ブルーアーカイブRTA 称号「崇高」獲得まで 作:ノートン68
お待たせ致しました。
ハメ鯖が落ちてちょっと遅刻しましたが許して許し亭。
小説パートでお送りいたします。
アズサとサオリの決着後、2人の間を割くように怪物と異形が姿を現した。
怪物の名はヒエロニムスとイノケンティウス。
いずれも聖人の名をモチーフに作られた複製である。
その迫力に周囲の生徒達は一瞬動きを止めた。
そして気づく、スクワッドの姿が消えていると──。
ただ一人、動く双頭の木人形は気にせず前へと出る。
彼に目があるのなら、間違いなくその視線は先生に向けられていた。
無い口で異形──マエストロは語る。
「果たして其方は、私の《崇高》を理解してくれるだろうか?」
【君は……。】
「失礼、昂る感情で礼節を欠いた。私の名はマエストロ、ゲマトリアの中ではそう呼ばれている。」
ホモが関わっていると知った時から予想はしていた。
必ずアリウス側に裏で糸を引いて操っている奴がいると。
そして次に先生の思考に怒りが混じり始める。
アリウスの生活はアズサから聞き及んでいた。
劣悪な環境下で生徒を酷使し、必要以上の憎悪で傀儡とした事を。
【(お前か。)】
元々、アリウスの作戦に疑問を抱いていた。
まるで後のことを考えない戦力の逐次投入に、ゲヘナとトリニティ以外には効果のないユスティナ聖徒会を切り札として使っている事。
恐らく彼女達の頭はアリウスの憎悪に興味が無い。
彼女達が後にどうなっても構わないのだと。
それはまるで消耗品を扱うが如く。
ふつふつと、煮えた感情が吹き出ようとしている。
思わず懐にある大人のカードへ手が伸びるが、1度冷静になり手を止める。
アズサから聞いた名前と彼の名前が一致しない、確かマダムと呼ばれていた筈だ。
決めつけるのは早計だと、あくまで冷静に先生はマエストロに話しかけた。
【君がアリウスの親玉って事?】
「否、私は唯の協力者。そなたの敵でも味方でもない。」
【だったらその物騒なモノを止めて欲しいんだけど?】
「それは無理な相談だ。」
怪物の背にヘイローと思わしき光輪が輝くと同時に、ユスティナ聖徒会がマエストロ側に出現し始めた。
聖徒会が制御を取り戻したのだ、その数は10を優に超える。
「《太古の教義》、解釈には難儀したがその崇高に似て非なる力は絶大。この力を以て、そなたの輝きを試させてもらう。」
「《太古の教義》ですって!?何故その様なものを貴方が……。」
「素養のある者が居るな。やはり、学生と言う枠にハマらない存在が居るのは素晴らしい。」
唯一、言葉に反応したサクラコに感心を覚えるマエストロ。
自身にインスピレーションを与えた
目的と手段が入れ替わってるもの同士だからか、案外この2人の相性は良かったりする。
【知ってるの?】
「遙か古の時代、この地で信仰されてきた教義です。御伽噺の存在とばかり思っていましたがアレは……。」
「せ、先生、アレは、不味い、逃げ、ないと!!」
【大丈夫、私に任せて。】
震えた声でアズサが先生に訴えかける。
他の生徒も同じだ、
原作の不完全なモノとは違う。
完成された神性の怪物は、無意識に生徒を威圧する。
格が、違う。
この場にホモが居れば、あれらが《黒き神》と同列の存在だと理解しただろう。
かつて自分達を壊滅に追い込んだあの存在と。
そんな絶望の最中、先生の目は死んでいない。
力の差が分からないのでは無い、抗えると確信できる要素が既にあるから。
先生には大人のカードがある。
代償を払いさえすれば、あらゆる困難を打破する力が。
今回は一体何回払いになるのやら───
「そうだ先生、持てる力の全てでこの自信作を堪能して欲しい!!」
【いや、大人のカードは
「……何?」
今更代償に怖気付いた訳ではない。
ただ、先生は以前の戦いで初めてリスクをリスクと認識した。
それ以前なら代償なんざ知ったことじゃない、生徒1人救えるなら些細な問題だ!!
と、切り捨てていた。
認識を改めたのは、大人のカードを5回連続で使用した時だ。
ゴリゴリと、急速に自分の大切なナニカが削られる感覚を味わった。
これではダメだ。
未だに自分の命なら幾らでも賭けるつもりの先生だが、今のペースで大人のカードを酷使すれば犬死する未来しか見えない。
それ程までにこの世界には脅威が多いと考えた。
肝心な時に生徒の力になれないのでは本末転倒だ。
だから大人のカードに変わる
先生の肉体はキヴォトスでは脆弱な部類なので、直接戦闘を行うことはできない。
そもそも大人が生徒に直接手を振るうのがナンセンス。
ならばどうするか。
「……舐めているのか?」
【いいや、今さっき大人のカード以上の切り札が用意できたんだよ!!】
大人のカードに頼らない秘策をとる事にした。
秘策と言っても単純な事で、彼はソレに今まで助けられこの場に居る。
ボロボロのソイツらは壁を破壊してその場に現れた。
「イエーイ!!真打ち登場☆」
「コホコホッ……ミカ、気分が上がるのは分かるが、もう少しスマートに参上できないのか?」
「近道を通っただけだよ?」
「壁をぶち抜いて直線で向かうことを近道とは言わないんだよ!!」
「アッハハ☆でもほら、間に合ったじゃんね?」
『あの、喧嘩はそれくらいに……。』
他にもぞろぞろと、補習授業部を後ろに
「先生、正義実現委員会総員揃いました!!」
「暴れていたアリウス生徒は全員鎮圧完了しました。」
「ケヒェヘヘ……さぁ、暴れる時間だァ!」
「うわぁ、殺る気充分っすねツルギ先輩……。」
「よォォくもッ、このマコト様を嵌めてくれたなぁ!!」
「嵌められたと言うべきか、見え見えの罠に自ら飛び込んだと言うべきか迷いますがね。」
「キキキキッ、貴様らが誰に喧嘩を売ったのか徹底的に思い知らせてくれる!!」
「はぁ……。」
「何しに来たんだアイツら。」
「あの変な髪型で多少の溜飲は下がりますがね。」
「集中して。これよりゲヘナ風紀委員会は、トリニティとシャーレの要請により援護する。」
「まさかトリニティと組むことがあるなんて思いもしませんでした。」
ゲヘナ、トリニティ。
両校のトップと下部組織が勢揃いした。
憎悪で底が見えないほどに深まった溝を、先生が間を取り持つ事で協力体制を築いたのだ。
これは正しく先生にしかできない《奥の手》だと言える。
これは応急処置のようなものだ。
和解するには、時間をかけて彼女達自身が溝を埋めていくしかない。
その後も温泉開発部、キラキラ部、放課後スイーツ部、紅茶テイスティング部などが続いていく。
有象無象とは切り捨てきれない数の暴力がそこに居た。
「……コレが私の作品を打開する秘策だと?」
【卑怯だなんて言わないでね、そっちも反則使ってるんだから。】
「ククク……ハハハハハハッ!!」
狂ったように笑うマエストロ。
彼を支配する感情は狂喜、かつてない試みを用意してくれた先生への感謝だった。
「大人のカードの力を間近で見れないのは残念だが、うむ。知性と品格、礼儀と信念、そして培ってきた経験と知恵……そして絆の力。
やはり、そなたなら私の《崇高》を理解してくれるに違いない!!」
まるで指揮者のように空を仰ぎ見る。
それにより祈る者と与える者はフィールドを展開した。
地面には見たことも無い光の印が浮き上がり、
ボコボコとアルコール臭のする湧き水が水柱を立てる。
「せ、先生……。」
「大丈夫、確かに身震いする程に格の違う相手かもしれないけど、弱点の無い奴なんて居ないよ。」
シッテムの箱を起動しアロナと同期を開始する。
これにより両校全員の指揮が可能となった。
脳に負荷はかかるが大人のカードと比べればマシだ。
そしてランタンとグラスのような物が設置されている事に気づく。
ゲヘナ、トリニティの総力戦。
決着はこれより約8分後となる。
突然だが、ここでベアトリーチェの《儀式》について深く掘り下げていこうと思う。
彼女はキヴォトス外の存在と繋がり、自身の存在を上位へ格上げする事を目的に長年準備してきた。
アリウスと言う環境を整え、祭壇を設置。
そして──供物を用意した。
今回の場合は、前生徒会長の血を継ぐ秤アツコが値する。
ならばアツコが手に入らなければ、儀式は無意味なものと化すのか?
そんなことは無い。
ベアトリーチェが行っているのは魔術的儀式だ。
これを行う場合、
秤アツコと言う要素だけでは記号として不足するため、ベアトリーチェはバニタス思想を植え付け、アツコに喋る事を禁止した。
つまり要素……《記号》さえ当てはめれば誰だって供物になり得るのだ。
深く語ると長くなるのでここでは割愛する。
要はう〇こ味のカレーが必要なら、カレー味のう〇こを用意する的なアレだ。
つまりベアトリーチェの狙いは強ち間違いでは無かったのだ。
しかし原作で彼女は儀式に失敗した、正確には不完全だった。
何故なら彼女の性格がカスだったから。
儀式は契約と似て非なるもので、不完全でもある程度の効果は期待できる。
事実、不完全ながらもベアトリーチェは、自分の存在を上に押し上げた。
ここで大事なのは、供物が無くとも祭壇を用意した時点で、
その
ある程度の知能を得たソイツは、自らを追い詰めた天敵を発見し慎重に進めることにした。
行動開始は天敵のガード、護衛が少なくなった時。
そこに自分の持つ最大戦力をぶつける。
そうして1柱の神性がキヴォトスへ降り立つ。
歪んだ復讐心に突き動かされる彼女は、標的の眼前へ姿を現した。
小柄な体型に、薄いピンクの長髪はポニーテールに纏められている。
黄色と青のオッドアイは無機質で感情が読めない。
防弾チョッキを装着し、手にはベレッタの散弾銃と拳銃が握られている。
強い衝撃と高熱を受けたのか、折りたたみ式の盾は若干変形していた。
つまりコレは
捕らえられたアリウス生徒を回収するべく、ホモはミチルにおぶさり屋根を飛んでいた。
今トリニティの勢力はマエストロにかかりっきりだ。
このタイミングであれば回収は余裕だろうと、タカをくくっていたホモだったが───
進行方向の空間に突如《穴》が空く。
ホモが見間違えるはずも無く《ワープ》の転送穴だ。
勿論、ホモは発動していない。
「何?」
「《ワープ》は発動してませんよね?」
誤作動かとバレルを起動させてみるホモ。
だがバレルはうんともすんとも言わない。
故障?いや、これは《ワープ》が封じられている。
「誰だか知らないが、私達に用があるらし、い……。」
無名の司祭関連の技術だと言うことから、奴らの強襲だと予測していたホモ。
その考えは真っ向から否定される事となる。
「やっと見つけた。」
穴から出てきたのは白ローブの不審者ではなく、アビドスの対策委員長だった。
おかしい、ホシノがこの場に居るはずがない。
姿形は完全にホシノだ。
武装もホモの記憶にあるものと大差ない。
だがホモには分かる、アレは自分達の知るホシノでは無いと。
現在彼女はマエストロの作品と戦闘中の筈だし、《ワープ》なんて代物使えない。
何よりもその内から色彩の濃い気配が漂っている。
あまりの予想外に、ホモは思わず口を滑らせた。
「
「………。」
ホシノ(?)は質問に答えず散弾銃を構え、すぐさまに発砲した。
ホシノのEye of Horusの有効射程は20m程だ。
両者の間隔は40m近く離れており、弾が当たるはずもなかった。
だと言うのに、弾丸は一向に減速せずそのまま突き進み──
弾丸は容赦なく2人の体を貫いた。
※実際の散弾銃の射程はもっと長いです。
予約投稿直前に落ちた関係で若干の修正が入るかもしれません。
次回はRTAパート予定です。