ブルーアーカイブRTA 称号「崇高」獲得まで   作:ノートン68

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遅くなりました。

水着ヒナをお迎え出来たので投稿(天井)。
あぁ、私の石が………

あとはグレゴリウス。
演出から何までクソカッコよかった。
『太古の教義』ネタも増えて大満足。



偽神のカケラ

キヴォトスから隔離されたとある場所にて、時間の変化を全く感じさせない密室。

そこで4人の異形が面を合わせていた。

赤い薄明かりに照らされた円卓を囲む彼らはゲマトリアだ。

 

 

静かすぎるこの状況下、常人なら全員非人間的すぎて何かしらのオブジェと錯覚してしまうだろう。

それ程に異様な空気感が張り詰めていた。

例え同じ組織内の仲間でも油断は出来ない……歪すぎるが、これが彼らの日常の空気だ。

 

 

そんな空気の中、ドアが開き最後の1人が入室する。

リビングデッド(動く死体)と説明すれば十中八九が納得するであろう骸骨男は、空気を読まず開口一番にこう言い放った。

 

 

「私が最後か、待たせて済まない。」

「いえいえ。予定時刻通りなので問題ありません。」

 

 

ゲマトリアの中で最も歴の浅い男ホモ、彼が席に着くと議会が開始された。

今回の議長は開催者である黒服だ。

 

 

「皆さん、ご多忙の中お集まり頂きありがとうございます。ここ最近は欠席が無く、全員揃う事が多いので嬉しい限りです。」

『研究にひと段落付けれる様になったからでしょうね。』

「そういうこった!!」

 

 

全員の目線が一瞬ホモの方へ飛ばされる。

当人は全く気にした様子が無い。

 

 

「クックックッ、今回は皆さんの近況報告を纏めて足並みを整えたいと考えています。」

 

 

全員の共通点は崇高の領域へと足を踏み入れる事だけ。

過程も最終目標もバラバラな彼らは、今まで自身の立てた方針のもと活動していた。

 

 

黒服の宣言はその活動に少なからず制限をかけるという事だ。

この中でプライドが高いベアトリーチェが噛み付くのも全員の想定内だった。

 

 

「どうせ私達は各々の目的を追求するだけの存在。あなた方に私を束縛する権利はないでしょう。」

「それは現状に対する甘えだベアトリーチェ。未だに『神秘』も『恐怖』にも辿り着けていない我々に手段を選ぶ暇があると?」

「標準化された行動で辿り着くことが出来るのであれば、既に我々は崇高を理解しているはずです。真に必要なのは様々な角度からのアプローチ、違いますか?」

 

 

議論に入る前からこの白熱具合、2人は元々相性が良くなかった。

全く折れない彼らでは、話し合っても時間がすぎるだけだろう。

待ったをかけたのはゴルコンダだった。

 

 

『御二方とも冷静に、黒服が考えているのは最悪のケース。恐らく我々で潰し合わなくするのが目的です。』

「えぇ、我々は道を同じくする同士。仲良く協力しろとまでは言えませんが……ね?」

『私はどちらの意見にも賛成です。あくまで目的はスタート地点の共有、これからは互いが互いを高め合い進み続ける必要があります。』

「まぁ、そういうこった!!」

 

 

この中で比較的冷静に物事を進めるのがこの2人だ。

この2人が居なければゲマトリアは組織としての意味を失いとっくに壊滅していただろう。

ベアトリーチェ達が議論を刺激し、黒服達が丸く収める。

以前からこのような協調性があった訳ではない。

明確な変化のきっかけは、やはりホモであった。

 

 

 

ホモは自身の研究内容をどのように扱われようが基本黙認する。

それがどれだけ非人道的であっても。

倫理観的にこの中で1番安全とはいえ、彼もまた生徒を実験体にしている極悪人。

良くも悪くも他人に関して無関心、それがホモという男だ。

 

 

そんな彼だから、新入りにも関わらず短期間で黒服たちと同じステージに上り詰めた。

彼は自身の成果物である『神名のカケラ』を最終目標の重要なピースだと認識していない。

同時に、他の者にとっては喉から手が出る程に欲する代物だと言うことも理解している。

だからこそ、容赦なく交渉の材料として扱うことができる。

 

 

それに対するゲマトリアの反応は様々で───

 

 

こういった取引も大人の醍醐味だと楽しむ黒服。

ホモの事を作品の協力者にしてアシスタントと(勝手に)思っているマエストロ。

与えられてばかりは癪だという、反骨精神の溢れるベアトリーチェ。

淡々と事務的に、されど敬意は払うゴルコンダ。

そういうこった!!デカルコマニー。

 

 

こうして交渉の幅が広がる事で、妙な協調性が生まれたのだ。

その原点である彼は、興味無さそうに呟いた。

 

 

「私はどちらでも構わない。活動も好きにすれば良い、こちらで勝手に合わせる。」

「譲歩させているようで少し癪ですが……納得はしました。」

「それもまた、私の芸術の為ならば。」

「他に質問はありませんね?では私から報告を。」

 

 

そこからは順調に報告が進んだ。

まずは黒服。

 

 

彼は『影の精霊』の安定化に成功した。

開発初期では薄い障壁止まりだったが、今では自身の影の体積までなら自由に変化可能で、

座標移動までもが可能となり、『影の精霊』と呼ぶに相応しい物に仕上げた。

現在は無名の司祭のオーパーツの解析に躍起になっているようだ。

 

 

次にマエストロの番。

 

 

人工天使、またの名を────神性の怪物ヒエロニムス、その最終調整に取り掛かっているとの事。

崇高の定義と似て非なる『太古の教義』がホモの純粋な興味を引くのは当然であった。

調整現場に立ち会って欲しいと声が掛かり、ホモはこれを承諾した。

 

 

続いてデカルコマニー&ゴルコンダの番。

 

 

彼は変わらず超性能の兵器の量産に取り掛かっている。

『The Library of Lore』(止め処無い奇談の図書館)の解析は難航しているらしい。

ゴルコンダ曰く、都市伝説の様な人々の『テクスト』によって生まれた物語が何かしらの因果で崇高に至った存在らしいが………。

これもまたホモの興味を引くに申し分なかった。

 

 

そしてベアトリーチェの番。

 

 

ゲマトリアの中で進捗が1番進んでいるのは彼女だ。

既に儀式に必要な祭壇と生贄は用意されている。

訓練された生徒は勿論のこと、スクワッドという便利な兵士もいる。

更にホモの神秘の強化が加わり、その戦力は随一と言って良いだろう。

儀式はそう遠くない内に執行するようだ。

 

 

そして最後にホモの番がやってきた。

 

 

「私の番か……報告をする前に2つ質問がある。ベアトリーチェ、全て君に対してだ。」

 

 

彼にしては珍しく感情の乗った重々しい声でそう言い放った。

ただ事では無いと身を引き締めると同時に、一体何をやらかしたのだと心配する黒服達。

 

 

ベアトリーチェは何も言わない。

沈黙を肯定と受け止めたホモは質問し始める。

 

 

「まず、アリウス分校の者がトリニティの生徒会代表を襲ったと聞いたが事実か?」

「はい、事実です。」

「……あぁ、アレを使われたのですねマダム。」

「その件については感謝しています、ゴルコンダ。」

 

 

使われたのは恐らくゴルコンダの扱う技術の1つ、『テクスト』を使用した『ヘイロー破壊兵器』だろう。

ホモは大方予想していた答えを聞き質問を続ける。

それは特大の爆弾であった。

 

 

「そして──────

 

 

 

 

 

 

 

『神名のカケラ』を外部組織に横流ししている事も事実だな?」

 

 

「……………えぇ、それも事実です。」

「『「「ッ!?」」』」

 

 

余りにもサラッとベアトリーチェが流したので、驚愕した黒服達。

ホモを介して以外の入手が困難な『神名のカケラ』。

それを外部に流すなど、機密書類をばら撒くにも等しい利敵行為だ。

困惑する黒服達をよそに、涼しい顔をしてベアトリーチェは続けた。

 

 

「順に説明していきましょうか。まずアリウス分校の件ですが……トリニティに予知夢を扱う生徒が居るのはご存知ですか?」

 

 

彼女が狙いをつけたのは百合園セイア。

とある情報筋から手に入れた予知夢の能力者を彼女が放っておくはずが無かった。

 

 

「彼女の能力は我々にとって脅威になり得ます。先手を打ち潰そうというのは、何も不思議な事ではないでしょう?」

「因みに死体は?」

 

 

何故そんな事を聞くのかと、ふと気になったが些細な疑問を隅に回答を続けるベアトリーチェ。

 

 

「建物ごと爆破したので確認してませんが、まず死亡は確定でしょう。なんせ『ヘイロー破壊兵器』と瓦礫で生き埋めの二重苦です。」

「そうか……いやなに、私も彼女の存在を気にかけていたのでな?」

 

 

『ヘイロー破壊兵器』を避けても、ビルの倒壊でまず生きていないだろうから妥当な判断だ。

もし死体が見つかったとしても、身元の判別は出来ないだろう。

心做しか少しホモの威圧感が軽くなった気がする。

それ程に彼も百合園セイアの存在を危険視していたのだろうか。

 

 

「そして横流しの件ですが……私の領地の資金源とさせて頂きました。」

「ベアトリーチェッ!!!!貴殿はどれだけ他人の作品を愚弄すれば気が済むのだ!!?」

 

 

他人の作品、信念を躊躇なく踏み潰すが如き所業。

作品に対しての思い入れが1番深いマエストロには耐えられなかったのか、

ベアトリーチェに対して激昂を顕にした。

 

 

「マエストロ、貴方に非難される謂れはありません 。あくまでこれは彼と私の契約で、それを守る範囲で活動したにすぎないのですから。組織の規範など、私にはどうでも良い事柄です。」

「…………。」

 

 

もとより彼女が治めるアリウス分校自治区は、言わば鎖国状態。

自領地で武器の調達等をやりくりするには少し煩わしさがあった。

特にカイザー系列にはいい値段で売れただろう。

今まで違法とされる兵器を裏で恐る恐る使用していた彼らからすれば、何よりも合法的な手段を取れるというのは大きかった。

当事者間で解決している事に口を挟めるほどマエストロは無粋では無かった。

 

 

そして自身の重要な交渉物を好きなように使われた当の本人であるホモだが、

ベアトリーチェの発言に怒っている印象はない。

 

 

「横流し自体は構わない、規制しなかった私にも責任はある。何なら、ばら撒かれるのは想定の範囲内だった。問題は────コレだ。」

 

 

ゴソゴソと懐を探り何かを取り出したホモ。

手に取ったのは『神名のカケラ』。

よく見ると全体的に黒ずんでいるような気もするが……。

 

 

「同じように見えるコレは偽物だ、『偽神のカケラ』とでも名付けようか。それが裏の方で出回っている。」

「フム……既製品との違いは?」

「神秘の内包量は『神名のカケラ』よりも断然優秀だ、恐らく最終的な総量では圧倒するはず。」

『という事は、何か問題点があるのですね?』

 

 

ゴルコンダの質問により、またホモからプレッシャーを感じ取る。

ミシミシと握り潰すのではと心配する程に『偽神のカケラ』を握り込んでいる。

面が骸骨でも苛立ちが伝わるほどの声色でホモは返答した。

 

 

「大ありだとも。含まれた神秘が多いと必ず対象者の適応力が要される上、身の丈に合わない力は体外へ吐き出される。それも摂取した量以上をだ。」

「成程、強化するつもりが逆に弱体化する場合があると。」

 

 

まさにハイリスク&ハイリターンの強化手段。

更にホモはこう続けた。

 

 

「さらに言えば一気に大量の神秘を失った生徒は高確率で虚弱化する。最悪ヘイローを失い植物人間化にまで至る。」

『『諸刃の剣』……ドーピングと言うには耳障りが良すぎますね、最早ドラッグの一種と言っても過言ではないでしょう。』

「そういうこった!!」

 

 

「まずは安全性を」と考えるホモには理解し難い改悪品であった。

ベアトリーチェの『神秘のカケラ』流出を黙認した理由にも関係する。

頑なに安全性に拘ったのも、キヴォトスの平均兵力を底上げする狙いがあったからだ。

他組織で改良されて広がっていくならば御の字だと思っていた。

だが今は改悪品として流れるようになってしまった……。

 

 

「分かるか?私に言わせてみればこれは粗悪品。改悪されて黙っている程、私は研究者として落ちぶれていない。」

「嗚呼、分かるとも。贋作が世に蔓延る事ほど我々芸術家にとって苛立たしいものはない。」

「……バカバカしい。」

 

 

それすら下らないとベアトリーチェは一刀両断した。

無理もない、彼女にとって最早生徒は兵力の一部でしかないのだから。

 

 

「良いではないですか、使い物にならない程の重症になるケースは稀なのでしょう?」

「何度も言うがベアトリーチェ、貴殿は作品に対してのリスペクトが────」

「あなた方がなんと言おうとも、私にとっては兵器でそれ以上でもそれ以下でもありません。」

「………。」

 

 

心底どうでも良いと言わんばかりの台詞に、流石のマエストロも反論の気力を削がれてしまう。

『神名のカケラ』だけではない。

彼女にとって『無名の司祭の技術』、『ミメシス』、『The Library of Lore』、これら全て含めて踏み台でしかない。

 

 

「兵力は消耗品です。ならば後は鶏が先か卵が先かの問題だと思いませんか?」

「……私はその考えも尊重するとも。」

 

 

彼女の言葉は間違っていない。

指導者としては0点だが、統治者としては100点満点の台詞。

犠牲を厭わないベアトリーチェに対して、ホモは胸の奥でドロリとした感情を覚えたが直ぐに消し去った。

 

 

「とにかく大まかな出処は掴んだ、後は元凶を捉えるだけでいい。私は本拠地を見つけ次第潰す。」

 

 

作成者は恐らく自分より遥かに腕のたつ研究者、それも多少なりとも薬学に精通している人物。

それもただの探求者ではなく、愉快犯的な一面を持つ者だと考えられる。

『偽神のカケラ』を観察してみるとあえて純粋な改良品では無く、悪意ある粗悪品を作成している節が見受けられた。

一体どのような捻くれた人物が作ったのか、怒りを通り越して楽しみまである。

 

 

「この場で話したのは謝罪と注意喚起のためだ、特にマエストロの研究対象(ヒエロニムス)は影響を受けやすいだろう。

 

 

ここまで事態を見通せなかったのは私の不手際だ。済まなかった。」

「気にする必要はない、既に外野の干渉に影響されるステージは突破している。」

 

 

そこで質問は終わり、その後は粛々とホモの報告が続いた。

『ATRAHASISの箱舟』の機能を何とかして抽出しようとしている事。

今ミレニアムの生徒会長と『Key』の確保に動いているという事。

その過程でほぼ高確率で先生と戦闘になるという事等々。

 

 

その後、特に問題なく議会は終わった。

軽く意見交換を行い1人……また1人と抜けていきホモも帰ろうと踵を返した時、黒服に呼び止められた。

 

 

「ホモ、少々お時間を頂いてもよろしいですか?」

 

 

彼がもつタブレットには、あるサイトが映し出されていた。

学校の課題から明日の天気まであらゆる質問を受け付けるQ&Aサイトである。

キャッチフレーズには「どんな質問にも答えます」とある。

管理者のアイコンには厳ついロボットが写っている。

ペンネームは()()()()()とある。

 

 

「最近ネットに現れたこのサイト、貴方が運営していますね?」

「……耳が早いな。」

「最近その筋でちょっとした話題になっていますよ。どんな質問にも答えてくれるとか?」

 

 

話題の発端はとあるミレニアム生徒の書き込み。

何を思ってか、質問文にあるミレニアム懸賞の一つについて証明せよと書き込んだ。

通常ならば、答えられる筈がないのだから回答なしで終わる。

 

 

回答が出てしまった、それも適当なものでなく完璧なものが。

今まで誰も回答することの出来なかった問いに、遂に回答者が現れたのだ。

当然、ミレニアムでは大騒ぎになった。

回答者の情報を手に入れようと、あのヴェリタスも動いたようだが進歩はないらしい。

 

 

「あなたの事なので心配はしていませんが、何故このような事を?」

「ただの趣味だとは思わないのか?………冗談だ。『ミメシス』を扱った実験、これはそれに備えた措置だ。」

「成程、『シロ&クロ』のような感情の取得によって『ミメシス』を作ろうとしている……いえ、それならもっと効率の良いやり方が───」

 

 

何やら長考に入ってしまった。

こうなった黒服は長い。

 

 

「答え合わせはそう遠くない、早くても────エデン条約締結前に完了する手筈だ。」

 

 

話題を切り上げるためそう言い放ち、その場を後にした。

帰る途中でホモは思案する。

 

 

それはこれからの行動。

『Key』の確保、『ミメシス』の実験、『偽神のカケラ』製造元の割り出し。

様々な事を並行処理しているためミスは許されない。

 

 

計画実行の日は近い。

 




本当はちゃんと他ゲマトリアにも喋らせたかったけど、どう足掻いてもグダるのでカット。

特にベアトリーチェとマエストロはこれから出番多くなるから許して……。

次回再びRTA視点です。
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