ティーパーティーの上層部と戦闘した彼女の体には、見逃すような擦り傷しか残っていない。
《黒き神》の騒動後、1番腕を上げたのは彼女だ。
付け焼き刃になるという理由で《瞬》などの技術を伝えなかったのだが、AL-1Sに関しては別と言えた。
後にオーナーはこう語った。
「ドンドン吸収するのが面白くて教え過ぎた、反省はしてる。」
あの時、リーダーの祝福と嫉妬の入り交じった顔は二度と忘れないだろう。
彼女は生徒という枠組みを逸脱する1歩手前に到達したのだ。
(それで彼女の扱いが変わった訳でも無いが。)
少し話したあとリーダーがキョロキョロと辺りを見渡す。
いつもより落ち着きのないリーダーが、全員に疑問を投げかけた。
「ところで──オーナーはまだか?」
「そうですね、いつもなら真っ先に来ててもおかしくは無いのですが……。」
本来ならばここで合流し情報交換をする予定だったのだが、一向にオーナーが来る気配は無い。
さすがに心配が勝って探し出そうと誰かが言いかけた時、全員の端末にオーナーからのメールが届く。
そのメールは白紙であった。
題名も内容も何も書かれていない白紙のメール。
オーナーの送り間違いだろうか?
だがここで全員の表情が険しくなった。
そのメールを送られた時の意味を知っているからだ。
何かしらの要因で作戦を続行できない場合などの、文字を打つ暇もない非常事態に使用する空メール。
つまり、オーナーの身に何かあったという証左にほかならない。
「リーダー!?」
「分かっている!前のような不覚は取らない。」
前回オーナーが《黒き神》に斬られた時と変わり、全員が冷静だった。
(若干1名歯軋りしてて怪しかったが。)
空メールにはもう1つの意味がある。
作戦続行という意味が。
「我々はオーナーの望み通りに動く。彼がそう望むならそうあるだけだ。」
当然心配はある。
今すぐにでもオーナーを探しに行きたい。
だが彼はそれを望んでいない。
彼が望むように、望み通りの成果を出す事こそチームⅤの望みだ。
慈善活動をしろと言われれば勿論する。
誰かを殺せと言われたら*2殺してみせる。
死んでくれと言われたらすぐに自決して見せよう。
兎に角、チームⅤの忠誠心は天元突破していた。
AL-1Sも同じだろう。
だが、それとは別に思案する。
オーナーが遅れを取ると思わないが、1番彼にちょっかいを出してそうな存在は……。
思い至るのは身近な大人だ。
「許さん、許さんぞベアトリーチェ……!!」
勘違いが起こるのも無理はない。
別世界線のホルスが八つ当たりして来たなどと、誰が予想を立てれようか。
実際に彼女は何の関係もないのだが、コレも日頃の行いの報いなのだろう。
「オーナーは無事だ、我々は作戦を成功させるだけ。」
「……そうっすね。あの忍者も着いてますし、ひょっこり顔を出すかもしれないっすから。」
いちいち言葉に出して、説得するように言ってる時点でその心中は察せる。
「じゃ、じゃあ後は作戦通りに──あれ?誰ですかあの人達……?」
「ダメ押しの追加戦力って訳ではないらしい。」
空気を読まない足跡が会話を断絶した。
辺りを見渡せば作戦に参加していなかった、アリウス生徒達が包囲していた。
「大人しく着いて来い、出来れば手荒な真似はしたくない。」
戦闘の後で消耗してるだろうと高を括っていたのだろう。
ニヤニヤと愉悦がマスク越しに漏れている……が、その表情はすぐ青ざめる事となる。
たった今、ベアトリーチェが元凶だと推定したばかりなのだ。
しかも表面上は平静だが、オーナーの安否が分からない不安や葛藤が渦巻いてる最中。
そんな彼女達のモヤモヤを晴らす為の発散先が、ノコノコと自ら顔を出しに来たとすればそれはもう……。
「作戦は続行する───が、八つ当たりしても文句は言われないよな?」
「同意、当機は気分がすこぶる悪いです。ので、手加減しません。」
AL-1Sの拳銃が火を吹く。
今から本当の蹂躙が始まる。
人の気配1つ無いとある場所にて、ワープ穴が顕現する。
中から出てきたのは、埃まみれになったホシノ(テラー)だ。
廃墟の崩落に巻き込まれた彼女だが、SGの乱射により生き埋めを回避した。
《ワープ》を使わずに脱出したのだ、ネメシス達は埋もれてる可能性が高い。
あのレベルの崩落なら、普通に死んでてもおかしく無い。
「疲れた……。」
そう呟き、大の大人が1人入れそうな箱に撓垂れ掛かる。
ネメシスはまだ生きている、そう彼女は確信していた。
あの男が退路を用意せずに自爆技を使うわけがない。
「舞い上がっていた、好機に浮き足立ってまんまと逃げられた。」
終始、展開はネメシスの予想通りに動いていた。
なんという体たらく、良いように手のひらで転がされすぎだ。
視線を箱に移す。
「契約は更新されず……か。」
ホシノは嚮導者として動くのを条件に、色彩と契約を結んでいた。
他世界線のキヴォトスへ移り、神秘を反転させること。
そして
これらを成すことで彼女は対価を得る契約をした。
「分かってるよ、お前が私の世界の奴とは全くの別人だなんて。」
ホシノ(テラー)とて冷静になれば、彼が自分の世界の奴とは別人だと気づく。
それでも歯止めが効かなくなるのは、色彩とネメシスによる二重の精神汚染によるものだ。
また恐怖化による精神性の乖離も多少影響があるだろう。
今の彼女は、学生と神の精神が混ざりあったキメラのようなものだ。
ホシノ(テラー)は生きる気力を復讐と懺悔に当てていた。
今でも夢に見る、全てがあっという間に失われたあの日を。
原型が分からなくなる程に焼き焦げた、虫の息の先生を。
遺体すら残らなかった後輩たちを。
奴の骨を砕く感触を。
自身のヘイローが砕ける感覚を。
そして何よりもユメ先輩に責められる夢が堪えていた。
「うッ───おぇ……。」
思い出す度に吐き気を嚥下する。
自分のしてる事が、別世界への八つ当たりだなんて分かっている。
先輩も後輩も戻ってくる訳じゃない。
苦しくも楽しかったあの生活がまた送れる訳じゃない。
「しんどい、苦しい、虚しい、悲しい……偶に何のために頑張ってるか分からなくなるよね。」
誰かに話しかけるようにホシノは独りごちる。
あれだけ奔走したカイザーの借金返済も結局は無駄に終わった訳で。
思い出すだけで鬱屈とした感情が募っていく。
そんな沈んだ心を、いつも
嗚呼、今日も声が聞こえる。
【しっかりしてよ先輩!】
【まぁまぁセリカちゃん、先輩はちょっと疲れちゃっただけですよ〜】
【ん、ホシノ先輩は頑張ってる】
【まだまだこれからですよ、ホシノ先輩!!】
「うへぇ……ありがとうね皆。」
暁のホルスは、物言わぬ棺を撫でた。
「何とか生き延びたな。」
「無茶しすぎですよ、腕なんて犠牲にしなくても……。」
「でないと死ぬ気だっただろう?」
「……。」
「そら、却下だ。」
各人の予想通りホモ達は生きていた。
いい感じに積み重なった瓦礫が計算通りに空洞を生成していた。
が、ここで
バカスカとホシノが撃ちまくったせいで計算が狂い、空洞内に閉じ込められてしまった。
想像以上に彼女の火力が高すぎた。
一応、ミチルの土遁で脱出は可能だが時間がかかる。
酸素に限りがある為急ぎたい。
「運が悪いとしか言えないな、君を連れていなければ詰んでいたぞ。」
「主殿と一緒ならいっそ、ここで死んでも良いかもしれませんね。」
「縁起でもない事を言うな、まだ私に死ぬ気はないぞ。」
「……冗談、ちょっとした愚痴ですから。」
手際よく瓦礫をどかしていくミチル。
そんな彼女を後目に、圏外となった携帯端末をみる。
爆発と同時に空のメールが送信されていることを確認する。
リーダーが暴走しないか心配だが、彼女は1人じゃない。
それにすぐに戻る訳にはいかない。
彼女……ホシノ(テラー)が自分を狙う理由が不明だ。
合流した後に襲撃されるリスクが高すぎる。
分かったのは彼女は別世界線のホシノで、嚮導者になってる可能性が高いという事。
《ワープ》がATRAHASISの箱舟由来なら間違いない。
それにベアトリーチェを放置するのも不味い。
彼女の手腕はホモも認めている。
カイやコユキを残しているから問題は無いと思うが……。
今後の動きをどうするべきか、計画立てていると音が聞こえた。
さっき迄とは明らかに異なる機械的な音だ。
ゴゴゴッと上の物をどかすような大音量が流れる。
「何だ?重機でも持ってきたのか?」
「彼女が何かしに来た……にしては違和感がありますが。」
そもそもホシノ(テラー)なら瓦礫を退かす真似なんてせず、瓦礫ごとホモ達を撃ち抜けばいい。
そんな疑問を抱きつつも、ホモを背に音の鳴る方へミチルは体を寄せる。
体感では長い時間が過ぎた頃に、眩しい光が2人を照らしだす。
見えた光景は白塗りの重機達が、瓦礫の撤去作業をしている様であった。
「新手?」
「いや、これは……。」
それらに見覚えのあるホモはすぐに気がついた。
近くに止められた重機をよく観察すると、《AMAS》と書かれている。
自分達に近付いて来たドローンから、聞き馴染みのある音声が流れた。
冷静を装っているが半音上がったその声を聞くのは、実に2ヶ月ぶりだろうか。
『何が起こったのかと見に来てみれば、久しぶりね。』
「……どうやら今日は珍しく運が良いようだ。」
次回は幕間からです。
追加分は3話程度。
その後、4章RTAパートに戻る予定です。