20211016 ヨネさんを偲ぶ
2008年にヨネさんが亡くなってから13年が過ぎた。ヨネさんは私たち共通の友人だった。ヨネさんは博識で誠実だったが、シャイな男だった。「障害者」自立センターの高さんや中尾さんの介護を熱心に引きうけていた(当ブログ中の『「障害者」が自立して生きることの意味』参照)。
あるとき、卯辰山の喫茶店で、向かい合ってコーヒーをすすっていると、ヨネさんが突然、「後ろの客がおらの悪口を言っている」と言ったが、そこには誰もいなかった。いろいろ聞くと、銭湯でもよく悪口が聞こえてくるという。そういえば、そのころのヨネさんはよく仕事上のミスでトラブルを起こしていた。
金沢に住むヨネさんの姉に連絡を取り、ヨネさんの変調を伝え、精神科への受診を相談した。そして、当時リベラルな精神科医が院長をしていた石川県立高松病院を受診し、統合失調症の疑いで、入院がきまった。その後、ときどき見舞いに出かけ、他の患者らと一緒に楽しい時間を過ごした。
退院後ヨネさんはふるさとに戻り、高松病院に通院する度に会っていたが、しかし、死は突然訪れた。母親から連絡があり、ヨネさんは体調の不調を感じて、自ら救急車を要請し、そのまま帰らぬ人となったという。
その後、私たちは、ときどきヨネさんが生きた空間に身を置き、近くの国民宿舎で一泊して、下手な俳句を詠み、ヨネさんを偲んできた。
今年は、5首を詠んだ。
能登の秋 暮れゆく空を 鳥の群れ
小牧台 眼下に広がる 牡蠣筏(かきいかだ)
月隠れ 漁り火揺れる 七尾湾
空白み 集魚灯も 消えていく
露天風呂 朝日に染まる わがこころ
2015年4月
潮風に 花散らすまじ やせ桜
切り株に 新たな生命 桜咲く
牡蠣いかだ 春海に描く 点と線
2018年4月
青竹の 揺れる穂先に 満の月
小牧台 あすは開花か 鶯(とり)の鳴く
べた凪の 内浦をゆく 牡蠣の舟
21/10/17





