ブルーアーカイブRTA 称号「崇高」獲得まで 作:ノートン68
前回のあらすじ
リオ「アヴァンギャルド君が完成したわ、凄いでしょ!!」
ホモ「デザインがダサい。」
AL-1S「機能は良いですね、機能は!!」
トキ「……ノーコメント。」
リオ「囧。」
ゲーム開発部員達も寝静まる早朝のミレニアム運動場。
毎朝ここを出発地点としてケイは散歩をしている。
ただの散歩では無い、この時間帯に通り掛かる人物に用事があるのだ。
「(そろそろですか。)」
「いち、に、いち、に………あ、おはようございます、ケイさん。」
「おはようございます、スミレ。」
出不精の多いミレニアム生徒の中でも、彼女は生粋のアウトドア派だ。
段々と暑さが厳しくなるこの頃、彼女はケイよりも早朝からランニングを行っていた。
そんな彼女の行動範囲はミレニアム自治区の周囲にまで広がる。
ケイはその行動範囲に目をつけAL-1Sの捜索を協力してもらっていた。
その他にも所在の不明なAL-1Sを一刻も早く見つけ出したい、その一心でリスクを顧みず声掛けをした結果、人探しの事情を知らない生徒は存在しない程になっていた。
本人は預かり知らない事だが、周囲からは生き別れの妹を探す姉のような目を向けられている。
しかし、既に大人数の協力者を得たが、成果は芳しくない。
「何か情報はありますか?」
「そうですね、今日は─────」
ミレニアム通信ユニット『ハブ』が地下を潜ったきり戻ってこないとの噂。
1人でに動き出すペロロ人形がいるとの噂。
昨日の夜中、屋根から屋根を走り抜ける忍者を見たとの噂……etc
どれもAL-1Sとは関係ない話のようだ。
もしかすると彼女はもっと遠い場所に行ってしまったのかもしれない。
「(いいえ、いつかきっと───)」
それでも『鍵』は、ケイは諦めない。
例え遠い月日が経とうとも、王女が自分を拒否しようとも。
「(王女がいると言うだけで、私はまだ戦える!!)」
その事実だけでケイは王女を探し当てるまで活動出来る。
そろそろ、ミレニアム以外の区域にも足を踏み入れてみようか。
ここから近いのは……
足を踏み出した瞬間、ケイのデバイスから通知音がする。
何だか出鼻をくじかれたようでモヤモヤしながらメールを見る。
From:モモイ
件名:緊急クエスト!!
・至急、部室まで戻ってきて!!
「……面倒事で無ければ良いのですが。」
あの桃猫め、今度のゲームで白星を貰えるとは思わない事です。
そう心の中で吐き捨て踵を返した。
その後、モモイから「ヴェリタスが面白い物を見つけたみたいだから見に行こう!!」と、半ば強制的に珍しくユズも連れてヴェリタスの部室へと向かった。
王女捜索も難航している今、気晴らしには丁度良いかと思い進んでいると、奥に見覚えのある人影が見えた。
その顔をはっきり認識した時、ケイは思わず声を漏らした。
「げッ………。」
「こ、こんにちは……。」
「やっほー先生!!」
「どうして先生がここに?」
・「やほ、ヴェリタスに呼ばれてね。」
先生の事は苦手だ。
先生にも事情を説明して王女を探してもらっている。
自身が『鍵』であるという情報は伝えずに。
それも彼に関しては「
・「ごめんねケイ、まだ見つからなくて。」
「構いません。」
シャーレの情報網でも捕まらないとすれば、大きい組織に匿われたか、若しくは─────
これ以上はよそう。
そんな事を考えている内に、ヴェリタスの部室前までやって来ていた。
許可を貰って、中に入るといつもの面々が居た。
「やっほー、皆久しぶり!!先生と丁度よく一緒に来たんだね。」
「それでハレ先輩、例のブツは?」
「あぁ、それなら──これ。」
「ッ!?」
ケイ達の目の前に出されたのは、奇妙な形のロボットであった。
それらはまるで深海魚のような言い表せない不気味さを感じるデザインで、先生達はある種の忌避感を感じた。
但しケイは違う、彼女はこれらの事を知っている。
「(何故ここに『無名の守護者』が!?)」
ここで一旦ケイは冷静に考える。
これはチャンスか?
今なら『無名の守護者』を起動してプロトコル:ATRAHASISを発動できるか?
……いや、無理だ。
たった数体の『無名の守護者』ではキヴォトスどころかミレニアムさえ陥落させることは不可能だ。
この学園にはC&Cという最大級の障害がいる。
それに今自分はあらゆるアクセス権をブロックされている。
そしてAL-1S……王女もいない。
そう諦め、ケイは『無名の守護者』に触れるのを止めた。
「何をしているの、ケイちゃん?」
「え?」
本当に無意識の内に『無名の守護者』に近づき装甲に触れていたケイ。
モモイに呼び止められ、思わず間抜けな声が出る。
触れたと知覚した次の瞬間、くらりとケイの頭が揺れ始める。
すぐに、これは意識が落ちる感覚だと悟った。
「(これは……まずい…………)」
先生にボディの仕上げを依頼された際、ヒマリはケイの体にある細工を仕掛けた。
それはケイと外部のアクセスを禁止するセキュリティプログラムだ。
事実、ケイは目覚めた瞬間に周囲の機器へアクセスしようとしたが失敗に終わった。
コレを破れるのはシッテムの箱AIとデカグラマトンのみだと豪語できた。
ブレーカーが落ちるように瞼を閉じて静止するケイ。
触れた『無名の守護者』を中心に次々と運び込まれていた者達も目に光が宿っていく。
「え!?電源入ったんだけど!?」
「嘘ッ!?」
「………………。」
ヒマリ最大の誤算。
それは
まさかセミナーを出た兎がその会長の元に居るとは、誰も予想がつかないだろう。
ホモがエリドゥに入ってからセキュリティ関係は軒並み強化されていた為、ヒマリがこの情報を知らないのも無理は無かった。
『無名の守護者』はまるでケイを守るように周囲を囲んだ。
ケイは瞼をゆっくりと開き、完全に人間味の無くなった目でモモイ達を見渡す。
そしてここに宣言した。
「コードネーム『鍵』緊急起動。プロトコル:ATRAHASISを実行します。」
『鍵』がミレニアムを破壊するまで後───
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これは計画実行の前日のお話。
要塞都市エリドゥ、その中でも設備が整った研究所の一室。
そこへ足を運ぶのはチームⅤのリーダー。
警備の交代時間に入った事を報告するため、彼女はオーナーの元へと向かっていた。
「(依然問題はなし。外部にココの情報を発信していないから当たり前か。)」
今までは外出時の警護だけで事足りた。
しかしベアトリーチェが『神名のカケラ』をばら撒いたせいで、外部組織からホモが狙われる危険性が生まれた。
「(余計なことしかしませんね、あの女は。)」
既に彼女に対しての尊敬を捨てているリーダーは苛立ちを覚えた。
そんな事を考え無機質な廊下を歩んでいると、目的地へと着いた。
ノックを3回………反応はない。
「…………?」
今の時間帯はまだ研究室にいるはず。
もう一度ノックをするも、同じく反応はない。
自室に戻られたのだろうか、少し考えて入室する事を決心した。
「失礼します。」
部屋では理解出来ない様々な機器が並び、ガラス管の液体は虹色に輝いている。
そして当の彼は椅子に凭れて眠っていた。
「──風邪をひきますよ。」
オーナーが風邪をひく場面が思いつかないが、リラックスしにくい姿勢なのも確かだ。
自室へ運びだそう、そう思った時机に置かれた1枚の紙切れにふと目がいった。
「これは──────」
よく見ると写真だということが分かった。
年代を感じさせる程に色褪せ、シワが入っているセピア色のそれには5人が仲良く並んでいた。
他人の持ち物、それもオーナーの私物を物色するなどあってはならない。
しかし写真から、特に男性の姿から目が離せない。
その男の名前も顔も知らないのにも関わらずだ。
「(けれど私はこの男性を知っている?面影も何も無いけどこの人はきっと───)」
自然とその名は口から発せられた。
「オーナー?」
「………む、済まない。少し眠っていたようだ。」
「交代の時間になりましたのでご報告に参りました。」
動揺で声が震えていなかった事を褒めて欲しい。
しかしホモには効かなかったのか、写真について話し始めた。
「写真が気になったか。」
「あ……その──」
「謝罪は不要だ。誰だって不思議にも思う、
「え?」
「……君には何か見えたのか?」
オーナーには写っている人物が見えていない?
……何と答えるべきか。
この男性がオーナーだという証拠は何処にもない。
そして並んでいるヘイローを浮かべる少女達。
彼女達の表情から読み取るに友好関係は良好だったのだろう。
「(……………。)」
彼女が選んだ答えは─────
「
「そうか、大事なものだという事だけは分かるんだが。」
「……これから、どうされますか?」
「少し根を詰めすぎた、外で風に当たるとしよう。」
写真を懐にしまったオーナーに続いて部屋を出る。
この時ばかりは、ヘルメットを付けていて助かったと思った。
コユキ大勝利の回でした。
因みにホモ君の情報操作が無ければ普通に対処されてます。(5敗)
今作でヴェリタスの部室を破壊するのは『依星ケイ』ではなく『鍵』です。
これはホモ君の仕込みで、『鍵』としての側面だけをサルベージさせている感覚です。
(『無名の守護者』の残骸にそのような細工を施した。)
その結果、原作アリス同様にミレニアムで人間味を覚えたケイちゃんは、
意識の奥深くに強制入眠するハメになりました。
可哀想に(他人事)
最後のリーダーはどんな表情を浮かべていたのやら。