ブルーアーカイブRTA 称号「崇高」獲得まで 作:ノートン68
お待たせしました。
Key視点のお話になります。
ゲーム開発部との邂逅まで。
目覚め
ここは『廃墟』工場内のデータベース。
今は大半のデータが破損し機能は停止したが、未だその広大さは健在である。
私は『Key』。
王女を導きその玉座を戴くもの、無名の司祭達によって作られたAI。
いつか目覚めた王女と私が接触するその時まで、この電子の海の0と1の世界で揺蕩う。
その筈だったのですが……
私の意識は覚醒し、こうして思考することが可能となりました。
理由は単純明確、王女の行方が不明となってしまったのです。
警報に気づいた時は既に遅く、例の部屋はもぬけの殻となっていました。
王女を連れ出した下手人が、異常の検知を遅延させるプログラムを入力したようです。
あのセキュリティを破る技術を持つとは……只者では無いでしょう。
古くからの記憶にある、ゲマトリアなる組織の仕業の可能性も有り得ます。
王女の身に何かあれば私は────
いずれにせよ、今の状況は非常にまずい。
早急にでも王女を捜索する必要があるのですが……
生憎、私には外へ探索する機能が備わっていません。
更に私の意識が浮上している間はバッテリーが徐々に消費されるので、可能な限り運転は避けたい。
ここは誰かが廃墟に侵入した際に交渉を行うしかないでしょう。
古のデータベースと言えど、内部の情報は信頼性の高いものばかり。
交渉人には望む情報を与える事にしましょう。
少々癪ですが、背に腹は代えられません。
幸いにも入口付近の生体感知センサーは無事のようです。
適当な侵入者を交渉で従わせる……そして端末を転々とすれば計画の助けになる筈です。
王女と私が遭遇した時、それがこの世界の終焉となるでしょう。
その時が来ると信じ、今はまた眠りに就くとしますか。
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場面は移り変わり、『廃墟』の表層。
そこには2人の少女と1人の大人が存在した。
「……ねぇお姉ちゃん、一体いつまでこうしてればいいの?」
「静かに。あっ先生、もうちょっと頭下げて……!」
・ここはどこ……私は誰……?
少女2人はミレニアムのゲーム開発部。
お調子者の明るい姉のモモイと、
そんな姉のブレーキ役だが流されることの多い妹のミドリ。
そして2人に依頼されて引率を行う『シャーレ』の先生。
「閉鎖するだけはあるね、こんなに沢山ロボットが徘徊しているなんて。」
周りは製造元不明の怪しいロボット達が徘徊している。
当然銃を持っており、見つかれば戦闘は免れないだろう。
それでも尚、3人がこの『廃墟』へ赴いたのは『G.Bible』を手に入れる為だ。
現在、3人はゲーム開発部の存続の為に行動している。
廃部原因はシンプルに部員不足と実績不足。
部員の方はなんとかなるにせよ、実績はそう上手くいかない。
賞を取るまでの期限はあと2週間。
そして自分たちの唯一の実績は「今年のクソゲーランキング一位」。
あまりにも拙い。
もはや手を選んでいる暇などなく、取れる全ての手段を使う必要があった。
その手段の中で唯一の希望が『G.Bible』なのである。
・『G.Bible』って、結局なんだっけ?
「そう言えば説明の途中だったね。」
モモイの話によると、昔キヴォトスに存在した伝説的なゲームクリエイターが残したデータだそう。
その中身には『最高のゲームを作れる秘密の方法』があるとか、無いとか。
情報源はミレニアムの天才ハッカー達の集まり、あのヴェリタスの部長であるヒマリ。
信憑性は高い。
そして『G.Bible』の信号を捉えた最後の記録座標がこの『廃墟』だったのだ。
「……それ、どこかのゲームクリエイター学校の広告じゃなくて?」
ミドリはその噂を信じてないのか怪訝な表情を浮かべている。
果たしてそう都合のいい代物が有るのか?
「違うよ!!『G.Bible』は絶対にある!!」
「ちょっと、お姉ちゃん声が──」
ヒートアップしたモモイを落ち着けようとするが、間に合わない。
モモイは捲し立てるように話し続ける。
「その『G.Bible』を読めば、『テイルズ・サガ・クロニクル2』が作れるはず!!」
・モモイ、後ろ!!
「へ?」
熱くなりすぎたのか、周囲の状況に気づかず大声で話し続けたモモイ。
当然周りのロボットは異常を検知し集まってくるわけで。
先生の言葉で我に返り後ろを振り向くと、徘徊していたロボットと目が合った。
「「………。」」
「…□□□ □□□□!!」
ロボット達は数体から十数体へ増加していく。
包囲されるのも時間の問題だろう。
「うわわわ、どうしよう!!」
「この人数はさすがに……」
・あっち!工場みたいなのが見える!!
まだロボットで塞がっていない方角に、工場を見つけた先生。
あそこなら逃げ切れるだろう。
「お、先生ナイス!!急いでロボットを突破して逃げ込もう!!」
「先生、戦闘の指揮をお願いします!!」
最低限の戦闘だけを行い工場へ走る。
戦闘が得意とは決して言えない2人だが先生の指揮と、
持ち前のコンビネーションにより危なげなく逃げ込む事が出来た。
「あれ?」
工場で息を整える3人。
その中でモモイが真っ先に気がついた。
工場に入ってからロボット達が追跡をピタリと止めたのだ。
「この工場に入るまで恐ろしい勢いで向かってきたのに……とにかくラッキー?」
「良くないよ!!なんでロボット達に追われなきゃいけないの!?」
・まぁまぁ、落ち着いて。
あのロボットはなんだったのだろうか。
周りはシャッターのような壁が多く、通路を限定されたような感覚を抱いた。
気にし過ぎか?そんな事を考えて、奥へと探索を続ける。
生き物の気配を一切感じない薄暗い通路。
ホラゲーの参考になるか?等話しながら進むこと数分後、通路の端にPCを見つけた。
「あっ、あそこにコンピュータが1台……あれ?」
「あのコンピュータ、電源が付いてる?」
不自然に1台だけ電源の入ったパソコン。
3人はそこへと引き寄せられていく。
近づいた瞬間、それは急に動き始めた。
[Divi:Sion Systemへ、ようこそお越しくださいました。お探しの項目を入力してください。]
どうやらこの工場の検索用PCのようだ。
「おっ、まさかの親切設計。『G.Bible』について検索してみよっか?」
「いや、ちょっと怪し過ぎない?」
Divi:Sion Systemとはこの工場の名前だろうか。
聞いたことの無い名前だが……これも大昔の産物なのだろう。
早速検索をかけようとキーボードに手を伸ばす。
「えーと、キーボードは──」
[……#$@#$$%#%^*&(#@]
「うそッ!?まだ何も触ってないのに!!」
ノイズの走る音が聞こえる。
モモイがワタワタしているとノイズが止まり、画面に文字が映し出された。
『
『改めて自己紹介を、私はKey。あなた達の望む情報をなんでも差し上げましょう。』
──────────────────────
『あなた達の望む情報をなんでも差し上げましょう。』
まさか短期間でここを訪れる者が居たとは。
運はこちらに回っているようですね。
「じゃあ、『G.Bible』について何か知ってる?」
「お姉ちゃん!?いくら何でも、このAI怪しすぎるよ!!」
『G.Bible』……?
あぁ、確かありましたね。
最高のゲームを作れる秘密の方法、とかいう例の。
それなら私のデータベースに保存しています。
『G.Bibleは勿論私の中に存在します。』
「えっ本当に!?」
「私たち、それが欲しくてここに来たの!!」
食いつきましたね。
余程切羽詰まってるのでしょうか?
これなら早速本題に入っても良さそうですね。
『物を差し上げるには1点のみ要求項目が。人探しをお願いしたいのです。』
「AIが人探し?」
「……お姉ちゃん、やっぱり怪しいよ。」
そうトントン拍子とはいきませんか。
我ながら怪しさ満点なのが否めませんね。
では───こうしましょう。
『……異常事態発生、電力限界に達しました。電源が落ちると同時に消失します。』
本当はまだ持ちますけどね。
焦ってもらえばこちらの要望も通しやすいでしょう。
「ええっ!?せめて『G.Bible』の事を教えてからにして!!」
『要求を飲まれますか?』
「飲むからどうにかして!!」
計画通り。
他の端末に移動してしまえばこちらの物です。
『データを移動するための保存媒体を接続してください。』
「急に保存媒体なんて……あ、『ゲームガールズアドバンスSP』のメモリーカードでも大丈夫?」
この私が、ゲームの記憶媒体に………?
屈辱的ですが、ここで渋っても仕方ないでしょう。
えぇ、本当に。
無い腸が煮えくり返るようですが。
『…………………まぁ、可能、ではあります。』
「な、何だかすごく嫌がってる感じがするんだけど……気のせい?」
決めました。
女王復活の際は貴方から真っ先にアーカイブ化して差し上げましょう。
ケーブルが接続されましたが、容量が足りませんね。
既存データを削除しましょう、仕方ないので。
……別に腹いせとかではありません。
『保存領域不足、既存データを削除します。』
「え、嘘っ!!もしかして私のセーブデータ消してない!?そのデータの装備集めるのすごく大変──
『残念、削除』
「ちょっとおぉぉぉおお!?」
恨むのであれば、ゲームのメモリーカードを選んだあなた自身も恨んでください。
「あぁぁぁ!!私のゲームガールズアドバンスのデータがぁぁっ!?」
うるさいですね。
……『G.Bible』のファイルはこれですね。
『新しいデータを転送しました。〈G.Bible.exe〉』
・これって……
「こ、これ今すぐ実行してみよう!!本物か確認しなきゃ!!」
本物ですよ、失礼ですね。
「exe実行……あ、ポップアップがでて──ってパスワードが必要!?」
「大丈夫、普通のパスワードならヴェリタスが解除出来るはず!!」
私もパスワードまでは知りませんが、どうにかするでしょう。
念押ししておきますか。
『要求項目の事、お忘れなきよう。』
「分かってるってば!!」
とにかく、これで第1関門は突破。
あとは王女を探し出すだけ。
そのための手を考えなければ……
Keyはまだ知らない。
この後に起こる騒動に巻き込まれ、自身のあり方が変質していくという事を。
そして王女と再会した時、自身の役割と向き合う時が来るという事を。
はい、遅くなり申し訳ありません。
ガチャ爆死して復活に時間がかかりました。
とりあえずお正月ハルカはお迎え出来ました(血涙)
次回辺り、ヴェリタス登場予定。