ブルーアーカイブRTA 称号「崇高」獲得まで 作:ノートン68
お待たせいたしました。
ちょっと文字数は少ないですが許して許し亭。
これでも巻いてるんです()
ダイジェスト風味でお送りします。
【早朝なのに暑い……。】
補習合宿から3日目。
多少のトラブルはありつつも、順調に全員の学力は上がっていた。
懸念点だったハナコの成績も何故か急激に上昇している。
理由は分からないがあえてテストを真面目に受けなかった節のある彼女。
何か転機があったのだろうか?良い傾向だ。
ともあれ、これでナギサの案件に集中出来る。
ハナコとサクラコは勘づいてるかもしれないが……。
場合によっては補習授業部の退学措置を無くすことが出来る。
それ関係の情報を仕入れる為に、先生は早朝からプールサイドへと足を運んでいた。
合宿初日の大掃除で磨かれたタイルの上を歩く。
思い返せば、初日から大盛り上がりだった。
【大変だったよなぁ、色んな意味で。】
カバンの隙間から牛柄のビキニが見えていたヒフミ。
『覚悟』の決まった水着で、ネタなのかマジなのか反応に困るサクラコ。
制服の下に水着を着るエロスを理解しているハナコ。
水着の下に隠れた線は何処まで続いてるのか?コハル。
そのガスマスクはゴーグル代わりかな?アズサ。
「エ駄死!!」
「誤解です、これはユスティナ聖徒会に伝わる伝統的な水着で──」
「そんな頭の悪そうな水着が伝統な訳ないでしょ!!?」
「頭の悪そうな!?」
「くぅッ、負けました……まさかサクラコさんがここまでの猛者だったとは♡」
「違いますが!!?」
「シュコー、コーホー、こっちのエリアは片付いたぞ。」
「あはは……」
皆が触れ合ってる様子はとても眼福──
ではなく、段々と親睦が深まっている事を実感出来た。
奴らが来るまでは。
プール掃除も終わりを告げる頃、突如として遠くの森の方角から連鎖的に爆発音が響き、驚きで手が止まる。
アズサだけが黙々と戦闘準備に移っていた。
「な、なんの音ですか一体!?」
「仕掛けたブービートラップが発動したんだ。」
「アズサちゃん!?」
「敵襲だ、数は──2、30?とにかく多い。」
「て、敵って一体誰が何のために?」
襲われる謂れなどないヒフミ達は困惑しながらも戦闘準備を行う。
着替える時間がなかったので全員水着姿だ。
愛銃だけを担いで爆発音の中心へと向かう、誰かが間違えて罠に入ったとなると大問題だ。
幸か不幸か、奴らは巻き込まれた生徒ではなかった。
森の茂みから現れたその姿を見た一同は驚愕した。
いや、パンケーキと言うには名状しがたいナニカだ。
冒涜的で狂気的な見た目のソイツらはヒフミ達に気づいたのか一斉に襲いかかってきた。
数は劣勢だが、全員戦える上に先生の指揮が合わさることで序盤は優勢のヒフミ達であったが……。
「一体倒した!けど、凄くヌルヌルする!!」
【うわっ、足が取られ……ギュフッ!?】
「あらあら♡」
「ちょっ──どこ触ってるのよスケべ!!」
「ううッ……全身ベタベタです。」
「成程、こういう戦い方もあるのか。」
パンケーキからは常時粘液が分泌されており、撃破するとソレは辺りに撒き散らされた。
一度浴びようものなら銃は握れず、まともに立てない。
ローション相撲のようで、ギャグみたいな状況の割にそこそこ厄介な性質で戦闘は長引くことになった。
その被害は甚大なものに。
真っ先に立ち向かわんと進んだことで、粘液の餌食になったサクラコ。
彼女はまるで出荷されるマグロのように地面を滑り飛び、一時戦線離脱した。
他にも先生が足を滑らせコハルにダイブし、顔に大きな紅葉を作ったり。
アズサが粘液を利用した移動で尽くのパンケーキの残数を減らしたり。
ヒフミは大事なペロロストラップを汚され、ファウストの片鱗を見せつけたり。
結構無駄な犠牲を出したこの戦いは、最終的にハナコ*1がボディランゲージ(意味浅)を駆使して和解した。
和解後、彼らは親指(?)をグッと立てて森へ帰っていった。
友好の証として残された粘液は冷蔵庫に封印している。
結局、その日戦線はプールまで押し戻され掃除は長引き一日は終わった。
疲労感と気持ちの悪いネトネトで限界に達した先生たちは泥のように寝たのであった。
しみじみと思い出を振り返っていると、プールに人の気配を感じる。
中の様子を探ると、プールサイドに座り燦々と煌めく水面にバタ足する桃毛の待ち人が既に居た。
天真爛漫そうな彼女は、先生の存在を認識すると、笑顔を向けて話しかけてきた。
「あはっ、ここに水が入ってるのなんて久しぶりに見たなぁ。もしかしてこれから泳ぐの?それとも皆でプールパーティ?」
【そういうのはまだ無いかなぁ、試験に合格してからだね。】
トリニティを束ねるティーパーティー代表の内の1人、聖園ミカ。
「ミカを助けてくれ」
夢の話、それも朧気な記憶のそれを無駄なものだと捨てれなかった。
強迫観念じみたソレは、先生の心の奥深くまで浸透していた。*2
少しばかり世間話に興じた後、ミカはいきなり確信に迫る質問を投げかけてきた。
「先生、ナギちゃんから取引とか提案されなかった?」
【取引?】
「うん、例えばトリニティの裏切り者を探して欲しいとか。」
【……。】
「ふぅ、やっぱり。ナギちゃんったら予想通りなんだから。」
無言を肯定と解釈したミカは軽く溜息をつく。
先生の良心を利用してだなんて……と。
認識に齟齬があると感じた先生はナギサに嫌々付き合わされてる訳では無い、ここに居るのは全て自分の意思だと説明した。
【誘いになら乗ったよ、条件付きだけど。】
「……へぇ、意外かも。人畜無害そうに見えたけど、結構余所事に足を突っ込むタイプ?」
その目には感心と猜疑の感情が見えた。
そりゃそうだ、傍から見れば先生の行動は生徒への裏切りだろう。
【ナギサのやり方に思うところがない訳じゃないよ。】
【ただそれでも私は、ナギサの味方にだってなりたかった。】
「ふぅーん優しいんだね、それでいて凄く我儘。……それじゃあ先生は誰の味方?」
【私は生徒の味方だよ。】
予想外の返答に一瞬の空白が生まれる。
次第に意味を理解し、ミカは優しく微笑んだ。
まるで腑に落ちたと言わんばかりに。
「あぁー、そう来たかぁ。……それなら先生は私の味方でもあるって考えてもいいのかな?」
【もちろん、ミカの味方でもあるよ。】
「…わーお。」
その一言は彼女の心に
恥ずかしげもなく真っ直ぐ言い放つものだから、流石のミカも気恥ずかしそうにしている。
あとは純粋な嬉しさだろうか。
「嬉しいけど、それを真に受けるのもちょーっと難しいなぁ。」
「だってそれは
それがエリドゥでの一件で露見した先生の唯一無二の弱点。
生徒同士の争いでは、
だが、今まで葛藤してきた先生は既に答えを持ち得ていた。
【確かに、一般論的な考えで立場を取ることもあると思う。】
【おイタする子にはお灸を据えるよ。……うん、これだけ聞くと軸はブレブレだ。】
「そこまで分かってるならどうして?」
【……それだけじゃダメだって気づいたんだよ。】
リオが今もミレニアムで生活を送れているのは、あの男のお陰だ。
もし先生一人なら罪の重さに耐えきれずに退学していたかもしれない。
それは先生の望む結末では無い。
最後には和解して笑顔で終われるような、そんな都合のいいHAPPY END。
辿り着くために成すべきことはもう学んだ。
【例え悪い子でも、最後まで寄り添ってあげたい。】
【ちゃんとダメなところは叱った上で、仲直りさせてあげたいって、それが私の目指す大人だから。】
その言葉で一瞬、ミカの瞳が揺れる。
表情から感情は読み取れきれない。
あるのは切望、諦観、憂惧などだろうか。
そして心の内から漏れ出すように、ポツリポツリと話し始めた。
「……例えば、だよ?拗れて捻れて仲直りしたくてもできない、そんな揉みくちゃにされたあやとりみたいな面倒な事になっても、助けてくれるって事?」
【うん、それが私の目指す
「────は、あはははっ!」
【ど、どうしたの?】
「ううん、どうしてナギちゃんが先生を選んだのか分かっちゃって!」
ナギサはゲヘナとトリニティの間にある深い溝、先生ならそれを埋めてくれると本気で信じているのだ。
少しだけ、狡いと思ってしまった。
もっと早く先生が来てくれれば、知っていれば……そう願わずにはいられなかった。
「そっか、そうだよね……うん、先生になら話せるかな。」
嫌になる、そんな大人を騙そうとしている自分が。
でも仕方ない。
もう
「教えてあげる先生、裏切り者が誰なのか。」
なぜ、大量のパンちゃんがあんな所に居たんですかね?