ブルーアーカイブRTA 称号「崇高」獲得まで   作:ノートン68

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長い間お待たせして申し訳ありません。

このGW中の休みが消し飛んで死んでいました。
弱音を吐いても仕方ないので、最低1週間に1話を目処に続けていきます。

これからもよろしくお願いします。

今回はケイちゃんの脳破壊と全先生のオカンが登場します。



冷酷な算術使い

ゲーム開発部の部室内、日が沈む頃モニターに目を向ける少女が2人。

コントローラーを持った少女、ケイは彼女達の開発したゲームに挑戦する。

知識として知っているだけで、実際にプレイするのは初めてな彼女は、ある種の好奇心を胸にスタートボタンを押した。

 

「このゲームは童話テイストで色彩豊かな王道ファンタジーRPGなの。」

「ファンタジー系は良くも悪くも作り手の個性が現れるものです。一体どのような物に仕上がっているのか……」

 

画面が暗転し、荘厳な音楽が流れ始める。

少しすると燃え盛る街並みのドット絵と共に文字が流れた。

そう、北○の拳的なアレだ。

いきなり意味不明なプロローグが始まり混乱するケイ。

 

『コスモス世紀2354年、人類は却火の炎に包まれた……』

「???」

「えっと、王道とは言っても色々な要素を混ぜてたりするんだ。」

「なるほど……?」

 

物語のマンネリ化を防ぐ為に、インパクトのある演出から入ったと言う事か……少なくともそう理解する事にした。

何やら既に地雷臭もするが、無視して先に進む事にする。

 

『チュートリアルを開始します。』

『まずはBボタンを押して、目の前の武器を装着してみてください。』

「早速戦闘のチュートリアルですか。」

 

RPGで重要な要素の一つであるバトルシステム。

ターン制のコマンド選択システムになっている。

クソゲーランキングに載ったということもあり、あまり期待せずに指示通りBボタンを押した。

 

そんなケイの目論見は外れた、勿論悪い意味で。

ボタンを押した瞬間、自身のキャラが爆発四散したのだ。

 

バボーン

〈GAME OVER〉

「……は?」

「やっぱりそんな反応になるよね……」

 

これにはスーパーAIもフリーズ物である。

死んだ?何故?理解不能………

宇宙猫状態になっていると笑い声が聞こえた。

 

「あははははっ!!予想できる展開ほどつまらないものはないよね!!本当はAボタンを押すんだよ!!」

「お姉ちゃん、学生証は?」

「バッチリ!!」

「これが学生証ですか?」

 

この学園の校章にバーコードが記されたカード。

質素な作りだが学園最先端という物なだけあって、そのセキュリティ性は高いそうだ。

 

「よく私の学生証なんて取れましたね。」

「生徒名簿にヴェリタスがハッキ……登録してくれたからね。これでケイちゃんは私達の仲間だよ!!」

「それはさておき、改めて見てもこの部分は酷いと思う。」

「……もう一度始めます。」

 

意味不明な事象に対しての怒りと困惑と反骨を胸にゲームを再開する。

ケイは自ら、地獄の入口に飛び込んだのだ。

 

────────────────────────

 

『武器を装備しました。』

『エンカウントしました。野生のプニプニが現れた!!』

「序盤のモンスターらしい見た目ですね、これなら簡単に───」

 

『プニプニの攻撃。』ッダーン!!

『攻撃が命中、即死しました。』

「は?」

〈GAME OVER〉

『プニプニ:どれだけ剣術を鍛えたところで我が銃の前では無力……フッ。』

「!?!?!?」

 

 

理不尽なバトルシステムに翻弄され、

 

 

「RPGと言えば仲間を加えるのも醍醐味のひとつです。魅力的なキャラなら尚更良し。」

「だよね!!このゲームだと色んな人に話しかけてみると良いよ。」

「なるほど、そこの椅子に座ってる男の人に話しかけてみましょう。」

『仲間にスカウトする。』

『ごめんなさい、私は植物人間なので女性と共に旅に出る事なんて出来ません。』

「??????」

 

 

時にはテキストの意味を汲み取れず意識を失ったり。

 

 

「どうなんですか、この母親がヒロインだと言うのは。倫理的におかしいでしょう。」

「そ、それはほら。前世での妻だったって言う設定があるから何とか……」

「その設定も色々ツッコミどころはありますが……腹違いの友人ってなんですか、それにその友人が主人公の妻の元へタイムリープして戻って来るというのは一体どう言う……あぁ、記憶能力に障害がくぁw背drftgyふじこlp;@:

「ケイちゃん!?しっかりして!!」

 

 

情報の大渋滞で言語障害が発生したり、

様々な困難を乗り越えつつ着実に進む姿はまさに勇者であった。

 

「頑張ってケイちゃん!!クライマックスまでもう少しだから!!」

「エラー発生!!エラー発生!!……再起動(リブート)、プロセスを回復、再開します。」

 

そして遂に─────

 

「ころ……して……」

「凄いよケイちゃん!!開発者2人一緒とはいえ、2時間でトゥルーエンドなんて!!」

 

何とか気を保ちゲームクリアする事が出来た。

ケイが瀕死になっている姿を見ればその壮絶さは測りしれるだろう。

気絶するか否かの瀬戸際、ミドリが質問する。

 

「こういうこと面と向かって聞くのは緊張するんだけど……私達のゲーム面白かった?」

「…………。」

 

ケイは考え込む。

AIとして判断するならば、ハッキリ言ってクソゲーである。

隣で爆笑してたモモイを殴ってやりたい程に。

なのでそこは包み隠さず伝えることにした。

 

「結論から言うとクソゲーである事に変わりないです。」

「うぅ、やっぱり……」

「しかし───」

 

だが今の彼女はただの『鍵』でなくケイとして顕現している。

良くも悪くも、ゲーム開発部と長く一緒にいた結果の不具合(バグ)だった。

ケイは僅かだがこの短期間で感情というものを理解していた。

 

「──このゲームは面白いと私は評価します。

確かに理解に苦しむ表現はありますし、展開は唐突で置いてけぼりになる事も多々ありました。

 

しかし、同時に良い点も確かにありました。

まるで別世界に居るかのような冒険感、良きレトロゲーにある攻略していく楽しさ、そして何より製作者の『ゲームへの愛』が伝わりました。

遊び手を楽しませようという意志をです。

 

ただの手抜きの結果出来たクソゲーとは違う、愛すべきクソゲーとでも言うのでしょうか……

 

良作ゲームかはともかく、少なくとも私はこのゲームの事を気に入りました。」

 

そこには滅亡へ導く意志は無く、純粋な敬意だけが存在した。

思わず素直に感想をのべてしまい、ハッと息を呑むも2人にとってこの感想は響いたのか、モモイに至っては満面の笑みを浮かべている。

 

「ありがとうケイちゃん!!その辺の評論家の言葉なんかより100倍嬉しいよ!!」

「AIにも作り手に対する敬意程度はありますから。」

「あー、早くユズにも教えてあげたい!!」

 

ユズ?と頭にハテナマークを浮かべていると突如ロッカーから弱々しくか細いが女性の声が聞こえた。

 

「……ちゃ、ちゃんと全部見てた。」

「誰です、そこに居るのはッ!!」

 

ギギィーと、ロッカーの扉がひとりでに開くと中からケイより小さい女の子が現れた。

すわ不審者かと、立てかけておいた「スーパーノヴァ」に手をつける前にモモイが反応した。

 

「あ、ケイちゃんは初めてだね。この人がゲーム開発部の部長、ユズだよ。」

「………あ、ありがとう。ゲーム、面白いって言ってくれて……本当に、ありがとう。」

「???」

 

意図が読めずケイは混乱しているが、ユズは尚も頭を下げる。

それは本当に、嬉しそうにはにかみながら。

 

「そういう言葉が、ずっと聞きたかった……。」

 

───────────────────────

 

互いに自己紹介を終えた後、モモイが唐突に

「今日の午後からセミナー役員が資格審査に来るからよろしく!!」(意訳)

 

と急に約束を取り付けてきたのでケイは軽くキレそうになったが、それでも審査の時は訪れた。

 

そして約束の時間の5分前に入室したセミナー役員、早瀬ユウカの開口一言目がコチラ。

 

「有り得ないわ、ゲーム開発部に新入部員が入ったなんて……!!」

「残念だけど、事実だよ!!」

 

どのような事をしでかせば、こんな反応を返されるのだろうか。

 

「貴方が噂のケイちゃんね、ミレニアムの生徒ならほぼ全員把握してると思ってたけど……」

 

もう噂になっているのか……

ケイはユウカに対し、セミナー役員と名ばかりでない生徒だという印象を受けた。

学生数はしっかり把握していないが三大学園と揶揄される程だ、人数は相当な大所帯になるはず。

それを殆ど全員覚えているとは、何処かの桃猫に爪の垢を煎じて飲ませたい。

 

「私がこんなに可愛い子の事を知らなかったなんて、ちょっと信じられないわ。」

「ふふふ、そうでしょうとも。」

 

なんせ王女をベースとした容姿に体躯ですから!!

と自信ありげに胸をはるケイ。

実際美少女の類に入る程に容姿は整っているので何も間違っていない。

無名の司祭達は誇っていい。

 

ユウカが不審に思っていると感じたのか、モモイが話題を戻す。

 

「とにかく、これでゲーム開発部は存続って事でOKだよね?」

「存続……確かにそうね、この子が本当に自分の意思でここに来た部員だったらの話だけど。」

「(ドキッ!!)」

 

モモイの肩が跳ねる。

おそらく彼女は絶望的に嘘をつくセンスがない。

 

記録上はハッキングしたおかげで入学したと記されているので心配していないケイ。

未だ顔を見ていないヴェリタスなる組織を警戒枠に入れつつ、ユウカの話を聞く。

 

「最近、ミレニアムの生徒が()()()()()()()()()()()事例が起きたから、部活動の運営をもう少し厳しく確認する必要が出てきたの。」

 

普通の学校であれば大袈裟な……と言うところだがここはミレニアム。

学園最先端の技術を扱う彼女たちを引き込もうとする企業関係者は後を絶たないだとか。

もし王女を攫った者が企業関係者ならば情報も早く集まるかもしれない。

 

「それじゃあケイちゃん……もしゲーム開発部に脅されて仕方なくこの場に居るのなら、左目で瞬きをして。」

「ちょっとッ!?最初から何その質問!!ほら見て、この眩しい学生証を!!」

「私はそんなに簡単に騙される女じゃ無いわ。」

 

態度が白々しすぎる。

薄々、ユウカもこの学生証が偽物だと勘づいてるのではと思いながらも問に対して否定するケイ。

 

「そう………ケイちゃん、貴方がゲーム開発部に来たきっかけは何?」

 

さて、困った。

モモイとミドリが作ってくれた台本通りでも良いが、相手は彼女だ。

適当に作った話を看破されると路頭に迷う羽目になる。

 

今のケイの体は人間同様にお腹はすくし、動けば疲れも溜まる。

王女の居場所の見当がつかない今、出来ればこの衣食住の整った場を捨てる事は避けたい。

それにミレニアム生徒という肩書きがあれば、ミレニアム近辺の探索も容易になるだろう。

 

結果、正直にかつ嘘も交えて話すことにした。

 

「部活動は別にどこでも良かった。ただ1点、彼女達のゲーム愛が熱烈に伝わったという点だけ気に入った。入った理由なんてそんなもの。」

 

意訳するとこんな感じの事を話した。

他にもプログラマーを担当すると言ったり、

逆に「彼女達の事をお願い」なんて言われたり。

勘弁して欲しい。

 

そんなこんなで順調に審査は続いた。

 

「規定人数も満たしているし、ゲーム開発部を改めて正式な部活として認定します。」

「ふぅ……。」

 

何とかまた関門を突破できた事で息をつく。

ようやくスタートラインに立つことが出来た。

 

「そ、そしたら部費も貰えるし、このまま部室を使ってもいいんだよね?」

「ええ、勿論よ。『今学期』まではね。」

「わーぃ……え?」

 

今学期までという単語に凍りつく一行。

何それ聞いてないという雰囲気を察したのかユウカが説明する。

 

「今は部活の規定人数だけでなく、部としての成果を証明しないといけないの。」

 

これは例え部員が何人いても必要なことらしい。

期間は今月末まで。

ちょうどミレニアムプライスが発表される時期と被る。

 

「嘘だ、有り得ない!!」

「有り得るの!!この間の全体の部長会議でちゃんと説明した内容なんだから。」

 

話を聞いたところ、ユズの代わりにモモイが出ることとなっていたらしい。

過ぎたことは戻すことが出来ない。

ケイにはチベットスナギツネみたいな目でモモイを睨みつける事しか出来なかった。

 

「モ、モ、イ?」

「仕方なかったの……その日はアイテムドロップ2倍の日で……」

「ゲーム機を貸しなさい、データを消去します。」

 

とはいえ、結局目的は変わらないのだ。

最高のゲームを作ってミレニアムプライスを受賞する。

その期間が少し縮まっただけなのだから。

契約を交わした以上は徹底的に遂行する、それがケイの方針だ。

 

「新しい部員も入ったんだもの、期待してるわよ?」

 

モモイ達からすれば、まさに悪役然とした態度で部屋から出ていくユウカ。

もはや手段をよりすぐりするターンは過ぎている。

ここからは一手も間違いは許されない。

 

「賭けよう、『G.Bible』に。」

 

最高のゲームの作り方の載った『G.Bible』に一縷の望みをかける。

行き当たりばったりも良いところだが、他に有効な打開策も思いつかない今はそれが最善手だった。

 

ケイ達はヴェリタスの解析結果を待つ。

 




次回はヴェリタス登場&『鏡』奪還作戦直前までの予定です。
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