ブルーアーカイブRTA 称号「崇高」獲得まで   作:ノートン68

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長期間投稿を空けて申し訳ありません。

ああでもない、こうでもないと話を捏ねて迷走すること数日。
気がつけば文字数が1万を超えていました()
添削して不要な部分を削ったものがこちらとなります。

今回はKeyの体入手から光の剣までです。



光の剣

天候は快晴、時刻は8:30を過ぎました。

夜中までゲームを行ったモモイとミドリは、まだ眠りこけています。

廃部の危機だと言うのにこの緊張感は一体……

仮にも私の入部先なのですから、しっかりして欲しいものです。

 

さて、モモイの端末のモモトークをハッキングもとい拝見しましたが、どうやらもう私の義体が完成したそうです。

先生がそろそろ来ると聞いていましたが、2人は未だに寝たまま。

ならばやる事は1つ。

 

『 起 き な さ い 』

 

スピーカー音量を最大にして爆音を鳴らす。

案の定、寝ていた2人は勿論のことロッカーまでもが飛び上がりました。

………()()()()?

 

「ちょっと!!いきなりなんなのさ!?」

「うぅん……まだ耳がキーンってする。」

『先生がそろそろ来ます。良いのですか、こんなに散らかして?』

 

惨状とまでは行きませんが、床にちらばったゲームカセット類、お菓子の袋。

人を招くのであれば部屋は清潔に、これは基本です。

 

彼女たちにも乙女の尊厳が存在したのか、渋々掃除を始めました。

……多少散らかっていたところで、あの大人は気にしなさそうですが。

 

そうこうしているとノック音が聞こえました。

噂をすれば、先生のお出ましです。

 

みんな、おはよう……

「おはようござ──先生!?」

「なんだかすごく窶れちゃってるけど!?」

あはは……

 

以前の記録よりも痩せ細った印象を受ける姿で現れました。

何をしたらあんなにやつれるのか。

萎れた先生の背には子供1人が入る大きさの箱が。

あの中に私の義体が?

 

気にしなくていいよ、ただ懐が少し軽くなっただけだから。説明書作ったから読んでね、私はもう限界────ウッ!!

「先生ーッ!?」

「つんつん……反応がない、ただのしかばねのようだ。」

……勝手に殺さないで。

 

過労ですね……まさか、朝までずっと例の物を作っていたと?

たかがAI、それも素性の不明な私相手の為に?

──理解不能。先生という立場と言えど、ここまでする必要はありません。

 

一体何の目的なのですか。

……聞こうにも当の本人は既にグロッキーですか。

 

「箱の中身は〜、なんだろなー♪」

「これは……制服を着たマネキン?」

 

見た目はなんの変哲もない、ただのマネキン。

瞼は閉じ、髪は生えていない。

大きさも目測ですが約150cmといったところ。

マネキンなので、顔はのっぺらぼうに近いです。

 

今の状態のままでは恐らく99%が不審に思うどころか、化物として排除しにかかるでしょう。

私だってそうします。

 

「このままだと違和感あるなぁ……試してみるしかないか。」

「えーとなになに、『うなじの部分にあるUSB挿入口からAIのデータを入力してください』?」

 

さて、どうなるか。

あの大人の用意した代物です、ただのマネキンではないでしょう。

 

「じゃあ挿すよー。」

 

───────────────────────

 

『インストール完了、起動開始』

 

瞼がうっすらと開く。

部屋の明るさが眩しく、目を顰めるが慣れてくるとぼんやりと少しずつ視界が広がる。

目を見開いたKeyの前には双子、モモイとミドリが存在した。

先程までモニターしていた景色が3次元になり、目新しさを感じる。

視覚が完全に覚醒したのか、次々と他の感覚が研ぎ澄まされてゆく。

 

ちゃんと起動した!!」

ケイちゃん、私達のことが分かる?」

 

二人とも騒がしいが、言葉は聞き取れない。

覚醒したばかりの赤ん坊に近い状態だからだろうか。

 

壁にもたれかかった状態から起き上がる。

手足共に自分の意思通りに動く。

自身の肌の手触り、気温、それら全てKeyにとって新鮮なものだった。

 

「あー、あーあー。」

 

声もしっかりと発声出来る。

少女然とした高い声だ。

 

ふと、隣に鏡がある事に気付き覗く。

そこに映る人物には見覚えがあった。

Keyが知らないはずが無かった。

 

若干の青が混じった黒髪は横へ束ね、サイドテールに。

白い肌は絹のようにキメ細やかで、人間のそれと遜色ない。

頭上には四角形の紋様のヘイローが浮かび上がっている。

 

この姿かたちは、正しく『王女』そのもの。

しかし、目とヘイローの色は『王女』と違い、淡い桃色をしている。

 

基本動作は問題ない、ならば次は自身の───『鍵』としての機能の確認だ。

 

「『鍵』の名の元に、()()()()()A()T()R()A()H()A()S()I()S()を実行する。」

 

手をかざし、名を紡ぎ、権限の実行命令を要請する。

本来ならば『鍵』としての権限を遺憾無く発揮出来るはずだ。

 

「ど、どうしたの急に?」

「(データベースに侵入が出来ない?)」

 

しかし、権限の執行は不発に終わった。

ここら一帯の電子機器の掌握をするつもりだったが不発に終わった。

どうやら元の体……『無名の王女』でなければ権限を行使できないらしい。

 

いや、それ以外にもK()e()y()()()()()()()も制限がかけられている。

もとよりそれらは『無名の守護者』の起動指令など、比較的単純な命令権だけなので無くても問題はないが。

先生以外の──第三者の可能性という線も拭えない。

 

「(逆に感心しましたよ、こういった保険を用意していたとは。)」

 

いずれにせよ、プロトコルを実行するのに『王女』の存在は不可欠。

それまでは計画の実行は不可能だと判断した。

 

「問題ありません、動作も思考も明瞭です。」

「ヤッター!!これでやっと一つの問題が解決するよ!!」

「本当にありがとう先生、ケイちゃん。」

先生だからね……当然のこと、さ。

「単なる利害の一致に過ぎません。あと先生は大人しく休んでください。」

 

未だにしつこく『ケイ』と呼んでくることに辟易しながらも、悪態をつく。

しかしKeyは半ば諦めていた、恐らく今後『Key』と呼ばれることはないだろうと。

 

「じゃあ、私はケイちゃんの学生証と『G.Bible』見てもらうから!!」

「ちょっとお姉ちゃん!?多分ヴェリタスはまだ寝て──もう、すぐ突っ走っちゃうんだから。」

 

言うが早いか、颯爽と外へと駆け出して行ったモモイ。

観察して数日だが、彼女の行動力は素直に賞賛できる。

 

「なんと言いますか、自由奔放な姉ですね。」

「あはは……」

 

Keyは疑問に感じた。

性格が真逆なこの2人が何故ここまで一緒に行動できるのか?

これも体を持って生活すれば知る事が出来るのだろうか。

 

「あっそうだ、ケイちゃん!!」

「…………なんですか。」

 

明らかに面倒くさそうな雰囲気を醸し出す。

モモイより大人しそうに見えて、彼女も中々にぶっ飛んでいる。

ただ今回に限っては有用な申し出だった。

 

「そう怪訝な顔しないでよ。

──────自分の銃欲しくない?」

 

返答は二つ返事、勿論YESだ。

 

───────────────────────

 

ミレニアムの敷地にある大きな建物。

天井を波板スレートに覆われたドーム状の作業スペースに2人はやって来た。

彼女たち2人の目的はエンジニア部から武器を譲り受けることだ。

 

Keyには「最近の転校生」として振る舞ってもらう手筈だが、緊張により心臓がバクバクするミドリ。

Keyは相変わらず無表情で、汗ひとつかいてない。

何はともあれ、彼女たちはエンジニア部の部長、ウタハに話を持ちかけた。

 

「……なるほど、だいたい把握出来たよ。新しい仲間により良い武器を送りたいと。」

「はい、もし余ってる銃があれば譲って欲しいんです。」

「勿論良いとも!!そっちの方に私たちの試作品が色々と置いてある。そこにある物ならどれを取ってもらっても構わないよ。」

「ありがとうございます、先輩!!」

 

快諾を得た2人は1人のエンジニア部員に誘導される。

誘導員はゴーグルを付け、迫撃砲を携えた見た目にインパクトのある少女だ。

 

「やぁ、1年生のヒビキだよ。何品か見繕ってあげる、試射もこっちだよ。」

「よろしくお願いします。」

「まずはコレ、()B()l()u()e()t()o()o()t()h()()()()()()拳銃。」

「今なんて?」

 

色々とツッコミどころのある武器だったが、その性能はエンジニア部の折り紙付きなだけあって相当なものだ。

次第に慣れたのか、珍機能武器を渡されてもKeyは黙々と射撃練習を行った。

 

「凄いねあの子、初心者かと思ったけど飲み込みがすごく早い。」

「はい、経験者とは聞いてなかったんですけど……」

 

撃てば撃つほどに、精度は上がっていく。

まるで機械が少しずつ誤差を調整するかのように。

拳銃のみならず、狙撃銃、ショットガン、サブマシンガン、etc…

 

あらかたの銃の使用感を覚え、次の銃はと辺りを見回す。

すると隅の方に一際大きな物体を発見した。

 

「こんなものでしょうか………あれは?」

「ふっふっふ……お客さんお目が高いですね!!」

「誰ですか貴方!?」

 

隣から急に声をかけられ後ずさるが、秒で距離を詰められた。

にげるのに しっぱいした 。

声をかけた人物は早口でこう捲し立てた。

 

「説明が必要なら、いつでもどこでも答えを提供。エンジニア部のコトリです!!貴方ですね噂の4人目のゲーム開発部の部員は!!銃をお探しと聞いてスタンバイしていたのですが、部長に『君の話は長い(意訳)』と釘を刺されたため大人しく影で観察していたのです。しかし、その銃に目をつけたとなれば話は別!!のはず!!これは私が説明しなくては!!この銃はエンジニア部の下半期の予算の全体70%近くをかけて作られた最高傑作で─────」

「えぇと……」

 

突如下の服装がエラい事になってるメガネ娘に絡まれたKey。

初めて遭遇するタイプの人間に対応が追いつかずフリーズしてしまう。

 

ヒビキによってクールダウンしたメガネ娘、コトリからKeyを引き剥がして説明を聞いた。

どうやらこれはエンジニア部の多額の予算を費やして作成した────

 

『宇宙戦艦搭載用レールガン』

 

なのだとか。

 

これを聞いたKeyの脳は破壊された。

 

何故こんな一般生徒が使用できない非効率的な銃を……

予算だって計画時に足りなくなるのは分かっていたはずなのに。

そもそも大気圏での戦闘とは一体何と戦うつもりなのか。

 

そこに部長のダメ押しの一言。

 

「簡単な話しさ──────ビーム砲はロマンだからさ!!」キランッ

 

理解不能………

危うく頭の宇宙へと旅立つ所だったが、気合いで戻ってこれた。

ミレニアムは変人しかいない、そうKeyは結論付けた。

ユウカは泣いていい。

使えもしないのに『光の剣:スーパーノヴァ』などとは……。

 

この出来事がKeyの運命を変えた。

ロマンと言う名の謎理論で脳を破壊されたせいか、通常のKeyでは必ず取らないであろう選択肢を選ばせたのだ。

 

そうだ、『光の剣』を貰おう。

 

「ここにある物ならなんでも持って行って良いと言いましたね?」

「……?あぁ、勿論だとも。」

「ならその『光の剣』、貰いましょうか。」

 

案の定渋るエンジニア部。

というのも実機の重量140kgに加え、その他サポート部品をつけた状態での射撃反動は200kgをこえるのだとか。

なるほど、通常の生徒であれば担ぐことすら出来ない代物だろう。

 

だがKeyは『鍵』だ。

Keyは軽々と光の剣を持ち上げる。

そして照準を天井に合わせこう言い放った。

 

光よ!!!!(ヤケクソ)

 

その時の彼女の声は透き通るほどさわやかだったとか。

そしてその日、エンジニア部の作業場の天井には大きな穴が出来たそうな。

 

───────────────────────

 

時刻は既に午後5時を指していた。

夕日が沈む中、1人の少女は背に銃と呼ぶには大きすぎる『光の剣』を携えていた。

 

Keyは勝利した。

かの邪智暴虐なエンジニア部から光の剣を勝ち取ったのだ。

頭のおかしい発想で生まれたこの武器だが、これがあれば計画の助けになるとKeyは確信していた。

 

そんな訳で、いつも以上に気分のいいKeyだった。

今なら何をお願いされても素直に聞く自信がある。

それが今日1番の悪手だったとは、今はまだ知りようもない。

 

部室へと戻るとモモイと先生が不在であった。

先生はシャーレに帰ったのだろうか。

 

「形跡を見るに、だいぶ前に帰ってますね。」

「先生帰っちゃったのか、せっかく購買でお菓子買ってきたのに。」

 

恐らくモモイはまだヴェリタスの所だろう。

それまでどう過ごそうか、考えていると1つの雑誌が視界に入る。

何となくそれを手に取ってみる。

 

「………これは?」

「あっ、それは──」

「……ミレニアムプライス?」

「実はその本にはね、私たちが作ったゲームが載っているの。クソゲーって酷評されちゃったけど……」

 

クソゲーと言う概念については知らないが恐らく碌でもない称号なのは把握出来た。

しかし、逆にそれはそれで興味が湧くというもの。

部活に所属する以上、彼女達がどのレベルのゲームを作るのか知っておく必要もあるだろう。

 

「クソゲーランキングでは1位になっちゃったけど、お姉ちゃんが帰ってくるまで遊んでみる?」

「……良いでしょう、貴方達の作った物に少なからず興味もありますし。」

「本当に!?ちょっと待ってて、今セッティングするから!!」

 

少し時間をおき準備が完了した。

電源が入り、しばらくして画面にタイトルが映し出される。

 

『テイルズ・サガ・クロニクル』

 

軽快なBGMとともにスタート画面へと移る。

……音楽自体は悪くない。

 

「瞬く間に攻略してみせましょう。」

「 頑張って!!」

 

脳破壊の時間が始まる。

 

───────────────────────

 

すっかり暗くなった頃、ミレニアムの廊下を少女が駆ける。

手には1つの学生証、その表情は無に近い仏頂面だ。

 

「一日で完成させちゃうなんて、流石ヴェリタス!!ケイちゃんの苗字、勝手に決めちゃったけど……まぁいっか!!」

 

手にする学生証にはこう記されていた。

 

ミレニアムサイエンススクール

1年生

依星(よりほし) ケイ

ゲーム開発部

 

「待っててね、ミレニアムプライス。必ず受賞してみせるんだから!!」

 




Keyの名前は、今作では依星ケイとして扱います。
アンケートで決めてもよかったんですけど、普通に忘れてました()
主な原因はGWの休みが消し飛んだショックによるものだと思います。
ほら、笑えよ(震え声)

クソゲーによる脳破壊はまた今度になりそうです。

次回、冷酷な算術使い登場
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