ブルーアーカイブRTA 称号「崇高」獲得まで 作:ノートン68
お待たせしました。
今回はケイちゃん曇らせ回となっております。
時間はケイの逃走中にまで遡る。
ネルの助力を受け、トキを突破した彼女はできるだけ離れた場所へと駆けていた。
「(ミドリ達は追いかけて来てくれるのでしょうか……。)」
先程よりも速度を落とし、追いつくAMASを掃討する。
先程よりも幾分か冷静になったケイは思案する。
何故、リオ会長は無名の司祭関連の情報を手にする事が出来たのだろうか。
可能性として挙げられるのは大きく3つ。
1.無名の司祭と面識がある
2.外部組織からの情報提供
3.オーパーツを解析し自力で集めた
1はほぼ可能性が低いと見て良いだろう。
そもそも彼らはとある事情で表側に出てこれない。
2である可能性は大いにある。
古の時代から活動しているゲマトリアが存在するのならば、可能性は更に上昇する。
ミレニアムの技術力を交渉材料として引き合いに出せば、難しい話ではない。
3の可能性は無いと思っていたが、リオの技術力を見るに不可能ではない気もしてきた。
そこから導かれる答えは2つ。
3の場合のみ、リオを説得すればミレニアムに留まる事が出来る。
それ以外の場合、逃亡生活を余儀なくされるだろう。
各企業リーダーが自分を易々と見逃す事はない。
ミレニアム校区であろうとも刺客を送ってくるだろう。
そうなれば、もう彼女達に迷惑はかけることが出来ない。
いや、出来るはずかない。
人気のない廊下をただひたすらに走り続ける。
休日とはいえ、まだ昼時。
あまりの静けさに違和感を覚えた。
「(まるで、予め私の逃走経路を人避けでもしたかのような─────)」
直後、ケイの脳内に強烈なイメージが溢れる。
まるで至近距離から砲弾でもぶち込まれたかのように、頭部が爆散するイメージが。
殺気と言うには過剰すぎる怖気を感じた瞬間、ケイは反射で屈む。
それと同時に頭上を何かが通り過ぎ、反対側の壁に拳程度の大穴が空いた。
体験したケイは気づいた。
奇襲を仕掛けた下手人が
更に攻撃を避けることが出来たのは完全にまぐれだということに。
つまり、強敵だ。
「奇襲失敗、殺気を完璧に隠すのは難しいです。」
「嘘を吐かないでください、隠す気なんて無かったでしょう。」
「肯定、つい癖で。しかし先程の攻撃で気絶させる予定でした。」
下手人の姿はヘルメットを被った二丁拳銃使い。
巷でヘルメット団の噂を聞いた事はあるが……、やはりネルと同レベルの威圧感を感じる。
不意打ち時には無かった、強者独特のオーラを。
そんじょそこらの不良が出していいモノではない。
「時間厳守、直ぐに終わらせましょう。」
「ッ!?」
ヘルメット団員の姿が消えた。
直感で背負っていた『光の剣・スーパーノヴァ』を前に掲げると凄まじい衝撃が襲う。
何とか防げたが、ヘルメット団員の攻撃は止まない。
拳銃では有り得ない火力でガードをこじ開けようとしてくる。
戦局は防戦一方。
困った事に反撃する隙が全くない。
被弾覚悟で攻撃しても、素早すぎて相手に当たる気がしない。
だがケイには1つの策があった。
このまま時間を稼げば、ネル先輩か先生達が合流するはず。
そんな人任せの策に縋らなければならない程に、ケイは追い詰められていた。
対してヘルメット団員、AL-1Sも策を練っていた。
このまま攻撃を続ければ、いずれ目標を倒すことは可能だろう。
しかし、このまま時間を稼がれるとトキを突破したチビメイドがこちらに来るかもしれない。
負けるつもりは無いが、折角接触した『鍵』に逃げられてしまう。
そうなれば、オーナーに褒めて貰えない。
そこで思い出す。
拠点出発前にオーナーが伝えてきた秘策を。
「もし『鍵』と接触する機会があれば、ヘルメットを外せ。」
AL-1Sは躊躇なくヘルメットを脱ぎ捨てた。
あれほど凄まじかった銃撃が急になりを潜めた。
降り続けていた豪雨が止んだのを確認するかのように、AL-1Sの様子を観察するケイ。
そう、
「王、女?」
自分とそっくり───否、
自分が彼女に似ているのだと確信する。
王女だ。
夢にまで見た王女との再会が此処に叶ったのだ。
無事だった事に安堵感を覚えた。
だがこちらを覗く王女の瞳は凍えるほどに冷たい。
「(何故私をそのような目で見るのですか……?)」
殺気を漏らしながら不意打ちしてきた下手人が、実は王女で何故か自分に冷たい眼差しを向けてくるという最悪の状況。
言うまでもなくケイの思考は
その隙をAL-1Sが見逃すはずが無かった。
「好機。」
「アガッ!?」
早撃ちがケイの額にクリーンヒットする。
至近距離の渾身の一撃を受けて倒れ伏すケイ。
キヴォトス人でも失神するほどの威力を誇るそれを受けても、その頑強な体はタンコブをこさえるのみに留まった。
それに反して、『鍵』の心を支えていた
訳も分からないまま、ケイの意識は暗闇へと沈んでいった。
「
──────────────────────
「ッ────!!!?」
悪夢から飛び起きるかのように体を起こしたケイ。
瞳孔は開き息は荒い。
覚えているのは王女が自分を攻撃して───
「(違います、アレは、何かの間違いです!!)」
王女に殺気を当てられたのが余程ショックだったのか、現実を受け入れられないケイ。
何か理由があるはずだと、言い訳を探すがそれでも王女の冷酷な視線が脳裏にチラつく。
思い出すだけで冷や汗が流れ、瞳は揺れ、吐き気を催す。
込み上げるものを嚥下し、ようやく辺りを見回す。
「ウプッ───ココは……。」
無機質な白い壁に、見合わない近未来的な玉座。
どう見ても王女が安置されていたあの玉座部屋だった。
今ケイは玉座に撓垂れ掛かる様に体を預けている。
体に力が入らない。思考も靄がかかった様にフワフワとする。
最悪のコンディションながら、この場所が何処なのか本能で理解した。
「(ココは私の精神世界?)」
人の体を手に入れるまで、ケイはここで暮らしていた。
久方ぶりで思い出すのに時間がかかったが、現実世界へ戻る方法は知っている。
「(せめて、王女に現状を問わねば……)」
ケイはまだ諦めていなかった。
折れた心を無理やり継ぎ接ぎして立っている。
王女に何か考えがあるはず、そんな微かな希望に縋るために。
まだ自分の意識がハッキリしているという事は、
王女の狙いがわからない以上、すぐにでも現状を把握しなければならない。
……もしハッキリと存在を否定されたら自分はどうすれば良いのだろうか。
答えが出ないまま、ケイは現実世界へと帰還する事にした。
………おかしい、変化がない。
否、空間が突如歪みだした。
ケイの予想した変化ではない。
何者かが歪みの中心部から現れる。
その者は骨であった。
骨が眼窩に意志を燃やして、此方を見据えてくる。
ケイにはソレが動いているという事実が不気味で仕方なかった。
骨が口を開く。
「目覚めていたか。私の名はホモ、ゲマトリアの一員だ。」
「(ゲマトリア!?)」
呑気に挨拶してきた骨は自分はゲマトリアだと発言した。
そこで色々と謎が解けた。
リオ会長はこの骨から情報を受け取ったのだ。
そして、王女は拾われたのだ。
よりにもよって自分達の天敵であるこのゲマトリアに。
骨が自分の敵だと判断したケイは、分析を始める。
「(この男、
骨の持つ杖から異常な量の神秘を検知した。
その保有量は
分析を終えてなお、骨の実力が分からない。
「(……迷ってる場合では有りませんでしたね。)」
そう、結局ケイのやるべき事は1つ。
この骨を倒して情報を聞き出す事。
王女はこの骨に操られているだけかもしれない。
蜘蛛の糸から針金程度には希望が見えてきた。
骨はケイの決意を悟ったのか、残念そうに呟いた。
「大人しくする気は無さそうだな。」
「えぇ、貴方からは色々と聞き出さなければ成らないので。」
精神世界は言い換えれば自分の世界。
イメージさえ出来ればなんでも可能な世界だ。
ケイがイメージするのは自身の武器。
紫電に混じり発現した『光の剣・スーパーノヴァ』をその手に取り、銃口を骨に向ける。
「安心してください、命までは取らないので。」
「レールガン、『鍵』がロマンを理解するか。別に武力行使しなくても君の質問には答えるが?」
「……では───王女、AL-1Sに何をしたのですか?」
焦る素振りもなく、そう嘯く骨。
一瞬逡巡するが意を決して質問した。
仄かな願望を込めて。
それに対する骨の答えは─────
「
「──ッ!!」
嘘をつくなと叫びたかった。
だが、ここでそんな事を言っても意味は無いだろう。
「良いでしょう。えぇ、貴方を倒した後で直接王女に聞けば良いのですから!!」
「私が嘘をついていると?心外だな、メリットがない。」
「──ッ黙りなさい!!」
暴発するかのようにレールガンから弾丸が発射される。
キヴォトス人でも当たれば当分動けない威力を、神秘を持ちえないホモが喰らえば一溜りもない。
ホモ目掛けて真っ直ぐ突き進む弾丸は────
ホモが腕を振るうと
まるで鬱陶しい虫を払うかの様に軽く。
「は?」
「何の対策もなしに君の精神世界に入るわけが無いだろう。」
ピシッ
世界の端から致命的な音が聞こえた。
ケイの精神世界が音を立てひび割れていく。
「そんな、私の世界が崩壊して───」
「生憎、私も精神世界については詳しくてな。」
ガラスの様に割れた隙間からは、別の世界が覗いている。
音は次第に断続的に、大きくなっていく。
そして遂に─────決壊した。
変わりに現れたのは曇天の
焚き火に照らされた周囲以外は霧に覆われ、何も見えない。
「これで
「くッ!?」
何が起こったか思考が追いつかない。
しかしケイは直感した。
もう既に自分の優位は覆されたと言う事に。
「待て、次はこちらの番だ。」
「なっ、影がッ!?」
パチンッと骨が指を鳴らすと、ケイの影が実体化し自らの体を拘束した。
ケイのパワーであってもビクともしない。
「『
黒服の成果物である『影の精霊』。
ホモはこれの細かな仕組みを知らない。
しかし、何でも可能なこの精神世界でのみ発現を可能とした。
それも
「ビジネスの基本は等価交換だ。この際しっかり回答するとしよう。彼女が自らの使命に対してどう思っているかを。」
「グッ……この……ッ!!」
やめてください。
「私はありのまま真実をAL-1Sに伝えた、その使命もな。使命に生きても良いと言ったら、彼女はなんと返事したと思う?」
「あ、あぁ…………」
やめて。
「『使命なんて関係ありません。私は私、自分の生きたいように生きます。』と。つまりだな────」
骨は容赦なく、『鍵』にとって最悪の事実を告げた。
「
「うあぁぁぁぁぁぁぁあッ!!!?」
今度こそ『鍵』を支えていたナニカ──王女という支えは再起不能なまでに砕け散った。
気絶したかのように、ケイの頭は垂れている。
精神世界で気絶したという事は、本心の奥底へと避難したという事だろう。
「………やり過ぎたか?」
計画通りとはいえ、ケイの絶望した顔にはホモも心を痛めた。
AL-1Sと瓜二つなのもタチが悪い。
だから、無駄と分かっていても謝罪してしまう。
「聞こえてないだろうが、すまなかった。私もキヴォトスを滅ぼされる事は避けたいのでね。」
何はともあれ、情報を取り出すための環境が整った。
ケイを横たわらせ、首元を確認する。
「リオの話によれば、首元にUSB挿入口があると聞いたが……これか。」
確かにあった。
後は此処から『ATRAHASISの箱舟』の情報を取り込むだけだ。
「シャーレの先生が率いるミレニアムの戦力を考えれば、取り出せる情報は一つか。」
情報を取り出し、直ぐに再現するにはソレが限界だった。
活用出来る情報を獲得することを願おう。
抽出されるデータを可視化し、頭に叩き込んでいく。
「ついでに保険も仕込んでおくか。」
懐から取り出したUSBを接続し、
今はまだ真価を発揮しないだろうが、いずれこれが大きな働きをする事だろう。
そしてその直感は遠い未来、当たることになる。
・ホモは『ワープ』を覚えた。
アリス&ホモ「無量空処」
ケイ「やめて()」
ケイちゃんはHappyENDが約束されてる分、どれだけ曇らせても問題ないな!!(鬼畜外道)