ブルーアーカイブRTA 称号「崇高」獲得まで   作:ノートン68

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お待たせいたしました。

急遽小説パートに変更です。
何?タイトル?……さぁ?



ホモ、死す

 

古聖堂から少し離れた廃墟、高層廃ビルの屋上にて。

予想外の乱入者に、ホモは珍しく思考を白く染めていた。

 

この場に居るはずの無い人間、ホモの扱うワープと類似する技術を用いた転移、そして感じる濃い()()()()()

一瞬で処理をするには多く、大きい情報を叩きつけた上での奇襲は功を奏し、ホシノ(テラー)の放った弾丸はホモ達をまとめて貫いた。

 

 

「…………。」

 

 

破けた水袋が落ちるような音と共に、穴だらけの肉塊が地を転がる。

明らかに常識を逸脱した威力で、弾丸は背後の鉄筋コンクリートまで貫通していた。

 

本来のホシノなら決して取らない手段。

()()()()()の生徒ごとホモを殺した訳だが、それに対してホシノ(テラー)の心は動かない。

 

 

──呆気ない。

 

 

自分をドン底に突き落とした男の末路にしては味気ない。*1

彼女の内心にはそんな空虚さが残存するだけ。

殺人への忌避感なぞ、()()()()()()()()から消え去っていた。

 

 

「死体蹴りしたって、骨の体じゃあ何の慰めにm──」

 

 

そう吐き捨てるように言い放ち、死体に目を移してやっと認識できた。

転がっているのは肉塊では無く、血糊を撒き散らした偽物(デコイ)であると。

 

気づいた時にはもう遅い。

潜み、騙くらかし、任務を遂行するのが忍者の本懐。

スキルで言えば『偽身』と『瞬』の複合忍術。

 

その名も【忍法・空蝉】。

 

 

「お命頂戴」

 

 

ミチルの苦無による(うなじ)への強烈な一撃が炸裂した。

死にはしないが、生徒であろうとも確実に意識を刈り取る威力だ。

並の生徒であればコレで終わっていた。

 

それをものともせず、ホシノ(テラー)は反撃の散弾を見舞う。

完璧な手応えに慢心していれば、避ける事は困難な距離だ。

そして放たれた銃弾はミチルを──すり抜けた。

 

 

 

「おかしいな?当たる筈だったのに。」

「どんな攻撃も当たらなければ意味がありません。」

「なら、数撃つだけだよ。それでいつか当たる。」

 

 

連射連射、手際よく再装填してまた連射。

しかし、ミチルは身を翻し躱し続ける。

 

少し痛む項を擦りながら、ホシノ(テラー)は思案する。

確かに足は速いが、AL-1Sやネルに匹敵するかと言えばそうでは無い。

ホシノ(テラー)なら全然狙い撃ちできる速度だ。

 

だがココだと思って引き金を引いた瞬間、既にミチルは居ない。

延々と幻を撃ち抜いている、そんな名状しがたい違和感が狙いを狂わせていた。

 

 

「(渾身の一撃だったんですけどね。)」

 

 

困惑していたのはミチルも同じだ。

攻撃が効かないどころか、使用した苦無は一部が()()していた。

何かしらの超常的な力を扱っているとしか思えない。

これにより迂闊に近づけなくなったミチルは嫌な距離をキープして避けるしか無くなった。

 

ミチルは非凡とは言え、生徒の枠組みに収まる程度の力しか持っていない。

今は特別な歩法で銃撃を掻い潜っているが、スタミナには限界がある。

 

いつまでも逃げ回っている訳には行かない。

思考の末、もう1人の助力が必要だと思い至った。

 

 

「《煙幕玉》!!」

「追い込まれたら煙幕か、芸がないね。」

 

 

煙幕はすぐに広がり、ミチルの姿は確認できなくなる。

だが悠々とミチルの攻撃をホシノ(テラー)は待つ。

ホルスとしての力を存分に振るえる彼女に、生半可な攻撃は効かないからだ。

 

それに彼女の動きにも慣れてきたところだ。

別に殺したい訳では無いが、()()()()()()()()()()()()

 

次現れた時は、容赦なく確実に撃ち抜く。

そう意気込みショットガンを構えるホシノ(?)、そこでようやっと気づいた。

 

肝心のホモは何処だ?

 

 

「まさか逃げて───」

「隙あり。」

「!?」

 

 

いつの間にか、ホモが背後を取っていた。

 

ほぼ完璧に気配を消していたホモ。

生徒(ミチル)にばかり集中して、生気の薄いホモの接近を許したのだ。

まさか銃に無力なホモが近づいてくるとは思いもしないだろう。

 

腐っても元軍人。

油断した生徒1人程度なら、制圧する事なんて容易い。

思い出してしまえばなんてことは無い、生前()()()()()()()()()事なのだから。

 

流れのままにホシノ(テラー)の体勢を崩し、後ろ固めへ移行する。

AL-1Sに実践して効果は織り込み済みだ。

振り解けるかはともかく、生徒だって痛いものは痛い。

 

人体の構造的にしっかり技が掛かれば、そう簡単には解かれない。*2

手本の如く全体重を掛け、地に押し付けて──ホシノ(テラー)から飛び退いた。

 

 

「主殿ッ!?」

「問題ない……が、厄介だなアレは。」

「そうだよね、お前はあの程度で死ぬような奴じゃないよねぇ!!」

 

 

直接体に触れずとも、彼女の着用する衣服にまでホルスの力は波及していた。

幸いな事に、多少触れてもすぐに《消滅》する事は無いらしい。

 

 

「不味いな、彼女を単純な物理攻撃で倒すのは骨が折れるぞ。……骸骨だけに。」

「はい。無効化とまでは行かずとも、効果は半減以下でしょう。」

「おい、スルーか?」

 

 

《消滅》による擬似的なバリア、ホモ達はそう判断した。

どういう訳か、ホシノ(テラー)は己の神としての力を十二分に発揮できるらしい。

 

神秘が反転する程度じゃこんな芸当は不可能だ。

昔取った杵柄で、そう断言できた。

生前の記憶を含めて、彼女ほど神秘を使いこなす生徒は見たことが無い。

 

 

「お前の事は前から覗き見ていたよ。そのザマを見るに肉体的にも精神的にも弱くなってるね?まぁ、その方が契約も遂行しやすくて──」

「(ハイになっている、色彩による狂気の影響か?)」

 

 

ホシノらしくない多弁。

支離滅裂で言葉の半分も理解することは難しい。(弱くなってる?契約?)

 

ただ1つ分かることは、彼女が《色彩の嚮導者》として来た可能性が高いという事。

 

 

「──この手でお前を殺す事をどれほど待ち望んだか、覚悟しろ()()()()!!」

「人違いだろう?*3私の名前はホモだ。」

「嘘をつくな、そんな巫山戯た名前の奴が居るか!!」

「……。」

 

 

ぐうの音も出ない。

 

元々、《人間》である事を忘れない戒めを込めて付けた名なのだ。

自罰的に付けた名前を変と言われても否定は出来なかった。

一時退却と行きたいところだが、難しいというのが本音だ。

なんせ《ワープ》が使えない。

 

 

「ワープ頼りのツケがここできたか。」

「どうされますか?」

「《バレル》は使わない。温存したいというのもあるが、嫌な予感がする。」

 

 

色彩が本当に関わってるのだとすれば、《バレル》の使用は避けたいところ。

そして(少なくともホモの判定では)生徒に向けて使用するようなものじゃない。

 

前の自分なら、自ら愚行を犯すだけだと切り捨てていただろう。

今は違う。

 

 

「目指すものが出来てしまったんだ、生憎と君に殺されてやる事は出来ない。」

「いいや、死ぬんだよ。お前は今日この場で。」

 

 

入念に組んでいた計画(チャート)は、イレギュラーにより破綻した。

いつものことだ、ホモの計画がそのまま完遂した事なんて1度も無い。

 

だが、問題ない。

即興の作戦で窮地を乗り切る事も、いつものことであったから。

 

 

()()()()に向かうぞ、それしか方法はない。」

「承知!!」

 

 

他の仲間との合流という線は消えた。

ホシノ(テラー)相手では共倒れの危険がある。

それに今後自由に動く為に布石を打つ必要もある。

故にホモが選んだのはミチルとの逃走だ。

 

ホモ達は躊躇うことなく、屋上から地上へダイブを敢行した。

当然、ホシノ(テラー)も着いてくる。

 

 

「この距離で逃がすわけないで──しょ!?」

 

 

追いかけようと飛び降りる最中に、首根っこに何かが引っかかる。

一瞬唖然とするが、目の前のホモを見ると黒い穴に手を突っ込んでいる。

 

 

「《ワープ》が使えないと言ったな?アレは嘘だ、小窓なら使える。」

「ネメシs───

 

 

その刹那、横合いからホシノ(テラー)を凄まじい衝撃が襲う。

《消滅》を以ってしても為す術なく、赫い凶光に押し出されホモ達とは別方向へ飛ばされた。

 

ずっと控えていたGL-00のレールガン、【禍討ツ星】の弾丸が直撃したのだ。

 

ミチルはオーナーを地上でキャッチ。

この隙を逃さず全力で、なおかつ他の生徒にバレないルートで駆ける。

少しの猶予ができたからか、ミチルが愚痴を零す。

 

 

「……()()何かやらかしたのですか?」

「馬鹿を言うな彼女とは初対面、の筈だ。」

「にぇ……。」

「何だその目は?」

 

 

「嘘だゾ、絶対なんかやってるゾ」と思ったが、ミチルはできる忍者。

指摘せず生暖かい目で見守るのも忍者の勤めだと。

 

心外だと言わんばかりのホモは、現在進行形でおぶられている。

絵面が終わってる。

空気を元に戻したいホモは話題を変えることにした。

 

 

「……どうやら向こうは相当執念深いらしい。」

「回復が早いですね、威力だけなら一番のはずなんですが。」

逃がさない

 

 

現時点でホモの与えれる最大火力を受け、それでもなお追いかけてくるホシノ(テラー)。

目立った外傷が見当たらない分、本当に効いてないのだろう。

 

現在、優位に立ち回っているホモ達だが、それは薄氷の上に成り立ってる。

言うまでもなく、ホシノ(テラー)の火力が高すぎるからだ。

《消滅》の力を持つ故に攻撃を受ける事は出来ず、散弾故に避ける事も困難。

 

1つでも手段を間違えれば、その瞬間に形勢はひっくり返る。

故に()()()()を目指しているが、ミチルの速さでも半日はかかってしまうだろう。

その為にも優位を1つ確保する必要があった。

 

 

「《ワープ》」

「(また《ワープ》、今度はどこから──下か!!)」

 

 

《ワープ》が展開されたのはホシノ(テラー)の足元。

恐らく片足を突っ込ませて、時間を稼ぐつもりだったのだろう。

同じ手が2度も通用する筈もなく、ホシノ(テラー)はこれを空中へ跳んで回避した。

 

それすら、ホモの読み通り。

ミチルは懐から忍具を取り出し、上空へと放り投げる。

 

 

「《忍具・帳》!!」

「なんだ?布?」

 

 

上空へ投げ出された拳大の物体は、空中で広く薄く展開されていく。

やがて広がりきったそれはドーム状に展開し、ホモ達とホシノ(テラー)を暗闇に覆い尽くした。

 

狙いが読めないホシノは《ワープ》を使って脱出を試みるが──《ワープ》が使えない。

 

それもその筈、たった今展開されたのは電波を一切通さない金属製の布。

元はレーダー対策で作られた忍具だが、この場では《ATRAHASISの箱舟》の電波を妨害するのに一役買っていた。

暗闇の中でホモは独りごちる。

 

 

「私の《ワープ》を阻害、そして君が色彩との関係を持ってる=無名の司祭と繋がりがあると見えた時点で確信したよ。本船を起点にワープしているとな。」

「だったらこんなもの()すぐ壊してやる!!」

「残念だがまだ私のターンだ、《ワープ》発動。」

 

 

今度のワープ穴はデカい、ホモがいつも使う大窓の大きさ。

ホモ達は地面に展開されたワープ穴に姿を消した。

 

明らかに何か企みがあっての行動、だがここでホモを見失う訳にはいかない。

観念したように舌打ちをしてから、ホシノ(テラー)は穴へと飛び込んだ。

 

 


 

 

「ここは……。」

 

 

ホシノ(テラー)の飛び込んだ先は、トリニティのカタコンベではなくミレニアムの廃墟であった。

視点を動かせばホモ達の姿が確認できる。

細心の注意を払い、ホシノ(テラー)はホモ達の追跡を再開した。

 

カタコンベよりも入り組んだ道を進み、やがてホシノ(テラー)はだだっ広い空間へと出る。

中ではホモ達が待ち構えていた。

 

奥に道は無く、自ら追い詰められたのか?

ホシノ(テラー)はネメシスの悪辣さを知っている。

警戒心をMAXにゆっくりとホモ達の方へ歩き始めた。

 

 

「何を企んでるかは知らないけど、もう鬼ごっこは終わり?」

「いつまでも逃げてる訳には行かないからな。」

 

 

そう言うとホモは左手で端末を取り出す。

ホシノ(テラー)が怪訝な顔をするとソレから電子音が鳴る。

 

その直後だった、近場から大きな爆発音が鳴り響いた。

ホモは淡々と説明を続ける。

 

 

「以前、()()()に散々追いかけられた事があってな。コレはその最終手段だ。」

「……そんなもの程度じゃ私は殺せない。」

「確かに爆発による衝撃も熱も、君を倒すのに充分では無いだろう。」

 

 

「だから、()()()()()()()()()()()程度の爆発物を用意した。」

 

 

また付近から爆発音が聞こえる。

このフロアの支柱の1つを破壊したのだ。

 

 

「さっきのはその1部、私が起爆指令を出せばこの付近は直ぐに崩壊する。」

「……道連れって訳?私が《ワープ》を使わなかったらお前も死ぬよ?」

「その通り、出来れば君には《ワープ》でこの場から離脱して欲しい。」

「分かってた、分かってた事だけど──狂ってるよ、お前。」

 

 

ホシノ(テラー)は心の中で歯噛みした。

ホモには《ワープ》以外の脱出経路が無いのか?

どれ程の瓦礫がこの場を埋め尽くすのか?

そもそも付近一帯に爆発物が設置されてるのは本当なのか?

 

そんな疑問をかなぐり捨て、今彼女の胸中を渦巻いてるのは苛立ちだった。

ホモにその気があったかは不明だが、ホシノ(テラー)はコレを挑発と受け取った。

 

散々《ワープ》を使って、好き放題された事もあるのだろう。

既にホシノ(テラー)の頭に撤退の2文字は存在しない。

 

「コイツはここで殺さなければならない」と。

 

ホシノ(テラー)の手が動く。

 

 

「銃に指をかけないでくれ。触れた瞬間、私は躊躇無くコイツを起動する。」

「……銃なんて必要ない。」

「何?」

 

 

牽制するように突き出す左腕、それを誰かに()()()()

ワープ穴から覗いたホシノ(テラー)の手が、ホモの腕をガッシリと掴んでいた。

 

純粋な力で生徒に勝てる筈もなく、《消滅》の力も合わさり細枝のようにホモの腕はへし折られた。

そのまま腕をもぎ取り、端末はホシノ(テラー)の元へ渡ってしまった。

 

一連の追跡の最中、ホシノ(テラー)はホモから技術を盗み取っていた。

してやったりと歪な笑みを浮かべ、取り上げた端末からホモの腕だけをひっ剝がす。

肝心のホモは痛覚が鈍いのか、呻き声すら発さない。

 

 

「この程度の不意打ちに反応出来ないなんて、やっぱりお前、相当弱って──」

 

 

ふと、端末に表示されてる文字を読んで、ホシノ(テラー)の動きが止まった。

そして浮かべていた笑みから一転、今までにない怒りの表情でホモを睨みつけた。

そこには一体何と書かれていたのか───

 

 


 

 

起爆命令解除するには指紋認証し続けてください。

 

 

起爆まで───あと0秒

 

 


 

 

瞬間に轟く爆発音。

このフロアを支える柱を全て破壊され、崩壊が始まる。

 

駆け引きだなんてとんでもない。

ホモは初めから、ここら一帯を吹き飛ばすつもりだったのだ。

 

 

()()()()()、ここまで私の読み通りだ。」

「───お前ェッ!!

「本当に酷なことを依頼されますね、()()()()()見逃せなんて。」

 

 

最初からホモの手のひらの上で転がされていた。

その事実に激昂し、ホモ達に銃を向けるがもう遅い。

間に割り込むかのように、巨大な瓦礫が両者を分断する。

 

 

「巫山戯るな!!かくなる上は……。」

 

 

ここまで来て尚、ホシノ(テラー)に《ワープ》を使うという選択肢は産まれなかった。

《ワープ》を使えばホモが逃げる。

この後に及んで自分の命よりも復讐心を優先するあたり、ホシノ(テラー)も完全に狂っていた。

 

 

「言っただろ、お前は今日死ぬんだって!!」

 

 

ショットガンの銃口を上空へ向ける。

ホシノ(テラー)の周囲に降り注ぐ瓦礫だけを撃ち抜き塵と化す。

 

そうやって撃ち続けて、撃ち続けて……。

瓦礫の雨が止んだのは、その1分後であった。

 

廃墟に設置してある記録媒体では、ここまでしか記録されていない。

ホシノ(テラー)がどうなったのか、ホモは、ミチルは無事なのか。

それを知る者は、居ない。

 

 

確実に到来する現実として、言えることは1つ。

只今をもって、ホモとミチルは行方不明となった。

 

*1
正確には全くの別人だが

*2
ゴリラを除く

*3
そうだけど、そうじゃない





くぅ〜疲れましたwこれにて完結です!

はい、嘘です。
後1話でエデン3章を終えた後、幕間を書いたら4章に進みます。
次回は絶対に小説パートです。


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