白人少女2人を「性奴隷」に、南アジア系の男7人に拘禁刑 英グルーミング・ギャング事件
【AFP=時事】子どもにクルーミング(性的手なづけ)をして性加害・搾取を行った「グルーミング・ギャング」スキャンダルをめぐる最新の裁判で、英国の裁判所は1日、10代の白人少女2人を「性奴隷」として扱った罪で、南アジア系の男7人に12~35年の拘禁刑を言い渡した。 【写真】英政府、性的搾取集団「グルーミング・ギャング」被害者数千人に謝罪 加害者の民族・国籍を記録へ 7人はイングランド北西部マンチェスター近郊のロッチデールで、少なくとも2人の白人少女をグルーミングし、2001年から5年間にわたり繰り返しレイプした。 マンチェスターでの4か月に及ぶ裁判で、陪審は6月、被害者2人が法廷で証言した後、7人全員にレイプを含む数十件の罪で有罪評決を言い渡した。 評議では、被害者2人が「汚いアパートの臭いマットレスの上で、一日に何人もの男と」性行為を強要されたと証言した。 ジョナサン・シーリー判事は判決言い渡しの際、「彼女たちは性行為のためにたらい回しにされ、虐待され、屈辱を与えられ、卑しめられたあげく、捨てられた」と述べた。 「グルーミング・ギャング」スキャンダルをめぐっては長年にわたり広範な調査を求める声が上がっていたが、政府は6月、ようやく重い腰を上げ公開調査を命じた。 ルイーズ・ケイシー議員による公式報告書によると、主に南アジア系の男たちが数十年にわたり、主に労働者階級の家庭の白人少女「数千人」を性的虐待した疑いがあることが明らかになっている。 最も重い量刑は、ロッチデールの市場で屋台業を営んでいたモハメド・ザヒド被告(65)の拘禁35年だった。同被告はマンチェスター在住で、3人の子どもがいる。 ザヒド被告は、被害者2人に売り物の下着、金銭、酒、食べ物を与え、その見返りに自分や友人と定期的に性行為をすることを求めた。 ザヒド被告は、レイプ、児童に対するわいせつ行為、売春勧誘・あっせん未遂など20件の罪で有罪判決を受けた。 同じくロッチデールの市場で商売をしていたムシュタク・アハメド被告(67)とカシル・バシル被告(50)は、レイプや児童に対するわいせつ行為などの罪で有罪判決を受け、それぞれ拘禁27年と拘禁29年を言い渡された。2人はいずれもオールダム在住。 バシル被告は公判開始前に行方をくらまし、国外に逃亡したとみられており、欠席裁判で判決が言い渡された。 タクシー運転手のモハメド・シャザド被告(44)、ナヒーム・アクラム被告(49)、ニサール・フセイン被告(41)は、複数のレイプの罪で有罪判決を受け、19~26年の拘禁刑を言い渡された。3人はいずれもロッチデール在住。 同じくロッチデール在住のロヒーズ・カーン被告(39)は、レイプの罪1件で拘禁12年の判決を言い渡された。 事件を担当するリズ・フェル検事は、被害者2人が「長く困難な法的手続きを通して強さと尊厳」を示してくれたとして感謝の意を表した。 「今回の有罪判決を勝ち取るには、正義を実現するという彼女たちの強い意志が不可欠だった」と述べる一方、被告たちには「反省の色がまったくない」と指摘した。 ロッチデールにおける児童性的搾取事件をめぐっては、これまでに32人(今回量刑を言い渡された7人を含む)が有罪判決を受けており、全員合わせて計450年以上の拘禁刑を言い渡されている。 「グルーミング・ギャング」スキャンダルは、トミー・ロビンソン氏をはじめとする英国の極右活動家たちが、多文化主義と移民に反対するスローガンとして掲げてきた。 今年1月には、米実業家のイーロン・マスク氏がX(旧ツイッター)で、国を挙げての調査を求める声にあらがう英政府を激しく非難したことで、国際的な注目を集めた。【翻訳編集】 AFPBB News